RockinJelly Beanとマリオ・クジク監督、東京ガレージ・ロック・シーンを語る

写真拡大 (全7枚)

1980年代後半、新宿でスタートして、30年近く続いている東京ガレージ・ロック・イベント、Back From The Graveァやがてそこからは、The 5.6.7.8釻s、ギターウルフ、TEENGENERATEなど、様々なバンドが海外へと飛び出していくことになる。

年齢、キャリアに関係なく、何をやっても自由! そんなユニークな遊び場を作り出したのは、Daddy-O-Nov(ダディ・オー・ノブ)というひとりの男だった。そして、そのクレイジーなシーンを5年に渡って追いかけたのが、クロアチアからやって来たマリオ・クジク監督によるドキュメンタリー映画『GARAGE ROCKIN釻 CRAZE』だ。クジク監督は異国のロック・シーンに何を見たのか。シーン黎明期から活動するバンド、Jackie & The Cedrics(ジャッキー&ザ・セドリックス)のメンバーでもある覆面画家、Rockin釻Jelly Bean(RJB、ロッキンジェリービーン)と共に、シーンについて、そして映画について熱く語ってもらった。

―クジク監督がBack From The Graveイ篥豕のガレージ・ロック・シーンに興味を持ったきっかけは何だったのでしょう。

マリオ:元々ガレージ・ロックは大好きだったんです。日本には10年くらい住んでいたんですけど、そういうバンドを観るにはどこに行ったら良いかわからなかった。チラシを観ても日本語はわからないし。そうこうしているうちに、ギャスパー・ノエ監督の『エンター・ザ・ボイド』という映画に出演していたシリル・ロイという役者さんと仲良くなったんです。彼が日本のロック・シーンに詳しくて、いろいろ教えてくれました。

―ライヴに行ってみてどうでした?

マリオ:イ海海賄傾颪澄イ辰道廚い泙靴拭幣弌法自分が探し求めていたものがようやく見つかったと思って嬉しかったです。イ海鵑淵┘優襯ッシュなシーンがあるんだったら絶対撮らなきゃいけない!イ隼廚辰董▲薀ぅ凜魯Ε垢縫メラを持ち込んで撮影するようになったんです。


Texaco Leatherman (C)2016 Freza Films

―勝手に撮って怒られるんじゃないかって思いませんでした?

マリオ:最初は後ろの方からこっそり撮ってました(笑)。でも、カッコいいバンドを観たら撮らずにいられなかった。それで撮ったものを家でPV風に編集してYouTubeにアップしたら、それを見つけたバンドの人がイ海戝が作ったの!?イ辰洞辰い謄灰瓮鵐箸鯑れて。それでニ佑任骨イ辰届⇒蹐靴燭蕁イ△蠅とう!イ辰憧脅佞靴討れました。次のライヴでバンドに挨拶して仲良くなって、そのバンドのライヴを見に行くようになると対バンがいろいろ出てる。そこで気になるバンドに出会うと、そのバンドのライヴを見に行って撮影する・・・そういう風にして、いろんなバンドを知るようになったんです。

―クジク監督のように海外の方が日本のガレージ・ロック・シーンを記録していることを知って、ジェリービーンさんはどう思われました?

RJB:自分達のシーンには面白い人が多いし、お客さんも面白いんで、ハービー・山口がロンドンのニューウェイブシーンを撮っていた様に、このシーンを誰かが記録してくれたら・・・と思っていたんです。なので、マリオが撮ってくれているのを知って、とても嬉しかった。

マリオ:ヨーロッパやカナダでもいろんなライヴを見ましたが、日本のガレージ・ロック・シーンは特別です。日本の人達にとっては普通のことかもしれませんが、海外のシーンより密度が濃い。だから日本の人が記録するより、外国人の僕が撮るほうがシーンの面白さが伝わるんじゃないかと思います。

―シーンの内側にいるジェリービーンさんから見て、東京のガレージ・ロック・シーンの特徴はどんなところだと思いますか。

RJB:映画のなかでみんなが言ってるように、ダディ・オーがいることじゃないですかね。年齢とか性別とか関係なく、自由にめちゃくちゃやれる。それがほかのシーンと違うところなんじゃないかと思います。


Daddy-O-Nov (C)2016 Freza Films

―ダディ・オー・ノブさんは映画のなかで大きくフィーチャーされていますが、監督はノブさんのどんなところに惹かれました?

