いのせ・なおき/1987年『ミカドの肖像』で第18回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。『日本国の研究』で96年度文藝春秋読者賞受賞。2012年12月、東京都知事に就任。13年12月、辞任。15年9月に、財団法人日本文明研究所所長に就任。『ミカドの肖像』執筆から30年ほどたち、東京都知事として天皇や皇室と関わった(後列左) Photo:JIJI

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政府は、2019年元日に皇太子さまが新天皇に即位し、同日から元号を改める検討に入った。日本人にとって天皇や皇室とはどのような存在なのだろうか。『ミカドの肖像』など、天皇に関する著作の多い猪瀬直樹氏に話を聞いた。(週刊ダイヤモンド2016年9月17日号特集「日本人なら知っておきたい皇室」より)

──猪瀬さんは『ミカドの肖像』や『天皇の影法師』など天皇に関する著作も多いです。日本人にとって、天皇や皇室はどのような存在だとみていますか。

 単行本の『ミカドの肖像』の元となる連載が始まったのは、80年代中ごろでした。

 当時、天皇や皇室について触れると、すぐに「右なのか」「左なのか」といった議論になってうんざりしましたね。単行本を出す際、年配の編集者からは「君は右翼なのか」などとも言われました。

 いや、そういうことじゃないでしょう、と。結局、天皇とは何か、日本人にとってどのような存在かを知ることは、日本人自身のアイデンティティーにもつながってくるわけですよ。

 しかし、残念ながら今も、皇室の話題になると「右なのか」「左なのか」という狭い視点で判断するような風潮は残っていますね。

 メディアも今回の、生前退位のような問題があれば報じるけれども、日本人にとって皇室がどういう意味を持つのか、というような本質的な問い掛けは今もほとんどしていないでしょう。

──確かに、メディアにも一般の人にも、恐れ多くて本質的な点は大っぴらには語れないという感覚が、今も少なからずあると思います。そんな中、猪瀬さんは、『ミカドの肖像』などの著作の中で、一貫して天皇の存在について、問い掛けてきたわけですね。

 突き詰めると、天皇や皇室は近代の合理主義だけでは語れない世界なんです。少し長くなりますが、説明します。

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