【詳細】他の写真はこちら

「クルマに住みたい」と考えた時、多くの人がまず想像するのがキャンピングカーだろう。では、キャンピングカーのある暮らしとはどんなものなのか? 専門のジャーナリストに話を聞いてみた。

キャンピングカーを買うことはライフスタイルを買うこと



「住めるクルマ」の代名詞的な存在といえばキャンピングカー。「“クルマが売れない”といわれる業界の中で唯一拡大を続けているのがキャンピングカー市場です」と語るのは、キャンピングカーの専門ジャーナリストとして活躍する渡部竜生さんだ。

一般社団法人日本RV協会のまとめたデータによると、2015年のキャンピングカー推定保有台数は9万5100台。ここ数年は出荷台数、売上金額ともに右肩上がりの成長を続けており、2015年の売上金額は過去最高の約357億円を記録している。


「これが“モバイル渡部家”です」と渡部さんが話す愛車。全長7m超、幅も2m超えのサイズのキャブコンタイプだが、米国では「マイクロミニ」と呼ばれるサイズだとか。

「キャンピングカーを買うのは“ライフスタイルを手に入れる”ということだと思っていますが、キャンピングカー市場が成長しているということは、こうしたライフスタイルが世間に受け入れられているということなのでしょう」(渡部さん)。とはいえ、キャンピングカーを購入した人が、生活の場を完全にクルマに移しているわけではない。

「海外では家を売り払ってキャンピングカーに住んでいる人たちも多いですが、日本でそこまでするのは難しい。多くの人は休日に楽しむというスタイルです」(渡部さん)

なるほど。家を持たずにキャンピングカーで暮らすというスタイルは日本だと現実的ではないが、我が家の一部屋をどこにでも持ち運べると考えれば“住めるクルマ”は急に魅力的に思えてくる。

「私はこのクルマを“モバイル渡部家”と呼んでいるのですが、どこでも好きなところに我が家を持って行けるのは楽しいですよ。今はPCがあればどこでも仕事ができるという人も多いですし」(渡部さん)



広大な空間が広がる室内。運転席の上部に位置するベッドスペースにはイケアのダブルサイズのマットが収まっているというから恐れ入る。「自宅にそんなベッドはありませんから、自宅以上の快適さです」と話す渡部さん。いつでも休める空間と一緒に移動できることで、長距離のドライブも全く苦にならなくなったとか。「キャンピングカーは目的ではなく、人生を楽しむための手段。これだけ楽しめて時間を有効に使える手段もなかなかないと思います」

キャンピングカーがあれば、休日の過ごし方も自由度が飛躍的に高まると、渡部さんは話す。例えば週末に泊まりで出掛ける場合、宿をとったらチェックインの時間に合わせて移動時間を計算する必要があるが、クルマに泊まれるのであれば前日の仕事が終わったら好きな時間に出発して好きな場所で寝ることもできる。

「渋滞する時間を避けられますし、極端な話、行き先だって走りながら決めたっていい。休みが短い人こそ“住めるクルマ”があると時間を有効活用できますよ」(渡部さん)


もちろんシンクやコンロなどを完備しているので、調理や洗い物なども不自由はない。シャワーやトイレも搭載している。

キャンピングカーというのは“住めるクルマ”の究極の形だが、必ずしも生活に必要な全ての装備が揃っている必要はないという。

「お風呂なんかは、都市部でも駐車場付きで入れるスーパー銭湯がありますし、トイレやコインランドリーだってある。今はネット通販で買い物をしても受け取り場所にコンビニを指定することができます。そういう生活インフラは整っているわけですから、そこはクルマから切り離して考えればいいんです。そんなインフラが揃っているのは日本の利点ですし、何よりどこに行っても安全というのはすごいメリットです」(渡部さん)。

それだけメリットが揃っていると、もはやキャンピングカーを持っていないことが損をしているような気分になってくる。右肩上がりでオーナーを増やし続けているのは、そんなところにも理由があるようだ。

海外には、こんなキャンピングカーも!



渡部さんが海外のキャンピングカーショーで見たモデル。何と車体の下部にフェラーリを収納できる。室内も異次元の快適性で、もはやクルマとは思えない。



こちらも海外のショーで出展されていたクルマ。砂漠でさえ走破できてしまいそうな巨大オフロードモデルだが、室内はホテルのスイートルームのような豪華さだ。

キャンピングカージャーナリスト

渡部竜生

サラリーマンからフリーライターに転身し、キャンピングカーに出会ったことで専門のジャーナリストに。各種媒体への執筆のほかセミナーでの講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。

 

文/増谷茂樹 撮影/松川忍

※『デジモノステーション』2017年2月号より抜粋