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by Robbie Sproule

11分間連続で腕立て伏せができるロボット「痛み」を感じて反応するロボット人工知能で判決を下す「裁判官AI」など、人工知能&ロボットの技術進歩はとどまるところを知りませんが、そんな時代を見据えるかのように、欧州議会の法務委員会がロボットの法的地位についての報告書を採択しました。

(PDFファイル)DRAFT REPORT with recommendations to the Commission on Civil Law Rules on Robotics



Europe calls for mandatory 'kill switches' on robots - Jan. 12, 2017

http://money.cnn.com/2017/01/12/technology/robot-law-killer-switch-taxes/index.html



MEPs vote on robots' legal status - and if a kill switch is required - BBC News

http://www.bbc.com/news/technology-38583360

ロボット技術の進歩に伴い、「自動運転カー」や「無人航空機(ドローン)」を含むロボットや人工知能をどう扱うか考えなければならない時代が来ていることから、欧州議会では2015年に「ロボット工学を最大限に活用する方法に関する法案を策定するための作業部会」を設置し、マディ・デルボー議員を代表として報告書の作成を進めてきました

デルボー議員が2016年5月31日に提出した報告書によると、2010年から2014年にかけての「ロボット」の売り上げは平均で1年あたり17%増加。特に2014年には自動車部品メーカーやエレクトロニクス産業を中心に29%の売り上げ増加がありました。また、ロボット工学技術に関する特許出願はここ10年で3倍に増加しているとのこと。

ロボットについては「第一条、ロボットは人間に対して危害を加えてはならない」「第二条、ロボットは人間から与えられた命令に従わなければならない(第一条に反しない限り)」「第三条、ロボットは自分を守らなければならない(第一条・第二条に反しない限り)」という、アイザック・アシモフによる「ロボット工学三原則」がよく知られていますが、実際にそれぞれの国での法整備が行われているかといえば、追いついていない面が多々あります。

デルボー議員はロボット工学三原則を引き合いに出した上で、ロボットがこういったことを自己認識できるようになるまでは、その責任は設計者・製作者・オペレーターに向くと指摘。ただし、自動運転カーのように自律行動するロボットは今後も増えていくと考えられるので、その法的地位をどうするべきなのかは早急に検討すべき課題であると提言しました。

また、デルボー議員は人工知能やロボットの設計者、そして利用者に向けてのライセンスについても提言しています。

人工知能やロボットの設計者向けライセンスの内容の一部はこんな感じ。

・プライベートな情報が適切かつ安全に利用されることが保証されるように機能を設計するべき。

・明確な機能停止機構(キルスイッチ)を搭載するべき。

・ロボットがそれぞれの国・地方・国際的な倫理・法的信条に従って動作するようにするべき。

・ロボットシステムのプログラミングは最大限透明化された状態にするべき。

・ロボットの設計段階で追跡ツールを開発するべき。

・人間と対話したときに、ロボットがロボットであると識別可能にするべき。

・実環境でのロボットのテスト実施や、設計と開発に人を関わらせるときには、研究倫理委員会から肯定的な見解を得てからにするべき。

利用者向けライセンスの内容はこんな感じです。

・肉体的・心理的に危害を加えられるおそれがない時に限ってロボットの使用が認められる。

・ロボットが知覚・認識・動作に制限がかけられている可能性があることを認識すること。

・肉体的・心理的両面の人間の弱さや、人間の感情面のニーズを尊重すること。

・倫理・法・規則に違反するような方法でロボットを使用することは認められない。

・ロボットを兵器として使えるように改造することは認められない。

なお、実際にロボットを作っている企業が加盟しているドイツ機械装置産業連盟は、電子的人間(電子人間)としてロボットについての法的枠組みを作るのは時期尚早な話で、ロボットの発展を阻害するものだと反発しています。

アングル:欧州のロボットは「電子人間」、社会保障費の負担も | ロイター

http://jp.reuters.com/article/eu-robot-idJPKCN0Z80B6