連続テレビ小説「べっぴんさん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第15週「さくら」第85回 1月14日(土)放送より。 
脚本:渡辺千穂 演出:梛川善郎


85話はこんな話


さくら(井頭愛海)は三宮のナイトクラブ青い月へ行き、二郎(林遣都)のドラムにすっかり魅入られてしまう。さらに、二郎の知り合いで神戸の若者ファッション界では知らない者がいないという〈エイス〉というブランドの社長に出会う。その男は幼い頃、可愛がってくれた栄輔(松下優也)だったがさくらは気づかない。

復活の栄輔!


「べっぴんさん」をあれだけ盛り上げてくれた栄輔が、きらきらのミラーボールを背にして再登場! ばりっと羽振りのいい社長となっていた。がんばったんだなーと嬉しくなる。

「あのう・・・お会いしたことありますか」(さくら)

あんなに仲良かったさくらと栄輔だけれど、何年も離れていると気づかないものなんだなあ。さくら、すみれ(芳根京子)とそっくりなのに。あと、アパレル業界のすみれたちが、業界で評判であろうエイスの社長の存在(それが栄輔だったこと)知らないのも奇妙な気もするが、まあ、気づかないほうがドラマとして盛り上がるので、ドラマ小姑としてもそこは全然OK。
親世代のドラマが描かれたあと、子供世代の話になって、親の因果が子に報い〜♪ となっていくのは、いまはなき昼ドラの、大ヒット作「牡丹と薔薇」を彷彿とさせる。さくらと二郎より、さくらと栄輔が恋に落ちる展開を希望。

エイスは、アイビーファッションで一世を風靡した〈VAN〉がモデル。1960年代に紺ブレを流行らせたブランドだ。その後、90年代にも紺ブレブームが来る(月9「東京ラブストーリー」(91年)の頃)のだけれど、その前に、爆発的に紺ブレ、アイビーファッションが流行っていたのだ。
それにしても、玉井(土平ドンペイ)がちゃっかり栄輔の下で働いているのがおかしい。それも、アイビーファッションの定番・バミューダパンツを履いていて。

その頃、すみれは


昨年再放送されていた朝ドラ「てるてる家族」(03年)は、主人公(石原さとみ)が活躍するまえに、その母(浅野ゆう子)がずいぶん長い話数、主役のようにして出ていた異例な展開だったが、3ヶ月で母と娘が主役交代するわけじゃないよね「べっぴんさん」と心配しているところ、85回は、母の場面、娘の場面を交互に見せた。会議(すみれ視点)とライブ(さくら視点)が交錯。この切り替わり方がなんとなくアバンギャルド。入社試験の課題で描かれた子供の作品のような動物の絵が映った途端、ジャズ演奏に。そしてまた、まじめな社員選考の話し合いからいきなりスイングジャズへ。「可愛らしい絵やなあ」「目がちゃんとこっちを向いてる」「子供みたいな気持ちをもってる」と入社志望者の素朴な絵を褒めるすみれたちと、大人の世界をじっと見つめるさくら。会議で煮詰まった顔のすみれ(芳根京子の表情がものすごくリアル!)と、取り憑かれたように踊るさくら。親と子の生きる世界の違いが明確に可視化された。
そして、夜の街で、さくらとすみれがすれ違うのも、おみごと。

第16週は、さくらとすみれ、どっちがメインになるか目が離せない。

今日の、メモ


さくらを取り巻く幼馴染、保守的な健太郎(古川雄輝)ととっぽい龍一(森永悠希)。どっちも名前が「ゆうき」だった。
(木俣冬)