G大阪とPVFのパートナーシップ締結式

写真拡大

 いま、アジアサッカーが熱い。東南アジアや中国、インドなどの新興国でサッカーが爆発的な人気を博してきており、その経済規模も日本サッカーを凌駕するものが出てきている。サッカーのレベルも徐々に日本や韓国などの強豪国に近づいてきており、色んな意味で無視できない存在となってきている。

 ASEAN諸国のなかでもベトナムは経済成長著しく、9000万人を超える人口を持ち、南北に1560キロに渡る広範な国土を持つ。

 サッカーにおいてもASEAN内ではフィリピンやタイと並び上位につけている。先日まで代表チームの監督を日本人が務めていたり、現在もベトナム人有名選手がJリーグクラブに移籍していたりと日本との交流も加速してきている。Jリーグはアジア戦略の一環としてVリーグ(ベトナムリーグ)と提携協定を結んでおり、ガンバ大阪や川崎フロンターレ、水戸ホーリーホック、横浜FCなど複数のJクラブがベトナムとの活動にも力を入れている。

 Jリーグは将来的なアジアサッカーの発展を見据えて、2012年にアジア戦略を本格的にスタートさせた。これまでに東南アジア各国のリーグとパートナーシップを結び、クラブ間および人材面での交流を続けてきたが、2016年で最も目立ったのは、ベトナムサッカーとの繋がりだった。今回は2016年のベトナムサッカーについて、“日本との交流”をキーワードに振り返ってみる。

◆ベトナム国内で社会現象の二人がJに移籍

 Jリーグのアジア戦略で欠かせないキーワードとなっているのが、スター選手の獲得である。

 その第一弾として当時J2のコンサドーレ札幌が2013年に“ベトナムの英雄”こと同国代表FWレ・コン・ビンをレンタル移籍で獲得。東南アジア初のJリーガー誕生ということで、日本とベトナム両国で話題となった。そして2016年、ベトナム国内でこの数年、社会現象と化している“黄金世代”の中心選手2人がJ2リーグに挑戦する運びとなった。

“ベトナムのメッシ”の異名で知られるFWグエン・コン・フオンを獲得した水戸ホーリーホックでは、同選手を“いばらきベトナム交流大使”に任命するなど茨城県と水戸市が官民をあげて日越協力関係促進をPR。絶大な人気を誇るグエン・コン・フオンを獲得したことで、国営ベトナム航空やGMOインターネットグループの世界展開ブランドであるZ.com、外国人向け不動産サービスを手掛けるグローバルトラストネットワークスが今シーズン、新たに水戸のスポンサーに加わった。

 一方、横浜FCに加入した“ベトナムのピルロ”ことMFグエン・トゥアン・アインも頻繁にベトナム関連のイベントに出席するなどして話題を振りまいた。また、Jリーグは両選手が所属する水戸と横浜FCの直接対決を“ベトナムダービー”と銘打ち大々的にPR。スタジアムに在日ベトナム人を招待して様々なイベントを実施し、ベトナムではイオンモールでパブリックビューイングを開催するなど、積極的なマーケティング活動を展開した。しかし、結局“ベトナムダービー”は、グエン・トゥアン・アインが怪我で欠場。グエン・コン・フオンも顔見世で終盤に途中出場するにとどまり、逆にベトナム人ファンの反感を買う形になってしまった。

 J2リーグに挑戦した若きベトナムの両雄だが、その出場時間はあまりにも短すぎた。

 業を煮やした両選手の所属元であるホアン・アイン・ザライ(HAGL)からは再三のベトナム復帰要請があり、2017シーズンはベトナム復帰となることが決定的となった。来夏には、23歳以下の代表が出場する東南アジア版オリンピック“SEA Games”もあるため、主力の2人を試合勘不足のまま参加させることはできないというのが復帰要請の理由だ。但し、最近の報道では、水戸と横浜FCからの強い要望を受けたHAGLがSEA Games終了後に再びレンタル移籍に応じるとも報じられており、今後の去就に注目が集まっている。