「Thinkstock」より

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 新しい年になり、「今年こそはお金を貯めよう!」と気合いを入れて、家計簿を買った人もいるかもしれません。年末から1月のこの時期にかけて、書店には家計簿がずらりと並びます。「みんなも家計簿をつけているのだろうか。とりあえず家計簿を買えば、少しはお金が貯まるかな……」と考えた人もいるのではないでしょうか。

 ところが「家計簿をつける→お金が貯まる」という図式は、必ずしも正しくありません。意外かもしれませんが、「家計簿をつけることによる逆効果」を味わってしまうことに要注意なのです。

●家計簿で挫折する「失敗体験」に注意!

 これまで家計簿が続かなかった人や久しぶりに家計簿をつける人、さらに、日々忙しい人が家計簿に手を伸ばすと、どうなるでしょうか。2〜3日ほどは続くかもしれませんが、数日後には「忙しくてつけ忘れて、やめてしまった」「レシートをもらい忘れて、つけられなくなった」「週末につけようと思っていたら忘れて、面倒になった」などと断念することが多々あるのです。

 そうなると、「家計簿はつけられない→家計簿をつけられないようでは、自分は貯蓄ができないタイプだ」という思考回路に陥ります。幸先いいスタートのはずが、失敗体験を味わって気分が落ち込み、貯蓄を完全にあきらめてしまうことにでもなったら、非常にもったいないと感じます。

 家計簿は、毎日つけようと思うとかなりの時間と労力がかかります。いきなり習慣化するのは、無理だと思っておいたほうがいいでしょう。実は、家計簿をつける前に、そもそもの“貯蓄のベース”をつくることが大切なのです。

●家計簿をつける前の超重要ポイントとは?

 では、家計簿をつける前につくっておきたい“ベース”とは、なんでしょうか。それは「とにかく1万円でもいいので、先に貯めること」です。

「家計簿をつけて節約して、1万円の余りが出たら貯める」というような未来の自分のがんばりに期待するのではなく、「とにかく1万円を貯めた上で、残りのお金を使う」ことが大事なのです。

 たとえば、お菓子が大好きな人は、目の前にお菓子の山があったら、つい手を伸ばして食べてしまいますよね。しかし、「食べすぎないように」と戸棚の奥にしまえば、目に触れずに済みます。また、受験生を例にすると、勉強する机の上にマンガをずらりと並べることはないと思います。マンガは押し入れの奥にしまいこむことで、勉強を優先する態勢を整えるのではないでしょうか。

 貯蓄も、それらと同じです。お金がお財布や普段使いする銀行口座にあると、ついつい使ってしまいますが、貯蓄分を別の口座にサッと移してしまえば「目に届かない」という効果が生まれ、手元のお金でやりくりしようという気持ちになるのです。

●月1万円の貯蓄が家計簿上手への近道

「今まで貯蓄できたことがないのに、月に1万円を貯めることができるでしょうか」と相談されることがあります。大丈夫です、まずはやってみることをオススメします。

 なぜなら、月収の手取りが毎月同じ金額ではなくても、なんとかなっているはずだからです。残業により手取りの増減があるほか、社会保険料や住民税が上がれば、支給される給料は同じでも手取りは少なくなります。

 また、最近は給料明細が電子化される会社もあるなど見る機会が減っていますし、銀行の通帳を眺める機会も減っていることでしょう。「今回はお給料が1万円少なかったから、1万円節約しなきゃ」などと細かく計画を立てる人は、あまりいないと思います。1万円少ないなら少ないなりに、その月を過ごしているのではないでしょうか。

 それなら、自動的に1万円を貯蓄分として別の口座に移しても大丈夫なはず。そして、1万円の貯蓄が大丈夫なら、手取り月収の1割を目標に、毎月の貯蓄額を増やしていってみてください(実家暮らしの人、共働き夫婦、お給料が多い人は、1割より多く貯められる可能性大なので、貯蓄額を増やしていきましょう)。

「毎月1万円」などと自分で別の口座に移すのは面倒なので、勤務先の財形貯蓄を申し込むか銀行の自動積立定期預金など、自動的に普通預金から定期預金に無料で振り替えてくれる仕組みを利用するのがオススメです(店頭に行かなくても、インターネットで申し込みができることも多いです)。

 家計簿と向き合って四苦八苦するのではなく、まずは先に1万円を貯めること。そうすれば、「家計簿をつけられないから、自分は貯められない」という失敗体験を味わうのではなく、月に1万円でも貯めたことで「『自分は貯められる』と気づく」という成功体験を味わうことができます。家計簿をつけるのは、まずは成功体験を味わってモチベーションが上がってからのスタートでも、決して遅くないのです。

 では、家計簿が苦手な人や忙しい人は、いったいどんな方法で家計簿をつけたらよいのでしょうか。次回の記事で、詳しくお伝えします!
(文=西山美紀/マネーコラムニスト)