低金利のいまがチャンス!「住宅ローン」どんな借り換えがベストか

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■借入残高が4%以上減るかどうかで判断

マイナス金利政策の導入でいま急増しているのが住宅ローンの借り換え申し込みだ。最近の大幅な金利低下によって数年前に住宅ローンを借りた人でも得する可能性がある。この機会を逃さないほうがよいだろう。

「もっと金利が下がるかも」なんて思う人もいるかもしれないが、欲張るとチャンスを逃しかねない。住宅ローン金利が底値水準のいまが借り換えのグッドタイミングだ。

借り換えが得かどうかの判断は、総返済額が「借入残高の4%以上」減るかどうかが目安となる。例えば、残高が3000万円なら総返済額が120万円以上減れば、手数料(事務手数料や印紙税、抵当権の設定・抹消費用など)を含めても得すると考えていい。ウェブ上にある無料の住宅ローンシミュレーターを使って、住宅ローンの償還表を基に自分で計算してみよう。

例えば、固定金利2%、返済期間35年で4000万円借りていた場合、5年後に固定金利1.5%に借り換えると、総返済額は316万円減る。前述したとおり、借り換えが得になる目安は約143万円(5年後の借入残高3584万円×4%)だから、この場合は借り換えしたほうが断然お得だ。固定金利から固定金利への借り換えなら、借りてから年数が浅く、金利差が0.5%もあれば、かなりお得になる。

金利タイプはどれを選ぶべきか。住宅ローンの金利は大きく分けると、(1)半年ごとに金利が変わる「変動型」、(2)当初の一定期間(5年や10年など)は固定で一定期間経過後はその時点の金利で固定か変動かを選べる「固定金利選択型」、(3)借りたときの金利が返済終了まで続く「固定型」の3つ。いずれも一長一短あるが、いま借り換えるなら固定金利が「ベター」だ。

なぜなら、固定金利は「無難(リスクが低い)」だからだ。現在の金利は史上最低水準で、固定金利を選べば、その金利で総返済額を確定できる。対して、変動金利は固定型よりも当初の金利は低いものの、将来、金利が大幅に上昇すると総返済額が大きく膨らむリスクがある。金利が上がらなければ、変動金利は固定金利と比べて総支払額は少ないが、それはリスクの裏返しだ。予想に基づいた損得ではなく、リスク(総返済額のブレ幅)の違いで選ぶべきなのだ。

借り換えた後、繰り上げ返済するかどうかだが、これについては焦る必要はまったくない。

「少しでも早く繰り上げ返済したほうが得」であることは間違いないが、手元の貯金が少なくなるのは危険だ。繰り上げ返済で総返済額を減らすことよりも、手元にお金を残しておいて家計が破綻しないようにすることのほうが重要。会社経営と同じように損得以上に“資金繰り”の視点から判断すべきだ。失業や病気など、いざというときのために貯金は「生活費の2年分」を目安に用意しておきたい。住宅購入時の頭金で貯金が少なくなったという人は、生活費の2年分に貯金が回復するまでは繰り上げ返済を控えよう。

住宅購入のタイミングは子供が小さく、妻の収入が減る産休・育休・時短勤務中のことが多いため、家計の収支が悪化しやすいことにも注意したい。そうした期間中は繰り上げ返済を先送りして手元にお金を置いておいたほうが安心だ。

将来繰り上げ返済をするにしても、まとまったお金が必要になる子供の大学入学など各家庭のライフプランを踏まえて返済時期を決めることが大切だ。

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中嶋よしふみ(なかじま・よしふみ)
ファイナンシャルプランナー。1979年生まれ。2011年、FPの店舗シェアーズカフェを開業。マネーレッスンや相談などを提供。著書に『住宅ローンのしあわせな借り方、返し方』がある。
 

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(河合起季=構成 榊 智朗=撮影)