マリオ:自分がやりたいことが頭のなかで完全にイメージできていて、それを再現できるところです。ノブさんに会う前は、イ海鵑紛烈なロックンロールのイベントを主宰してるんだから、絶対怖い人だろうイ隼廚辰討泙靴拭でも、実際会ってみると、チビで可愛いおじさんで(笑)。年齢もそんなに離れてないし、すごく仲良くできたのも嬉しかったです。

―映画を見ると天使みたいな人ですよね。

RJB:今はそうですけど、昔は悪いところもいっぱいあったんですよ。最初の印象はシなじじいァ幣弌法だからよくケンカもしてたし、酒飲んでだらしなかったしね、可愛い女の子を見たらすぐ声をかけるし。でも、シーンを通じて成長したんだと思うんですよね。まあ、俺達も全然子供だったから、そういうダメなところはみんなにあったんだけど。年々マリオみたいにダディ・オーを慕ってよその国から来たり、イベント出たいって言ってくれる人がいたりするようになって、彼も変わっていったんだと思います。

マリオ:ノブさんはミュージシャンじゃないのに、こんなすごいシーンを作り出している。それを見ていると、自分もバンドはやっていないけど、映画を通じてシーンに貢献できることがあるんじゃないかって思ったんです。ジェリーさんもイベントのポスターを描いたりしているし。ゲ燭手伝いたいなイ辰道廚錣擦訖佑覆鵑任后▲離屬気鵑蓮

RJB:そこにいて楽しい空間をダディ・オーが作ってくれるというか、彼が先頭に立ってやってるから続いてるんでしょうね。それを見ていた若い子たちが、自分たちもやりたいって言って、上の者は上の者で、なかなかやめる気がなくて(笑)。

―映画のなかで、ミュージシャンのひとりがァ悒蹈奪ンロール・ハイスクール』みたいな場所だイ辰童世辰討泙靴燭韻鼻確かにそんな雰囲気を感じました。OBから新入部員まで、部室でわいわい楽しくやってるみたいな。

RJB:そうですね(笑)。マンガみたいな世界というか。メジャー志向の人達もいて、毛皮のマリーズとかキノコホテルなんかもイベント出てもらったことあると思うんだけど、ぽーんとメジャーに行っちゃう。でも、自分の感覚ですけど、メジャーは大変だろうなっていうのもあるし、別に音楽でご飯を食べて行きたいわけではない。ずっと音楽を続けてたいっていうのがあるから、あんまりメジャーに出たいとは思わないんですよ。みんな、ずっと部活をやってたい、みたいな(笑)。

―ジェリービーンさんはシーンの黎明期からいたわけですけど、最初の頃はどんな感じだったんですか?

RJB:最初はエノッキー(ジャッキー&ザ・セドリックス)に誘われたんですよ。イ舛腓辰畔僂兵膾房圓凌佑、ケイヴマンの格好をして次のバンドを紹介したりするイベントがあるんだよイ辰董その頃、俺は洋楽を聴いていて、テ本にカッコいいロック・シーンなんてあるのかな?イ覆鵑道廚辰討燭鵑世韻鼻行ってみたら、多分ネオGSの流れをくむバンドがいくつか出てたのかな? 結構スタイルがあってカッコイイ! って感じがした。そのイベントが月一であったんだけど、それがひとつのシーンになっていくのを見ているのは面白かったね。


ギターウルフ (C)2016 Freza Films

―そして、90年代に入ると、シーンで活躍していたThe 5.6.7.8釻sやギターウルフなど、いろんなバンドが次々とアメリカに飛び出していきますよね。仲間としては嬉しかったですか?

RJB:彼らは遣唐使ですから(笑)、ロック遣唐使! 向こうでいろんな人達と仲良くなって、カルチャーを吸収して、爪痕を残して帰ってくる。そして今度はファントム・サーファーズみたいな海外のバンドを日本に呼んだりしてね。

―ジェリービーンさんはイラストレイターとして、シーンから影響を受けたりもしました?

