お金に苦労せず、幸せに生きていくことを目指す【脱貧困診断】。今回の相談は、IT関連会社に勤める井筒美穂さんから。
「31歳、実家暮らしの会社員です。家族がうるさいので一人暮らしをしたいと思っています。会社は渋谷にあります。お給料は手取りで26万円程度です。貯金は300万円くらいあります。どのくらいの広さで、いくらくらいの物件を、どのあたりで探すのがベストでしょうか。相場を教えてください。せっかく一人暮らしをするのですから、あまりショボのはイヤです。恋人はいませんが、35歳までには結婚したいと思っています」

さっそく森井じゅんさんに教えていただきましょう。

☆☆☆

会社員の一人暮らし。最初にすることは手当と補助の確認

質問者さんは一人暮らしをお考えなんですね。一方で、4年後には結婚も考えている。ということは、そのための費用なども貯めたいところですね。自由な一人暮らしと将来のための貯金、どちらを選ぶか、もしくはどう両立させるかがポイントですね。

実家暮らしと一人暮らしでどのように収支が変わってくるかは、その人それぞれの状況によって様々です。一人暮らしを考える場合、まずすべきこと。それは、お勤めの会社の住宅手当・家賃補助を確認です。

住宅手当・家賃補助は、会社の就業規則や賃金規定で定められています。法律等で定められているものではなく、会社が任意で支給するものなので、手当・補助自体がない会社ももちろんありますし、手当の金額についても会社それぞれです。扶養家族の有無などを支給基準としている場合もありますので、注意深く就業規則や賃金規定を確認してください。また、規則・規定は時間とともに変わってきています。最新の規則・規定を確認することも忘れないでください。

住宅手当は企業等が従業員への福利厚生として、その名の通り住宅費の一部を補助するものです。基本的には、実家暮らしの場合にはそのような手当はありません。その仕事のために住宅費がかかっていることを想定して、その費用の一部を負担してあげようという制度です。そのため、実家を出ても家やマンションの購入などの場合には手当がつかないことも多いです。いずれにしても、規則・規定を確認しましょう。ちなみに、2010年の厚生労働省の調査では、住宅手当を支給している企業のうち支給金額の平均は約1万7000円でした。 

一人暮らしをすることで新たに発生する費用を把握しよう

今回は実家暮らしと一人暮らしの比較なので、一人暮らしをした場合に追加でかかる費用を考えます。
まず光熱費。電気代やガスなどの料金です。目安としては1万円程度でしょう。
そして食費。平日の昼食代は、実家の人でも外食や社食だったりお弁当を注文したりする人が多いのでは。また実家暮らしであっても、土日は外出先で食事をするということもありますよね。追加で必要となる平日の朝と夜の食費はうまく自炊をすれば1万円程度に抑える事が可能です。
また、日用品・消耗品・雑費。実家暮らしでもある程度の消耗品の購入はあると思いますが、トイレットペーパーや洗剤、その他身の回りのもので追加的にかかかるものとして月平均5000円と仮定します。

通信費は、スマホ代などは実家暮らしでも自身で負担しているケースが多いので、一人暮らしによって追加でかかるものはないと想定。それでも、予備として5000円を計上しておきましょう。また、交際費やおしゃれ代も、一人暮らしになったせいで生活がひどく派手になるということでもなければ、追加になるものはないですよね。

そして住居費です。

一人暮らしの費用の中で、家賃は一番大きなウエイトを占めます。家賃は毎月の費用であり、たとえ収入が減ったとしても支払金額の変わらない固定費です。毎月他の費用をやりくりして1万円節約するのは大変ですが、家賃を節約できれば苦労せずにお金を浮かせることができますね! 物件選びが、今後の生活のゆとりや貯金額にダイレクトに影響します。ただ、安さばかり重点に置いてしまうと生活に支障が出てきてしまうので、バランスが大事です。

手取り26万円なら6万5000円の家賃を目安に

家賃は手取りの3分の1程度が妥当な金額と言われることがあります。相談者さんの手取りが26万円ということなので8万6000円ですね。ただ、これは「超えてはいけない一線」です。この金額をベースに物件を見はじめるのはやめてください。高い物件から見はじめると、安い物件を見ても見劣りしてしまい決めにくくなってしまいます。物件探しでは、賃料が高ければ高いほど選べる部屋が増えるため、上を見上げるとキリがないものです。限られた予算の中からできるだけ理想の条件に近づけていくことが大切です。

相談者さんの給与水準だと、手取りの20%〜25%を目安に考えてほしいです。金額で言えば5万円台の物件から見はじめて6万5000円くらいの物件で決めたいですね。家賃で2万円セーブできれば1年で24万円です。結婚をお考えの35歳までの4年間で家賃96万円、それに礼金や手数料・更新料等の影響もあわせれば110万円もの差が出ます。

相談者さんは、あまりしょぼいのはイヤと言っておられますが、これだけは譲れないポイントというのはありますか? 駅からの距離だったり、部屋の広さだったり、住所だったり。人にはそれぞれこだわりがありますよね。私自身のこだわりは、駅からの距離と子供の通う小学校からの距離です。両方とも徒歩2分以内です。部屋の大きさも間取りも気にしませんでした。目黒で働いている友人は広い部屋がいいと、春日部駅からバスで15分のところに住み片道2時間近くかけて通勤しています。私も友人も自分のこだわりを守り、満足しています。何より、自分の譲れないポイントと家賃を考えて物件を選ぶことが大事です。

上の計算から、一人暮らしをすることで新たに発生する費用は約9万5000円です。会社から住宅手当が出るようならその分追加負担は減りますし、家に入れているお金(平均3万)が不要になるならその額がセーブできます。住宅手当・家に入れるお金がそれぞれ上に挙げた程度であれば、一人暮らしをすることの追加負担は月4万8000円です(9万5000円ー1万7000円ー3万円)。自由な一人暮らしと4万8千円の追加負担を比較していかがでしょうか。

お金を貯めるゴールデンタイムは、扶養しなければいけない家族がいないひとりの時代です。

質問者さんはちょうど貯蓄のゴールデンタイムにいます。「一人暮らしをしたつもり貯金」として毎月5万円を貯蓄などに回すと、35歳までの4年間で240万円になります。甘えられる実家があるのであれば、実家で「一人暮らしをしたつもり貯金」も、候補に入れてもいいかもしれませんね。

夢の一人暮らしは節約との戦いなのである。固定費がかかるというのは、息をするだけでお金が出ていくということでもあるのだから。



■賢人のまとめ
今一度、一人暮らしの気楽さと追加負担額を比べて検討してみましょう。実家での「一人暮らししたつもり貯金」も候補に入れてみてください。

■プロフィール

女子マネーの達人 森井じゅん

1980年生まれ。高校を中退後、大検を取得。レイクランド大学ジャパンキャンパスを経てネバダ州立リノ大学に留学。留学中はカジノの経理部で日常経理を担当。

一女を出産し帰国後、シングルマザーとして子育てをしながら公認会計士資格を取得。平成26年に森井会計事務所を開設し、税務申告業務及びコンサル業務を行なっている。