トランスジェンダーという言葉はよく耳にするようになったけど、実際彼らのことをどれだけ知っているかと聞かれると、心もとない人も少なくないのでは?

そこで今回は、コスモポリタン アメリカ版がまとめた、トランスジェンダーにまつわる基礎知識をお届け。

間違った代名詞で呼ばれた人は、自分が尊重されていない、価値がない、拒絶されている、疎外されている、不安だ、などの感情を持ちます。

アメリカのLGBT支援組織<GLAAD(中傷と闘うゲイ&レズビアン同盟)>によると、トランスジェンダーとは、「生まれついた性別と、ジェンダーアイデンティティおよび/あるいはジェンダーの表出の形態が異なる人々の包括的概念」のこと。

つまりトランスジェンダーの男性とは、女性として生を受けたけれど、男性のジェンダーアイデンティティを表現するようになった(あるいは、しつつある)人。トランスジェンダーの女性とは、男性として生を受けたけれど、女性のジェンダーアイデンティティを表現するようになった(あるいは、しつつある)人、ということ。

トランスジェンダーの人々にとって、代名詞は大きな問題。ウィスコンシン大学におけるLGBT支援組織<LGBT Resource Center>は、「間違った代名詞で呼ばれた人は、自分が尊重されていない、価値がない、拒絶されている、疎外されている、不安だ(あるいはそのすべて)、などの感情を持ちます」と解説。

また、間違った性別(自分が同一化していない性別)として扱われることで、非常に傷つき、深い傷を残すことも。これは、ジェンダー・ディスフォリア(性別違和)と呼ばれる心理的状態で、アメリカの心理学雑誌<Psychology Today>によれば、「異なる性に対する、強力で持続的な同一化の感情により、生まれついた性に対して多大なストレスや違和を覚えること」とのこと。多くのトランスジェンダーの男性や女性が、自分自身でいることを受け入れてもらえないストレスと心の傷から、この症状に悩むそう。これは悲しいことに、41%というトランスジェンダーの人々の自殺未遂率の高さの大きな要因になっているのだとか。

彼らは自分が"本物"に見え、その性別として扱われるよう努力しているのです。

自分を正しく認識してもらうことは、自尊心を保つために必要不可欠なこと。だからこそ、誰もがトランスジェンダーの人々を彼らが望む代名詞で呼ぶことが重要。ニューヨーク州立大学オールバニ校におけるLGBT支援組織<Gender and Sexuality Resource Center>のコーディネーターであるコートニー・ダレールさんは、トランスジェンダーの人々に対して"彼ら"という代名詞を使用。"彼ら"は、「どんな代名詞を使えばいい?」という質問が、「どんな仕事をしているの?」と同じくらい一般的になることを望んでいるそう。

とはいえ、これは誰にでもあてはまるものではないよう。トランスジェンダーの男性や女性の中には、周囲から即座に男性・女性として認識されることを望み、その性別で扱われるよう日々格闘している人もいて、彼らは「彼」「彼女」と呼ばれることを強く希望しているのだとか。だから、相手がどう呼ばれたいか確信が持てないときは、本人の指示に従うか、礼儀正しく聞いてみることが肝心。

ただし、<GLAAD>によると、唯一聞いてはいけない質問があるそう。それは、トランスジェンダーの人が手術を受けたか、あるいは検討しているかという点。なぜなら生殖器については、とてもデリケートな問題だから。トランスジェンダーの人の中には、豊胸手術をする人もいれば、外性器を再建する人もいるし、ホルモンを投与するだけの人、何もしない人もいるそう。

生殖器に関する不適切な質問を回避するのに加え、トランスジェンダーの人々がしばしば向き合わなければならないのが"パッシング"。"パスする"というのは、自分が同一化(自認)している性別として見られ、それについて周囲から質問されずにすむこと。ダレールさんによると、「パッシングは多くの場合、安全そのものであり、自らのコミュニティや公共空間で嫌がらせや暴力なしに生活できるという状況を指します。受容されているということでもありますね。特にジェンダー探しの旅を始めたばかりの人々にとって、パッシングは1つのゴールです。彼らは自分が"本物"に見え、その性別として扱われるよう努力しているのです」。でも、すべてのトランスジェンダーの人々がパッシングを重視するわけではないそう。「片や、パスすることにまったく関心のない人々もいます。人によっては、パッシングはもう1つの"社会的抑圧"の形式となりえる場合もあるのです」。

"抑圧"は、非常に深刻なテーマ。ある研究によると、社会の偏見が原因で、トランスジェンダーの人々におけるうつや不安症状、自殺の発生率は高くなっているそう。最近では、2016年3月にノースカロライナ州がある法案を可決。その内容はトランスジェンダーの人々に、彼らが同一化(自認)する性別の公衆トイレを使用することを禁じるというもの。ジョージア州立大学の研究によると、トイレの使用を禁止したことで、トランスジェンダーの人々の自殺リスクを高める結果になってしまったのだとか。

一方で、活動家たちのたゆまぬ努力により、トランスジェンダー・コミュニティは以前よりはるかに多くの支援を受けるようになっているのも確か。例えば、エミー賞を受賞したテレビ番組『Transparent』は、トランスジェンダーの女性とその家族の話。この作品がきっかけとなり、トランスジェンダーの人々の就職事情やその生活について、議論が巻き起こったよう。

トランスジェンダーとして有名なセレブ

元オリンピック選手のケイトリン・ジェンナーは男性として生まれたけれど、今では最もよく知られたトランスジェンダー女性の1人。彼女は<Arthur Ashe Courage Award>や<Glamour's Woman of the Year Award>など数々の賞を受賞しており、トランスジェンダー女性としての新生活をリアリティショー『I Am Cait』でも紹介。ただし、トランスジェンダー・コミュニティはケイトリンの活躍に複雑な思いも抱いているそう。というのも、彼女は"カミングアウト"の成功例で、それ自体は喜び誇るべきものだけど、彼女の持つ有名人としての特権は、誰もが手に入れられるものではないからなのだとか。

トランスジェンダーの人々がテレビに出た最近でのもう1つの快挙は、2016年にエミー賞受賞ホームコメディ『モダン・ファミリー』に初めてトランスジェンダーの子役が出演したこと。8歳のトランスジェンダーのジャクソン・ミラーカーは、同性婚カップルの娘リリーの友達役を務めたそう。

多様化が進み、あらゆる性に対する意識も変わりつつある現代。協議されるべき問題はまだ山積みだけど、すべての人が生きやすい世界にするためには、まずは1人1人が知識を身に着け、理解に努めることが大切なようです。

この翻訳は、抄訳です。

Translation:mayuko akimoto

COSMOPOLITAN US