心臓の中にできた脂肪でなくても、冠動脈を詰まらせるぐらい悪さをするのか。
 「心臓周囲脂肪は、心臓そのものに接しているうえ、心臓を養ってくれる血管である冠動脈にも悪さをしてしまう。この男性の場合、心臓周囲脂肪が冠動脈に悪影響を与え、心筋梗塞を引き起こしたと考えられます」(同)

 内臓脂肪蓄積はインスリン抵抗性を高め(インスリンを注射しても血糖値が下がりにくくなる)、糖尿病の発症に影響する。
 「言い換えれば、血液中の脂肪、遊離脂肪酸の値が高くなると、膵臓でインスリン分泌にかかわるベータ細胞がストレスを受けて死んでしまう。その結果、インスリンの分泌が減少し、血糖値をコントロールする働きが低下してしまうのです」(専門医)

 その結果起こる高インスリン血症は、心筋梗塞などの大血管疾患のリスクになるのだ。
 「人間ドックで脂肪肝と言われた場合、すい臓にも脂肪が蓄積した脂肪膵を合併している可能性が高いので要注意です」(同)

 異所性脂肪の弊害はまだある。なんと、余った脂肪は骨格筋にも蓄えられるのである。
 「骨格筋の筋肉細胞は糖を取り込み、活動をエネルギギーに変える重要な役割を担っています。ところが、異所性脂肪が溜まり過ぎると、インスリンの働きが悪くなり、糖を取り込む能力が低下する。その結果、筋肉に取り込まれなかった糖が全身を巡り、血糖値が高くなる悪循環に陥ってしまうのです。しかも、筋肉を使わないでいると筋細胞は脂肪細胞になるので、お腹回り、お尻、二の腕などのたるみの原因になります」

 つまり、霜降り肉のような状態になってしまうというのだ。
 それでは、どうすれば異所性脂肪を減らしていけるのか。
 「そう難しいことではありません。脂肪毒性を減らす第一は、食べ過ぎず余計な脂肪を身体に付けないことです。それには、BMI(人間の肥満度を表す指数)22前後を守ることだと思います」
 と前出の松本医師は言う。

 普段から運動習慣がなく、1日の運動量が歩数にして約3000歩ぐらいの人は、筋肉に脂肪が溜まりやすいという。逆に、1日約1万歩くらいの運動をしている人は、脂肪筋になりにくい。
 「ただ、日本人は少し太っただけで異所性脂肪が蓄積しやすい体質であることを肝に銘じておきましょう。おまけに、交通機関の発達により身体活動量が低下している。つまり、異所性脂肪がたまりやすい生活スタイルの人が増えているのです」(医療関係者)

 一見の自分の体型にとらわれない生活を送ろう。