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●蒸気のちからで炊くごはん
バルミューダは水蒸気の熱を利用してコメを炊く炊飯器「BALMUDA The Gohan(バルミューダ ザ・ゴハン)を発表した。ごはんは日本人のこころ。様々なメーカーがこだわりの製品を発売する中、どのような勝負をしていくのだろうか。

○水蒸気で炊く炊飯器

トースター発売から注目度がグンと高まった同社。昨年のうちから、“次は炊飯器を発売する”というメッセージをインターネット上などで発信していたこともあり、発表会には多くの報道関係者が集まった。

「土鍋やかまどの直火で炊き上げられたごはんは、おいしいけれど、手間暇がかかる」「電気炊飯器で土鍋を超える味を実現させたい」などと、約1年半前から始まったバルミューダの電気炊飯器開発。ガスと比較して約3分の1のエネルギーしかない電気の力で、どうやって直火炊きを超えるかが大きな課題だったという。

ごはんの炊き上がりの好みも人によってまちまちだが、“土鍋を超える味”とはなにか。同社は、張りのある食感でありながら、中はふっくら、べちゃべちゃせず、粒がたち、ほぐれやすく、そして抜けるような香ばしいごはんを目指すものとした。

同社が行き着いたのは、蒸気の力を利用してコメを炊く炊飯器。古来からある蒸し炊きからヒントを得た、従来の電気炊飯器にはなかった炊き方だ。

炊飯器には、2つの薄い釜がセットされている。内側の釜にコメと水を入れるのは、従来と同じ。外側の釜に水を入れ、内側の釜を上に入れたらセット完了。炊飯は通常モードの白米60分炊き、早炊き、玄米、炊込、おかゆモードの5つがあり、最大3合まで炊くことができる。

●作り置きに、弁当にも向くごはん
セットすると、外側の釜に熱が加えられる。それによって発生した蒸気が、2つの釜の間から上にあがり、内側の釜に熱を加える仕組みになっている。土鍋でできる、ゆっくりとした加熱がこれによって可能になるのだ。

同社独自の温度制御技術によって、内側の釜が、急激な温度変化を起こしたり、水が沸騰する100度を超えないようにコントロールされている。沸騰すると、コメが釜の中で動き、煮崩れしてしまう。この方法によって炊かれる柔らかいごはんが好みの人もいるだろうが、同社の目指すごはんは、張りがあって、粒が立つものだ。だから、表面が崩れないようにゆるやかに熱が入るようにしている。

○冷めてもおいしい、省スペース

実際に食べてみると、炊きたてのごはんは、食感がしっかりとしていて、噛んでいるとだんだん口の中に甘みが広がった。好きなごはんの炊き上がりは、人によってまちまちだろうが、筆者は食べやすいという印象を受けた。 ごはんはさらにおかずとの相性も大事だが、ほぐれやすいから、明太子や、海苔、ふりかけ、そして生卵との絡まり具合も、ほどよかった。

そうは言っても、炊き上がったばかりのごはんは、大体おいしい。実力が出てくるのは、その後。冷めてしまって、味が落ちることが多いが、試食に出てきた冷めたおにぎりは、ほどよい硬さと、噛みしめるほどに出てくる味が健在していた。

3合炊きまでというのは、ファミリーには向かないサイズであるし、保温機能がついていない。しかし、3合炊きであるがゆえに、スペースをとらない。冷めても味の劣化が少ないとあれば、単身者や、作り置きをよくする人、弁当用にごはんを炊く頻度が高い消費者にとっては、むしろ味にこだわった分、機能はシンプルでちょうどいいという人もいるだろう。

●炊飯器は売れるか?
○バルミューダ炊飯器は売れるか?

目指すごはんのイメージを最初に共有して、それを実現するために最適な炊飯器を追い求めるというのが、同社のものづくりの仕方。「他社の動向などのマーケットリサーチではなく、こんなごはんにしたいという思いで走った」(同社広報担当)

炊飯器といえば、大手家電メーカーが、炊き上がりのごはんのおいしさにこだわったものや、ごはん以外の料理も作れる多機能なものなどを出している。アイリスオーヤマのようにワンポイントの個性で価格を抑えたものもある。最近も他社から個性的な製品が出たばかりだ。各社のこだわりの製品が多い中、どうやって同社は製品をアピールしていくのだろうか。

「バルミューダはCMをつくるといったことよりも、おいしさと、その製品がある生活、それがあることによってちょっとだけうれしくなるといったことを分かってもらう施策をしている」(同社広報担当)

少人数でも試食会を繰り返し、体験した人の口コミで興味を持つ人を増やす。そのようなことを継続して行い、製品の良さを伝え、ブランド力を高めていくのが同社流なのだそうだ。

炊飯器についても、2月あたりからメール会員向けの体験会をスタートし、訴求していくという。今年の目標台数は5万台だ。電子レンジ、コーヒーメーカーも今年もしくは来年の発売を目指して開発中。さらには、レトルトカレーの発売も検討しているという。製品を出すたびにファンをふやしていく同社は、炊飯器を出すことでどれほどファンを増やすことができるか。昨年から発売が告知されており、バルミューダファン待望の発売となるが、ポイントとなるのは、やはり炊き上がったごはんのおいしさをどれほど伝えることができるかだろう。今後の展開が注目される。

(冨岡久美子)