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産業技術総合研究所(産総研)は1月13日、幅広い電流レンジでノイズを計測する手法を開発し、不揮発性メモリとして研究開発が進められている抵抗変化メモリ(ReRAM)が100nAの消費電力で動作する際の挙動について明らかにしたと発表した。

同成果は、産総研 ナノエレクトロニクス研究部門 3D集積システム研究グループの馮ウェイ 研究員、エマージングデバイス研究グループの島久 主任研究員、筑波大学 数理物質系物理工学域の大毛利健治 准教授らによるもの。詳細は学術雑誌「Scientific Reports」(オンライン版)に掲載された。

DRAMやNANDに変わるさまざまな次世代メモリの研究開発が各所で進められており、その中の1つであるReRAMは、プロセスの微細化や低消費電力化の進展が求められていた。これまでの研究などから、遷移金属酸化物を用いたReRAMの動作には、酸化物中の酸素欠損が関わっていることが報告されており、電子顕微鏡などを用いて組成や化学結合状態を分析して、酸素欠損やその動きが調べられてきたが、観察のために試料を加工する必要があり、例えばメモリ動作を繰り返しながら微量の酸素欠損の影響を調べることなどは困難であった。

今回、研究チームでは、トランジスタにおけるノイズ特性を理解することで、そのノイズを広い周波数帯域にわたって計測する技術を活用して、ReRAMにおける低消費電流動作の調査を行ったという。

具体的には、SiO2/TiN/SiO2を微細加工して微小な電極を形成し、ハフニウム酸化物(HfOx)、チタン(Ti)、TiNを成膜し、抵抗変化メモリ素子を作製。非破壊で測定が可能なEBAC測定と電流ノイズ測定を実施したところ、従来動作の場合、EBAC像には輝点が現れ、局所的な電流経路が形成された状態になっていることが確認されたが、低消費電力動作の場合、メモリ素子部分のEBAC像のコントラストはほぼ均一であり、電流がメモリ素子全体を流れている状態になっていることが確認されたとする。

また、従来動作と低消費電力動作のそれぞれの低抵抗状態、高抵抗状態について、電流ノイズを計測したところ、低消費電力動作での高抵抗状態でのみ、ノイズの発生源である電子捕獲・放出が少ない場合に現れる1/f2ノイズが支配的になることが確認されたとのことで、この結果、ReRAMのさらなる低消費電力化には、電気伝導に寄与する酸素欠損の削減が必須であることが示されたと研究チームでは説明している。

なお、研究チームでは、産総研は現在、高信頼メモリシステムへのReRAMの応用研究や、ReRAM技術を活用した脳型推論用アナログ抵抗変化素子の開発を進めているが、いずれの研究開発においても、酸素欠損の位置や、その拡散の精密な制御を必要とするため、今回開発された技術は、これらの研究開発を加速する手助けになるとコメントしている。

(小林行雄)