By Andrew Reding

軽量なのに鋼鉄よりも丈夫で生分解性を持ち合わせるクモの糸は、特殊な化学物質を含むことから人工的に作り出すことが難しい素材でした。クモも少量しか糸を生産できないため、人工的にクモの糸を大量生産することは長年にわたって科学者が追い求めていた夢だったのですが、スウェーデン農業科学大学とカロリンスカ研究所の研究チームが、初めてクモの生産プロセスを模倣した手法で、長さ1kmの人工的なクモの糸を作り出すことに成功しました。

Biomimetic spinning of artificial spider silk from a chimeric minispidroin : Nature Chemical Biology : Nature Research

http://www.nature.com/nchembio/journal/vaop/ncurrent/full/nchembio.2269.html



Spinning spider silk is now possible | Externwebben

http://www.slu.se/en/ew-news/2017/1/spinning-spider-silk-is-now-possible/

クモの糸は絹糸腺という分泌腺に貯蔵されているたんぱく質の水溶液から作られており、ほかの生物や細菌から水溶性クモ糸たんぱく質を得ることは困難とされていました。一方で、クモ自体もクモの糸を少量しか生産できないため、人工的な生産が難しい素材とされていましたが、スウェーデンの研究チームは「生体模倣紡糸プロセス」と呼ばれる自然なクモの糸の生産方法を模倣した「人工クモの糸」の製造方法を確立しました。



国際学術誌・ネイチャー ケミカルバイオロジーに発表された内容によると、クモの絹糸腺内がクモ糸たんぱく質を貯蔵するために絶妙なプロトン勾配に調整されていることから、クモ糸たんぱく質に特定の影響が現われているとのこと。研究チームはクモの絹糸腺を模倣したクモ糸生産器具を開発することに成功し、人工クモ糸たんぱく質を天然のものと同様に、たんぱく質を濃縮した水溶液として貯蔵でき、加工を可能にしたと報告しています。



研究チームは、「将来的に人工的なクモの糸が生体材料用、または特殊な織物用途で使われるようになる」と考えています。なお、日本のバイオベンチャー企業・Spiberがクモの糸をコンセプトにして作られた人工たんぱく質繊維「QMONOS」を完成済みで、アウトドアメーカーのTHE NORTH FACEからQMONOSで作られたアウタージャケット「THE MOON PARKA」の発売を予定しています。

「クモの糸」を人工合成 世界が注目するバイオベンチャー | 月刊「事業構想」2014年11月号

https://www.projectdesign.jp/201411/pn-yamagata/001713.php