来日したジェームズ・ティエレ!

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 フランス史上初の黒人芸人ショコラ、そして彼を支えた相棒の白人芸人フティット。かのトゥールーズ=ロートレックが絵のモデルにしたことで知られる、その道化師コンビが織りなす友情を描いた映画『ショコラ 〜君がいて、僕がいる〜』が1月21日公開を迎える。昨年11月、劇中でフティットを演じたジェームズ・ティエレが来日し、祖父である喜劇王チャールズ・チャップリンについてから、ショコラ役のオマール・シー(『最強のふたり』)と共演した印象までを語った。

 白人&黒人のかつてない芸人コンビとして脚光を浴びる一方で、人種差別に苦しむショコラは酒やギャンブルに溺れていってしまう……。それぞれの苦悩に胸を締め付けられ、2人のコンビ愛が胸を打つ一作になっている。

 そんな本作で白人芸人フティットを演じたのは、チャップリンを祖父に持ち、自らは主にサーカスのパフォーマーとして活躍するジェームズだ。サーカスを主戦場にしているだけあって、肉体を用いない表現に不慣れだったという。それ故に、「(本作では)何もしないシーンが一番難しかった」そう。

 ただそれは、意外な副産物も生むこととなった。「例えば、ただ座って感情を交換するシーンは自分にとって難しかったです。でも楽しくもありました。オマールは、何もしなくてもいつも楽しそうなんです(笑)。それは彼の肉体から出てくる雰囲気であり、自分にはないものです。そうしたオマールとのコントラストが、劇中のフティットとショコラの違いにリンクしているので、何もせずとも彼らの違いを見せることができたんじゃないかと思います」。

 そんなジェームズが役づくりで着目したのは、キャリアの浮き沈みを経験するフティットのワーカホリック的状態だった。「彼は仕事をすることによって自分の人生をカバーすることしか考えていませんでした。その一方で、あの時代における貧困に対する強烈な不安感もあった。彼にとっては仕事で成功することがすべてなのです。それが自分の人生を左右すると、病的なまでに思い込んでいた部分がベースにありました」。

 そう話すジェームズ自身も仕事人間だ。ヒマさえあれば舞台のアイデアを考えているそうで、「そういった思考は、代々伝わっているものなのでしょう」と苦笑する。祖父であるチャップリンは3歳の時に亡くなったため、記憶は皆無に等しい。だが、偉大な祖父を語る眼は敬意に満ちている。「心情を隠すことなく大衆に語り掛けた人だと思っています。共産主義者として社会的に葬られた時期もありましたが、ヒューマニストとしての人生を貫いた。『モダン・タイムス』や『チャップリンの独裁者』で、それが象徴的に表れていますね」。

 最後に、フティット以外にも演じてみたい歴史上の人物を聞くと、意外な答えが。「アーティストは何人か演じたので、もういいです(笑)。外見は似ていないですが、演じたいのはフランスの元大統領シャルル・ド・ゴールですね。フランスの憲法や政治制度の基本を作り上げた人として大変興味があります。あと、元イギリス首相ウィンストン・チャーチルも演じてみたい一人ではありますが、やはり見た目がかけ離れていますよね」と笑顔を見せていた。(取材・文:岸豊)

映画『ショコラ 〜君がいて、僕がいる〜』は1月21日よりシネスイッチ銀座ほか全国順次公開