「今はかわいいけど、あと何年か後には絶対『うるせーくそババア』とか言われるんだろうね…」

子どもがまだ小さいうちから男の子ママの間で、こんな冗談のような愚痴を聞いたことはないだろうか? 

子どもが思春期になると同時に突入するのが「反抗期」。特に男の子の場合は「くそババア」という汚い言葉を吐いたり、まったく親と口をきいてくれなかったりすることも珍しくなく、子が小さいうちから戦々恐々としている男の子ママは少なくない。そして親から離れていき、もう関わりを持ちたがらない。男の子は、そんなイメージだ。

親離れは健全なことだが、その一方で女の子は大きくなっても友達のように母親と仲良くできるイメージが強いのも事実。そう考えると、男の子ママは反抗期をキッカケにより寂しさを感じてしまうことになるかもしれない。

●反抗期は親の価値観から抜け出すために起こる反動

「女の子の反抗期もけっこうキツイですよ(笑)。女の子は口が達者なので親が言い負かされることもしばしばですが、男の子は逆にムスッとする傾向にありますね」

こう語るのは、自身も女の子の親である子育てアドバイザーの和久田ミカさん。さらに和久田さんは男の子にありがちな「うるせーくそババア」系暴言を吐く理由として、次のように指摘する。

「そもそも反抗期というのは、子どもが親の価値観から抜け出すために起こる反動。価値観から飛び出すためには、男の子は女の子よりも勢いが必要で、だから『うるせえ!』とか『くそババア』という言葉を使って、なんとか抜け出せるようにもがくのです」(和久田さん 以下同)

●ママがいないと生きていけない…反抗期がない子どもの怖さ

その反面、男の子は小さい頃は女の子よりも甘えん坊で、“ママっ子”になる傾向が強い。和久田さんによるとその理由は「女の子に比べると『オキシトシン』というホルモンの分泌量が少ないため」だという。

オキシトシンはスキンシップをすると分泌されるホルモンで、別名「愛情ホルモン」「幸せホルモン」とも呼ばれるそうだ。男の子はそれをより欲するので小さい頃はママにたくさん甘えるが、反抗期になって突然豹変して暴言を吐く。そのギャップにママは深く傷ついてしまうのだろう。

「幼少期とのギャップが激しい親子ほど、絆が深かったということです。でも傷ついているのはママだけではありません。子どもも反抗することで痛みを感じているのです。逆に反抗期がないと、大きくなってもずっとママの価値観のなかから抜け出せていないことが考えられます。これでいいのでしょうか?」

ママの価値観から抜け出せないと、子どもはひとりで何かを決めることができなくなるという。何を行動してもママの存在や声が気になり、結果的に子どもは苦しむことになってしまう。つまり「うるせーくそババア」は、子どもが親の価値観から抜け出して自立を目指す健全な証拠。むしろ喜ぶべきことなのだ。

子どもはいつまでも親の価値観の中で生きてはいけない。それを心に留め、来るべき反抗期に備えたい。

(高山惠+ノオト)