「働き方改革」的な転職もOK? 人材エージェントに転職の現実を聞く

<転職市場が活況な一方、「働き方改革」がニュースを賑わせている。実際、ライフスタイルの変化にあわせた転職希望も増えているが、「いまの会社は残業が多いから...」でもうまくいくものだろうか。転職市場の現状や転職に必要なスキルについて、『超転職術』の著者、田畑晃子氏に聞いた>

 転職市場が活況らしい。DODAの転職求人倍率レポート(2016年11月)によれば、11月の求人数は前月比で101.9%、前年同月比で126.1%となっており、24カ月連続で調査開始以来の最高値を記録しているという。転職希望者数も同様に増加傾向にある。

 一方、このところ長時間労働に対する問題提起が相次ぎ、政府も本腰を入れて「働き方改革」に乗り出した。となれば、個人が自分の働き方を見直し、その過程で転職を模索するというケースもあるのかもしれない。だが、例えば「いまの会社は残業が多いから...」といった動機の転職でもうまくいくものだろうか。

 現在、転職市場はどんな傾向にあるのか。転職活動に必要なスキルとは何か――。『採用側のホンネを見抜く 超転職術』(CCCメディアハウス)の著者である田畑晃子氏に話を聞いた。田畑氏はリクルートエージェント(現リクルートキャリア)出身で、法人向け採用コンサルタントとして年間MVP等を連続受賞し、トッププレイヤーとして活躍。2009年に独立、株式会社Keep in touchを設立し、人材エージェントとして活躍している。

人材エージェントの田畑晃子氏

――転職市場が活況を迎えていると聞くが、いまの転職市場をどう見ているか。

 わたしが『超転職術』を書いた2010年というのは、まだリーマン・ショックの余波を引きずっている時期でしたが、それ以降、転職市場はずっと右肩上がりの活況だと言っていいと思います。ただし、企業側の求人背景には数年ごとに変化があります。

 わたしの会社は業界や職種については特化しているわけではありませんが、これまでの実績として、企業の変革時期に必要なコア人材の仲介を多く手がけてきました。事業を拡大する多角期や、あるいは上場前後、上場後の変化にあわせて組織再構築を必要とする時期などです。また、創業者がオーナー社長として経営にあたっている企業も、クライアントには多くいます。

 そうした企業の傾向として、数年ほど前まで、最初のグローバル進出の波がありました。主にウェブやゲームなどの業界で、リーマン・ショック後に加速して元気になった企業が新たにグローバル展開するための人材を探していたのです。その後、企業によって明暗が分かれたこともあって、そうしたニーズはいったん落ち着きました。

 そしていま、再びグローバル人材を求める企業が増えていると感じています。海外へ再チャレンジしようとする企業や、グローバル化をさらに強化しようとする企業、グローバル進出した後の組織構築のための人材を探している企業もあります。また最近では、ドローンなどの「ネオ・マーケット」に進出するための求人も増えていますね。

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――いま政府は「働き方改革」の推進に力を入れており、求職者が多様な働き方を求める傾向にあるとの報告もあるが、実際にそのような時代になりつつある?

 確かに、ライフスタイルの変化にあわせて転職を希望する人は増えていますし、自分が求める働き方を条件として提示する人も多くなっています。そして、そうした求職者のさまざまな要望に柔軟に対応する企業が増えていることも事実です。

 しかしながら、個人が求める働き方が多様化したから企業がそれを受け入れるようになったのではなく、実は、企業側が変わってきたことが先ではないかと、わたしは考えています。

 いま多くの企業にとって懸念となっているのが「2025年問題」です。団塊の世代が75歳を超えて後期高齢者となり、国民の3人に1人が65歳以上になる社会において、労働人口が大幅に減ることが予想されています。一方で個人の働き方も多様化してきている。したがって、それらを予測し、いかに優秀な人材を自社に引きつけ、働き続けてもらうかが企業にとって切実な課題になりつつあるのです。

ニューズウィーク日本版ウェブ編集部