RJB:もちろん。そこは切り離せない関係ですね。Rockin釻Jelly Beanイ辰討いμ樵阿燃┐鯢舛出したのは、自分のバンドのフライヤーが初めてですから。そもそもフライヤーが好きで、若い頃にいろんなバンドのフライヤーを集めていて、自分の絵をアピールするのに一番良い媒体だと思ったんです。いろんなバンドのフライヤーやポスターを描かせてもらったり、ジャケットやらせてもらったりして今の自分がいるので、このシーンが俺のフィールドというか。イベントに来てるお客さんや仲間たちに一番自分の作品を知ってもらいたい。普通に自分のTシャツを着たイカしたヤツらがいっぱい客席にいたら、嬉しいなぁ。

―ちなみに、監督とジェリービーンさんはどんな風に知り合ったんですか?

マリオ:ジェリーさんのことは『キラーコンドーム』っていう映画のポスターで初めて知りました。それから2〜3年後、仲良くなったロスリズラズというバンドのメンバーにジェリーさんを紹介してもらったんです。

RJB:ゥ┘蹈好謄カイ辰討いλ佑療垢5周年記念のイベントの時にね。

マリオ:そのイベントのポスターを持っていってイ垢澆泙擦鵝▲汽ぅ鵑靴討ださいイ辰董ちょっとビビってたんですけど(笑)、優しく喋りかけてくれました。日本のバンドの人達はみんなそう。すごくワイルドな音楽をやってるけど、楽屋ではみんな優しい。

RJB:みんな、マリオがカメラ回してると何か面白いことをやりたくなるんですよね。それもあって、この映画が面白くなってるんだと思う。同じ日本人からカメラ向けられるのとは違って、外国の人に向けてアピールしている感じがあるから、よりおどけてみせたりとか。もちろん、マリオのことを仲間だと思ってるから自然な感じでいられるのも大きいと思うけど。


The 5.6.7.8釻s (C)2016 Freza Films

―バンドもお客さんも、みんな楽しそうなのが印象的でした。

RJB:みんなイイ顔してるよね。それはマリオに対しての表情なんだと思う。その中でも、とびきりイイ顔してるのがダディ・オーで(笑)! そこが面白い思うし、そのたくさんのイイ顔をいろんな人たちに見て欲しいと思いますね。こんな世界があるっていうのを見てもらいたい。

マリオ:自分の尊敬する人に、そう言ってもらえると光栄です。ジェリーさんはイラストレイターとしてもミュージシャンとしても素晴らしい!

―監督はジェリービーンさんがジャッキー&ザ・セドリックスというバンドをやってることは知ってたんですか?

マリオ:知りませんでした。後で知って、ゲ山擇發任るイラストレイターなんてすごい!イ辰洞辰ました。ジャッキー&ザ・セドリックスは何回も見てます。いつも、エネルギッシュでビンビン! ウェイターの制服を着て、踊れる曲もたっぷり届けてくれる。演奏もタイトでカッコいいです。

―そもそも、ジャッキー&ザ・セドリックスはどんな風に生まれたんですか?

RJB:学生の頃、エノッキーとバンド名を考えるのが流行ってたんですよ。ニッキー&ザ・コルベッツっていうバンドがいるじゃないですか? そんな感じでタ佑量樵阿伴屬量樵阿料箸濆腓錣擦辰討いい梨イ辰討海箸砲覆辰日テ本だったらセドリックだろうイ函イ犬磴◆▲献礇奪ー&ザ・セドリックスってどう?イいい佑─どんなバンドだろうゥ機璽侫ンじゃない?イ辰討海箸如

―え? 名前優先でサウンドが決まったんですか。

RJB:そうです(笑)。最初は女装してガールズ・バンドをやろうとか、いろいろ言ってたんですけど、いざセドリックスを始めるとサーフィンは奥が深くて26年続いてます(笑)。

―サウンドはもとより、世界観も大切なんですね。二人にとってガレージ・ロックの魅力ってどんなところですか。

マリオ:シンプルでピュアで、ギターを持ったら誰とでもすぐ演奏できる音楽。そこが魅力的です。ストーンズやビートルズを聴いてバンドをやりたくなるけど、練習するスペースがないから親の車庫(ガレージ)を借りてガンガン練習する。それからオリジナルを作ったり、狂ったような独特なカヴァーをしたり。

