食の未来に欠かせない養殖業、出遅れているアメリカもようやく注目

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魚介類の養殖は目新しいものではない。ハワイの養殖池や古代ローマ時代の牡蠣養殖などの手法は、古くからあるものだ。だが近年急速に拡大している養殖業の多くは、新たな技術や技法を取り入れている。そしてこの養殖業が、「食の未来を支える存在」として世界で注目を集めている。

世界的な好景気産業

養殖業は世界的に加速しているが、アジアではその流れが特に顕著だ。世界で消費される魚介類の約50%は養殖によるもので、このうち88%がアジアで生産されている。

アメリカ海洋大気庁(NOAA)によれば、2014年に世界で生産された養殖魚および海草・海藻などの植物は1億トンを上回った。同年の養殖業への投資額ランキングでは、16か国がアメリカより上位にランクインしており、その多くをアジア諸国が占め、ほかにノルウェー、チリ、エジプトやブラジルが含まれている。

養殖は効率的で、適切に行えば持続可能な食料生産の手段となる。魚に含まれる良質なタンパク源は、増え続ける世界人口の胃袋を満たし、健康を維持する上で重要な役割を果たしてくれる。

アメリカが養殖に否定的な理由

アメリカにおける養殖業は、食品生産業の中で正当な評価を受けてこなかった。アメリカの水産業界は、養殖技術の革新よりも水産物の「採捕」の健全性と持続可能性の確保に重点を置いている。魚介類の多くを輸入に頼っており、アメリカ自体の養殖生産量は全体の1%未満だが、国内で消費する海産物の半分近くは養殖ものだ。

これにはさまざまな理由がある。そのひとつが、環境への悪影響だ。養殖が始められた当時に比べて、今ではずっと持続可能な養殖が行われているが、それでもアメリカの消費者の間では否定的なイメージが残っている。

外洋の漁業と陸地での農業のどちらにも属さない養殖業は、どの政府機関からも十分な支援や投資を受けてこなかった。NOAAは漁業、米農務省(USDA)は陸地での農業に重点を置いてきたからだ。それでもNOAAは「アメリカ国内での養殖の必要性を強く訴えていくことは可能だ」としており、持続可能な海産物を提供する上で養殖の役割を拡大させていくよう、連邦政府への働きかけを行っている。

近年では非営利組織も養殖業に関心を寄せている一方で、景観や水産資源の持続可能性を追求する団体は、採捕による漁業や大規模農業を重視する傾向にあった。これはおそらく、組織が生態系の健全性を重視する科学者を中心に構成されているからだろう。

しかし、このような養殖業への理解の欠如や成長の停滞感は、今後変わっていく見通しだ。専門家が有望な技術の進歩について楽観的な見方を示しており、養殖業への関心や投資は増えてきている。

養殖業は世界各地で盛んに行われている。アメリカがその流れに乗るかどうか、残る問題はそれだけだ。