写真提供:マイナビニュース

写真拡大

●豪華装備でリラックスした移動を提供
東京〜大阪間。首都圏で働く、あるいは関西圏で働くというビジネスパーソンならば、多くの方がこの区間の出張を体験したことであろう。その際、交通手段に何を選ぶか……。おおよその方が無条件に新幹線を選択するのではないだろうか。

さて、ここで東京〜大阪間のおもな交通手段を見直してみたい。まずは、先ほど挙げた新幹線。新幹線の最大のメリットは、数分単位で列車が出ていること。もっとも早く東京〜新大阪間を結ぶ「のぞみ号」ですら、日中は約10分単位で運行されている。

続いて候補に挙がるのが旅客機だろう。旅客機の最大のメリットは、言わずもがな移動時間が短いことだろう。空港へのアクセスやチェックイン後の手持ちぶさた、羽田空港や関西空港となると“タキシング”に時間がかかるといった面倒くささはあるが、離陸してしまえばうたた寝しているあいだに目的地に到着するのは魅力だ。

では、高速バスは選択肢に入るだろうか。高速バスの最大の利点は運賃が安価ということだが、乗車時間が長い、シートでくつろげないといったデメリットがまとわりつく。だが、旅客機のビジネスクラス以上、いや、完全個室ならば出張の移動の選択肢になりうるかもしれない。

関東バスと両備ホールディングスは、完全個室型の豪華夜行バス「DREAM SLEEPER」(ドリームスリーパー)を運行すると発表した。路線は東京・池袋駅西口〜大阪・なんば門真車庫で、2017年1月18日より運行を開始する。

○豪華シートだけでなくアメニティも充実

このバスの何が豪華なのか。まず、前述したように完全個室であること。しかも個室に用意されたシートは、チルト(高さ)調整、リクライニング調整、フットレスト調整が電動で行える。筆者が高速バスに乗ったのは学生の頃にさかのぼるが、当時に座ったシートとは別次元だ。

続いて目に入ってくるのがシート横に整然とそろえられたアメニティグッズ。スリッパやウェットタオル、歯ブラシ、アイマスク、耳栓といったグッズが用意されている。目の前のテーブルを倒してみると、奥行きが広く複数の食品メニューを置いておくことも可能だと感じた。

調光機能付き照明はもちろんのこと、フリーWi-FiやAC100V電源、USB充電コンセントも装備されている。移動中に“読書したい”“パソコンで作業したい”“スマホでニュースをチェックしたい”など、ビジネスパーソンが要求する用途に対応できるようになっている。ユニークなところでは「ウェルカムアロマ」や「プラズマクラスター」といったサービスもある。

バス1台に1室用意されたトイレは温水洗浄機能付き、バス後方にはパウダールームが備えられている。利用時にほかの乗客と重複するのではと思うが、いかんせん定員は11名だ。もし、これらの利用がかち合っても少し待てば問題ないだろう。

●宿泊料金を考えれば価格競争力はある
さて、これまでの高速バスと比べ、段違いで豪華なのはわかった。とはいえ、高速道路を移動する乗り合いバスであることにはちがいなく、新幹線や旅客機に対して移動時間という点で優位性があるわけではない。事実、この豪華バスの大阪方面の出発時間は22:50、到着予定は7:30となっている。サービスエリアでの休憩時間を挟むにしても、8時間以上の移動となる。

だが、こうも考えられる。東京から大阪出張におもむき、仮に朝9時に先方にアポイントがあった場合、向こうでの移動時間を考えたら朝8時には現地にいたい。乗換案内で東京→新大阪、到着朝8時で検索したところ、前日夜遅く出発の夜行乗り合いバスが表示された。つまり、新幹線を利用する場合は、前泊ということになる。それならば、豪華装備のバスでゆったり眠っているあいだに大阪に到着するという選択肢も現実味がわいてくるわけだ。

気になる運賃だが、さすがにほかの高速バスと比べかなり高く、運賃と座席料金合わせて大人一人20,000円になる(2月28日まで18,000円)。新幹線の新大阪までの運賃が13,620円(自由席、乗換案内で算出)だから、前泊するビジネスホテルの宿泊料が6,000円ぐらいだったら……つまり差はあまりないことになる。

○豪華列車ブームに追随した施策なのか?

さて最後に、筆者はこのドリームスリーパーの内覧会に招待された際、実はひとつの仮説を立てていた。それは、“豪華列車のブームにバス業界も便乗したのではないか”ということ。JR九州の「ななつ星 in 九州」、JR西日本の「トワイライトエクスプレス瑞風」、JR東日本の「トランスイート四季島」などなど……豪華列車の人気は高く、これらの乗車券は滅多に手に入らない“プラチナチケット”だと聞く。

「ドリームスリーパーは豪華列車の人気を意識したのか?」という筆者の問いに、両備ホールディングスの代表取締役会長 兼 CEO 小嶋光信氏も、同 代表取締役副社長も「豪華列車を意識したわけではありません」と即答した。つまり、筆者の見立ては的はずれだったのか。ウーン……。

(並木秀一)