photo by  Michael Vadon via flickr(CC BY-SA 2.0)

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 全世界が固唾を吞んで見守るドナルド・トランプ新大統領の就任が近づいている。

 1月20日にワシントンDCで行われる就任式は、エルトン・ジョンやセリーヌ・ディオンといった大物アーティストが次々と出演を拒否したことでも話題になり、いわくつきとなっているが、当のトランプ氏はまったくどこ吹く風といった様子で、やる気に満ち溢れているという。何せこれまで、自身のスピーチはスピーチライターにほぼ任せきりだったにもかかわらず、就任式だけは自ら内容を考えたいと、原稿作成チームの中心になって陣頭指揮を執るという張り切りぶりなのだ。

◆やる気満々で自らスピーチ第一稿を執筆

 トランプ氏が考えたスピーチの中身とは、どのようなものか?

 複数の米主要メディアが伝えたところによると、同氏はスピーチ原稿の第1稿を自ら執筆しており、それはロナルド・レーガン、ジョン・F・ケネディ両大統領のスピーチを参考にしたものだと、事情を知る関係者が証言している。スピーチのスタイルは自信に満ち溢れたレーガン流、国家の明るい未来を思い描けるような表現力はケネディ流にしようと考えているのだという。

 ワシントン・ポスト紙では、トランプ氏に近いある人物が「彼はレーガンについて延々と語り、どれだけ彼を尊敬しているかについて話していた。ただレーガンだけでなく、ケネディがいかに国に活気を与えたか、いかに世界初の有人宇宙飛行で月面着陸に成功したことで夢を与えたかということも語っていた。スピーチの第1稿を書くに当たり、彼はこの2人の大統領を念頭に置き、原稿作成をしていた」と話している。特に、大統領就任式から数カ月後の5月29日がケネディ大統領生誕100年に当たるため、トランプ氏はかつてのカリスマ的大統領JFKとの縁のようなものを感じ、かなり意識しているらしいという。

◆トランプが参考にするケネディ、レーガンの演説

 ケネディ大統領は、就任式のスピーチで「「Ask not what your country can do for you; ask what you can do for your country(国があなたに何をしてくれるかを問うのではなく、あなたが国に何ができるのかを問いましょう)」という名セリフを残したことでも知られ、同大統領のスピーチスタイルは、後に米国でよく用いられる「雄弁術」のスタンダートになったといわれている。そのスタンダードとは「話や文節、単語はできる限り短く」「要点は正しく順序立て」「簡潔で明瞭で強弱をつける」というものだ。

 レーガンは「偉大なコミュニケーター」と呼ばれた大統領であり、その理由は「シンプル」で「クリア」で「誠実」に話すというスピーチの基本がしっかりしていためだといわれている。スピーチで国民にアピールすることを非常に重視し、演説を行う前には俳優がセリフを覚えるかのように何度も練習を繰り返していたことは有名で、常に自然な語り口調で話ができるよう心掛けていたとも伝えられている。

 トランプ氏と就任式のスピーチについて意見を交換したという大統領史研究で有名なライス大学教授のダグラス・ブリンクリー氏によると、トランプ氏は大統領の歴史に非常に強い関心を持ち、過去の就任式について多くの質問をしてきたそうだ。ワシントン・ポスト紙のインタビューでブリンクリー氏は「JFKやレーガンのことと合わせて、彼が聞いてきたのは、ウィリアム・ヘンリー・ハリソン(第9代米国大統領)のことだった。ハリソンは就任式のスピーチを長々とし過ぎて過呼吸になったのだが、そのときの状況はどのようなものだったのかを詳しく話した」と明かしており、やる気満々でスピーチに臨むトランプ氏が、過呼吸になる心配をしている様子も窺える。