手料理でみんながノロウィルスに感染!作った私は罪になるの?

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 私たちの身近なあれこれを弁護士に聞く、この連載。もし自分の作った料理で食べた人たちがお腹を壊してしまったら罪になるのでしょうか? ノロウィルスが流行するこの時期、気になる方も多いでしょう。プロの弁護士に聞いてみました(回答はアディーレ法律事務所)

◆【相談】手料理でみんなが食中毒に! 作った私は罪になるの?

 私は普段それほど料理をしないのですが、先日、同棲中の彼氏が友達を招いて家で飲み会をしたいと言っていたので、ちょっとはりきってパーティ料理を作りました。その日は大いに盛り上がったのですが、翌日、なんと彼がお腹を壊してしまったのです。

 まさかと思って、招待していた友人に連絡を取ってみると、4人中3人が彼と同じような症状だと返事がきました。おそらく、私の作った料理が原因なのだと思います。たしかにちょっと加熱が甘かった料理もあったかもしれません……。幸い、全員大したことはなかったそうなのですが、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 きちんと原因を調べて、私の料理が原因だとわかったら、私のしたことは罪になるのでしょうか?

◆【回答】悪気がなくても、罪になる可能性はあります

 良かれと思ってしたことが残念な結果になってしまい、かわいそうですね。

 今回の場合、わざとやったわけでなくても、不注意で他人の健康を害したとして、過失傷害罪(刑法209条1項。30万円以下の罰金又は科料)にあたる可能性があります。

 例えば、消費期限の確認をし忘れていたり、うっかり加熱時間が短かったり、他人に料理を振る舞うのであれば注意すべきことを怠った場合です。ただ、過失傷害罪は、被害を被った方が警察等に告訴しなければ起訴されません(刑法209条2項。これを親告罪と言います)。友達に誠心誠意謝って許してもらえば告訴されることもないでしょうから、大事件になることはないでしょう。

 では、これが「もしかしたらお腹を壊すかもしれないけど、まぁ大丈夫だろう」と認識していた場合はどうでしょうか。

 傷害罪(刑法204条。15年以下の懲役又は50万円以下の罰金)は、積極的にお腹を壊してやろうと思っていなくても、「もしかしたら」と認識しつつ「(お腹壊しても)まあ大丈夫だろう」と認容してやった場合も成立します。

 少しでも怪しいと思ったら、他人に食べさせるのはやめましょう。

◆もし作り手がノロにかかっていて、それが原因だったら?

 自分がノロウィルスなどに感染していると知らなかった場合、これも不注意があったとして、過失傷害罪になる可能性があります。例えばお腹の調子が悪いと思いつつも、特に検査などせずにそのまま料理した場合などです。

 知っていて、「もしかしたらうつるかもしれないけど、まぁうつっても大丈夫だろう」と思っていた場合は、やはり傷害罪となる可能性があります。なお、エボラ出血熱やペストなどの重大な感染症に関しては、感染症法によって様々な措置が定められています。

 自分の不注意が原因で他人に損害を与えた場合、その損害を賠償する義務を負います(民法709条)。賠償する範囲は、基本的には、不注意が原因で食中毒となれば通常発生すると考えられるものです。病院代はもちろん通常発生するでしょうから、賠償する責任があります。

 食中毒は、一歩間違えれば、重症化してしまうことがあります。大切な彼氏・友達のため、もしかしたらと思ったら、パーティを延期したり、安全な食材を使うことが大切です。

<文責/岩沙好幸弁護士(アディーレ法律事務所)>

【岩沙好幸】
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業、首都大学東京法科大学院修了。弁護士法人アディーレ法律事務所所属。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。近著に『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。『弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ』も更新中。