他人の足を引っ張る「二流」の特徴

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「他人の足を引っ張る」タイプは、コストパフォーマンス重視かどうかに深く関わる。その特徴は恋愛や勉強においても顕著に現れる。心理学者の植木理恵さんに聞きました――。

■人の足を引っ張るパーソナリティ

突然ですが、あなたは「コストパフォーマンス教」の信者ですか。コスパ教は私の勝手な造語ですが、もちろん宗教の話ではありません。もし、人を2つのタイプに分けるのであれば、1つはコスパをとても重視する人(以下、CP系)で、もう1つは回り道でも遠回りでも、また他人にどう言われても信ずるわが道を突き進もうとする人(非CP系)です。

CP系の人の仕事のやり方のモットーは、効率よく最短時間で、なおかつ安上がりに成果を上げようとすることです。そして、この価値観は驚くべきことに勉強でも恋愛でも、同じ。CP教は、働き方という次元を超えた、生き方やパーソナリティの問題とさえ私は考えています。

お題にある「他人の足を引っ張る人」は、まさにこのCP教徒です。例えば、同じ職場で、年齢も近い同僚が自分より先に昇進するらしいとの噂を耳にした。どうして自分ではなく、アイツか。嫉妬のあまり、同僚のプレゼンにいちゃもんをつけ、評価を悪くして、引きずり降ろすべく画策……。よくある話かもしれません。本来なら同僚に負けず、自分も上司に引き上げてもらえるよう努力するのが筋ですが、そうしない。

なぜか。自分がステップアップして成果を出すには時間がかかるからです。それよりも、足を引っ張って相手をおとしめたほうがずっと効率がいい。本能的にそのほうが楽だと知っているのでしょう。ヒトはサルのようにマウンティング(馬乗り)して個体間の優位性を誇示しない代わりに、嫉妬した仲間の成功のじゃまをするのです。

■恋愛でも時間もお金もかけない

組織内に必ず一定の割合で存在する、足を引っ張る人=CP教徒の特徴を整理してみましょう。彼らは、フロンティアやリーダーではありません。どちらかといえばフォロワーです。発信者ではなく、基本、受信者です。ニュース番組のなかの役割でいえばコメンテーターとか評論家とか、そちらのタイプです。

学術的な業界でたとえれば、追試型の学者や研究者です。これまで誰も思いつかなかった大胆な仮説や理論が現れると、その内容が正しいか再現実験するなどして検証します。もちろん、追試には高い精度が求められ、ハイレベルな技術がないと務まりませんが、ノーベル賞をとるような「一発目に独創的な案をブチあげる人」ではありません。

何かを生み出してはいません。が、それなりの実績や地位を築く人もいます。

ここで私が注目したいのは、追試型の学者は「コスト」が比較的少ないけれど、成果を着実に上げられる、という点です。ビジネスシーンで同僚の足を引っ張って自分の存在価値を浮揚させようというのとは違う話ですが、構図は似ています。

一方のノーベル賞型のフロンティアを含む非CP系は、独自理論を発表するまでに時間的にも金銭的にも費やすものが大きく、世間に発表後も、その新奇性ゆえ周囲から悪く言われることも珍しくありません。ところが、彼らはそんなリスクや逆風をさほど苦にしないことが多い。

正直に言えば、誰にも「安く効率的」「ギブよりテーク」を追求するCP的なずる賢い発想があると思いますが、昨今はそうした傾向が世の中に顕著に増えていると感じます。

個人的な意見ですが、仕事で人の足を引っ張る男性は、女性と交際する際、お金のかかりそうな美人タイプに求愛しても断られるから時間の無駄だと、はなから敬遠し、社内にいる手頃な相手を選ぶ癖があるのではないか。どうせなら非CP的人生を歩みたいと私は思います。

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心理学者、臨床心理士 植木理恵
1975年、大分県生まれ。お茶の水女子大学卒、東京大学大学院教育心理学科修了。日本教育心理学会で最難関植木理恵の「城戸奨励賞」「優秀論文賞」を最年少で連続受賞。『本当にわかる心理学』ほか著書多数。
 

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(心理学者、臨床心理士 植木 理恵 大塚常好=構成 奥谷 仁=撮影)