RJB:自分は古い物が好きなので、温故知新というか、失われて今はないような文化や音楽を掘り下げる楽しさがあるんですよ。あと、CDが出て来たときに、ゥ侫.奪CD!イ箸言って絶対CDは作らないマミーズみたいなバンドがいたんですけど、そういう進化に対する反抗みたいなところもあるかな。

マリオ:とにかく、みんなこだわりがスゴい! レコード、楽器、ファッション。バンドも観客も、みんなマニアックです。だから東京のガレージ・ロック・シーンは音楽を越えたサブカルチャーになってると思います。


(C)2016 Freza Films

―ジェリービーンさんの手掛けたポスターを見るだけでも、シーンのユニークさが伝わってきますね。

RJB:いつもはゥレージの世界観をどうカッコよく出そうか?イ辰討いΔ里鮃佑┐討笋襪鵑世韻鼻映画を観て感動して、これは出てくるみんなを描きたいなと。それに、他のシーンの人たちとか、他の国の人たちにも観てもらいたいから、まず、自分のウリでもある女の子を全面に出しておいて、上から順番に、初期のバンド、中期のエース達、最近のニューフェイスっていう風に描き込んでいったんです。そしたら、みんなの似顔絵を描くのにハマってしまって。このポスターに描かれている人はみんな映画に出ているので、ぜひスクリーンで発見してほしいですね。

―なるほど。では最後に監督から映画公開にあたってひと言お願いします。

マリオ:このガレージ・ロック・シーンが僕をインスパイアしたみたいに、この映画が若い人をインスピレーションを与えることができたら素晴らしいと思います。別に楽器ができなくてもロックンロールはできる。僕が映画を撮ったみたいに、いろんなやり方で。そして、この映画に欠けているところを、もっと掘ってくれる人達がこれから出て来てくれたら嬉しいですね。


監督のマリオ・クジク(写真右)と脚本を担当したB.B.クラーク(写真左 取材当日は監督の通訳も担当してくれました) (C)2016 Freza Films

Mario Cuzic
マリオ・クジク 1973年、クロアチアからカナダへ移民した両親のもと、カナダ・オンタリオ州トロント市で生まれる。本作『GARAGE ROCKIN CRAZE』は初の長編映画監督作品で、ボスニアヘルツェゴビナ・第17回MEDITERAN FILM FESTIVAL、オランダ・CAMERA JAPAN FILM FESTIVAL2016に正式出品作品されている。

Rockin釻Jelly Bean
ロッキンジェリービーン 1990年より、日本のガレージ・ロック・シーンでフライヤー、ジャケットなどの制作を開始。1996年の渡米をきっかけに、ローブロウ・アートシーンのアーティストとグループ展に参加。同時にブランドEROSTY POP!イ鮴瀘。7年間LAで活動ののち、2005年に拠点を日本に移す。現在は原宿でショップEROSTIKAイ鬟廛蹈妊紂璽垢垢襪たわら、様々な分野でアートワークを提供。国内外、インディ、メジャーの枠を越えて活躍中。

『GARAGE ROCKIN CRAZE』
監督/マリオ・クジク
出演/The 5.6.7.8釻s、20 Hits、Theee Bat、Baitones、Bobby釻s Bar、Daddy-O-Nov、Mr.Death、The Drexel、Eddie Legend A-Go-Go、The Fadeaways、Firestarter、The Fly & His One Man Garbage、Gasoline、Great3、The Great Mongoose、Jackie & the Cedrics、Jet Boys、Jimmy Mashiko、Los Rislaz、Minnesota Voodoo Men、Pinky Aoki、Rock-A-Cherry、Saturns、Supersnazz、Stompin釻 Riffraffs、The Titans、Texaco Leatherman、Vivian Boys、Young Parisian、ギターウルフ、ザ・シャロウズ、東京 Cramps、マキニカリスほか
16:9 カラー HD 98分 英語字幕付 2016年 日本映画
配給:日本出版販売 提供:キングレコード+日本出版販売

1月14日(土)より1月27日(金)まで渋谷HUMAXシネマにて、
1月28日(土)より2月3日(金)まで名古屋シネマスコーレにてレイトショー公開
http://garage-rockin-craze.net/