着実に力を付けているサッカーカンボジア代表

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 東西経済回廊と南部経済回廊を中心とした物流ネットワークの拡充により経済の一体化が加速しているメコン経済圏。

 タイ、カンボジア、ベトナム、ミャンマー、ラオスで構成され、その中でも経済発展で先行しているタイ、ベトナムの間に国が位置するカンボジア。カンボジアは、メコン経済圏の中でも後発でありながら、また多くの新興国の景気が安定しない中、近年アジアでも屈指の7%という高い経済成長率を維持している。

 経済成長率が高い一方で、スポーツにおける普及、振興も高まってきており、そのカンボジアスポーツを牽引する存在がサッカーである。

 サッカーカンボジア代表の試合時、首都プノンペンに位置するオリンピックスタジアムには毎回満員の5万人以上の人々が足を運び声援をおくる。それだけではなくU16の試合時にも、3万人以上の人々が駆けつけるというのだから驚きだ。また、その人気に並走して着実にカンボジアサッカーが国際大会で結果を残し、今後の未来への期待を漂わせている。

◆国際大会で結果を出した“カンボジアアカデミー“

 カンボジアは2023年東南アジア競技大会(SEAゲームズ)の自国開催を目指し、その中でもサッカーを重点強化競技の1つとして定めている。

 2013年末からアカデミーチームの指導にベガルタ仙台でもアカデミーの指揮をとっていた壱岐友輔氏とその後任だった井上和徳氏が指揮を執りカンボジアサッカーの普及に従事している。その甲斐もあり2016年は指導の成果が結果として出た年と言えるだろう。

 また、AFF加盟国を中心に毎年開催されているAFF U16選手権が2016年カンボジアプノンペンで開催された。

 U16の試合にも関わらず約3万人から5万人程のカンボジア人サポーターの後押しを受けたアカデミーチームは、予選を2位通過し史上初の予選突破を果たした。準決勝ではU16ベトナム代表と対戦し、0-1と惜敗したものの、東南アジアトップレベルの1つであるベトナムを苦しめたことは今後、上昇気流にのるカンボジアサッカーの発展に繋がっていくだろう。

 JリーグU16チャレンジリーグには、U16カンボジアトレセンが招待された。

 アジア提携リーグの独立行政法人国際交流基金アジアセンターと共催で東南アジア(タイ、マレーシア、カンボジア、ベトナム)の4チームが招待され、そのうちの1チームとして招待された形となる。同組にはカマタマーレ讃岐、アビスパ福岡、ロアッソ熊本、鹿児島ユナイテッドFC、PVF(ベトナム)がいる中、結果は4位と伴わなかったものの、鹿児島ユナイテッドFCには堂々の勝利を飾り自信をつけた。

◆本田圭佑がカンボジアサッカースクールを訪問

 また2016年6月、サッカー日本代表で現ACミラン所属の本田圭佑氏が第1回目のカンボジア訪問に訪れた。その後、同年11月には本田圭佑氏のマネジメント事務所であるHONDA ESTILO株式会社が運営する”SOLTILO FAMILIA SOCCER SCHOOL”としてサッカースクールをカンボジアで開校した。同会社にとって東南アジア初、海外で2カ国目のサッカースクール開校となる。

 上述の通り、カンボジアサッカーが着実に力を伸ばしていることを受け、カンボジアのサッカーマーケット拡大の可能性を感じた人も少なくないだろう。

 また、カンボジアサッカーの人気と同時にサッカー選手の注目度もあがってきた。ボンケットアンコールFCのチャン・ワタナカ選手は東南アジアの大手電気通信会社であるseatel、エナジードリンクのZEUSと、スバイリエン所属のカンボジア代表選手のウドンはToyota、現地大手通信会社のcellcardとの契約など、サッカー、サッカー選手がビジネスサイドにも食い込んでいく成長も伺わせた。

 経済のみならずサッカーでもタイ、ベトナムを追うカンボジアに2017年も注目しよう。

【篠田 雄輔】
1991年生まれ神奈川県出身。青山学院大学を卒業後、経営コンサルティング会社アクセンチュアの日本法人での勤務を経験。その後カンボジア1部リーグに所属する日系プロサッカークラブのカンボジアンタイガーFCにて勤務。現在はカンボジアプノンペン在住で、同クラブの現地責任者としてカンボジアサッカーの発展に従事。アジアサッカー研究所の一員としても活動中。

【アジアサッカー研究所】
東南アジアを中心としたアジア新興国と日本およびアジアの国々のさらなる発展のために、各国の取り組みをリサーチし、関係者に共有し、さらなる価値を創造していくことを目的として、人材開発とコンサルティング分野など、日本とアジアのサッカー交流を加速させるプロジェクトとして活動している。http://ja.ifaf.asia/