ハリウッドデビューを果たした窪塚(撮影:尾鷲陽介)

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 巨匠マーティン・スコセッシ監督の最新作『沈黙-サイレンス-』で、物語の重要な役割を担うキチジローを演じた窪塚洋介(37)。デビュー以来、数々の作品で活躍してきた彼が、これまでの俳優人生や、10年以上テレビドラマに出演していない理由を語った。

 本作でハリウッドデビューを果たした窪塚だが、本人も「海外ではノーマークだった俳優がスコセッシの3番手で出演するというのは、ドラゴンクエストである秘密の呪文を入れると、最強の状態でスタートできるのと一緒だからって言われたんですよね」と語るように、ハリウッドには相当なインパクトだったようだ。その効果か、ハリウッド進出第2作『リタ・ヘイワース・ウィズ・ア・ハンド・グレネード(原題) / Rita Hayworth with a Hand Grenade』も決まった。

 こうした状況に自身は「もちろん開いた扉をグッと押し開いていきたいという思いはありますが、変に調子に乗らず、地に足をつけていかないと自分がブレるなって思うんです」と浮かれた様子は一切ない。「調子に乗っていたわけじゃないですが、20代前半、浮ついたことで足元をすくわれた経験がありますからね。いますごく良い流れになってきたなという実感があるので、2周目の人生という意味では、しっかりやりたいことを見据えてやっていきたいんです」。

 そんな窪塚にとって俳優として一番大切にしていることが“心のままに”仕事をすることだという。「台本読んで楽しめるか。その後、例えば漫画原作だとか、若いピチピチした俳優がたくさん出ますとか、そういう情報が入ってくるじゃないですか。そういうものを全部ごちゃまぜにして、それでも自分がワクワクしているか。もちろん、共演したくないなって思う人もいるし、このフォーメーションだとちょっと燃えないなとか、そういうことも多々あります。全部ひっくるめて“やりたい”って思えるのが“心のままに”ということですかね。規模の大小や有名無名関係なく、良いものは良いと言える自分でいたいですね」。

 “心のままに”という意味では、2004年以降テレビドラマに出演していないが、「20代前半のどこかのタイミングで、もういいかなって思ったんです。今後もやるつもりはないですね」と窪塚はサラリと語る。理由を問うと「メディアでいろいろ言われていた時期というのもあるのですが、テレビ自体への不信感も募っていたんですよね。その時、ある現場でよりその不信感が強くなる出来事があって、俺の居場所はここじゃないなって思ったんです。もちろん、杉田成道さんのようにすごく影響を受けた素晴らしいテレビの方もいるのはわかっているんですけれどね」と答えた。

 活躍の場を映画と舞台に移し、レゲエミュージシャン卍LINEとしても活動している窪塚。「卍LINEという武器を手に入れてから、すごく安定してバランス良いフォーメーションになっています。自分のメッセージをダイレクトに伝え、仕事と遊びが一緒になっている卍LINEという場所があることによって、“心のままに”ワクワクするものだけを映画としてやることができているんです」。

 窪塚がデビュー当時に掲げていた「醜い天使と美しい悪魔を両方できるレンジを持つ」という役者道。そんな思いを大きく成長させていきたいという強い意識。本作のみならず、今後の窪塚の活躍が楽しみでならない。(取材・文:磯部正和)

映画『沈黙-サイレンス-』は1月21日より全国公開