大通り沿いと森の中の住まいでは全然ちがう? 「音とカラダ」の関係

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執筆:井上 愛子(保健師、看護師)
医療監修:株式会社とらうべ


ひとくちに「音」といってもさまざまな種類があります。

音によって癒されることもあれば、イライラしたり、ときには騒音問題として近隣トラブルに発展することも。


私たちの暮らしにおいて切っても切り離せない音との関係ですが、身体にはどのように影響するのでしょうか?

ご一緒にみていきましょう。

音がストレスになることも

道路を走る車の音、鉄道、飛行機、工事の音、パトカーや救急車のサイレン、掃除機・洗濯機などを含む生活音、虫や鳥の声、川のせせらぎの音、さまざまなジャンルの音楽、テレビの音、笑い声や泣き声など、日常私たちは数えきれない音の中で生活しています。


音は私たちの生活に安らぎや癒しの働きをすることもあれば、騒音となってストレスに感じることもあります。1つの音だけだと平気な場合でも、複数重なることでストレスになることもあります。

音が身体にあたえる良い効果とは?

例えば音楽は、血圧や心拍、血液の酸素量に影響を与え、筋肉を緊張させたり緊張を和らげたりする効果があります。

これを応用して、音楽療法として病気の治療にも使われているのです。

癒しの音楽は、脳内エンドルフィンを増大させることができるといわれています。脳内エンドルフィンが増えると、多幸感や気分の高揚を得ることができます。


さらに、鎮痛作用もあるため、疲労回復にもつながるといわれています。

母親の声が胎児に与える影響はとても大きいように、聴覚は視覚よりもはるかに大きく知能の発達に影響を与えています。

騒音による悪影響

人に不快感をもたらしたり、生活妨害や健康障害などの被害をもたらす音を「騒音」といいます。

たとえ音楽であっても、自分にとって好ましくなく、嫌だと感じる音であれば騒音として、ストレスとなってしまいます。また、たとえ騒音ではないと思っていても、長時間大音量の音楽を聴いていると、聴力が低下し、騒音性難聴になってしまうことがあります。

騒音による難聴では、音圧やその音にさらされている時間の長さでリスクが変わってきます。

アメリカ疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)では、どのくらいの音を何時間きくと騒音性難聴になるリスクが発生するか、についてのガイドラインも出しています。

騒音によるストレスは、自律神経に影響を及ぼし、次のような身体症状が現れることがあります。

・睡眠の質が悪化する
・呼吸や脈拍が速くなる
・血圧が上昇する
・皮膚血管が収縮する
・唾液や胃液が減少して胃腸の運動が抑制される

ある研究では、30分間ジェットエンジンの音をきかせると、胃腸運動が抑制されてしまうことがわかりました。

さらに、騒音を中止してから30分たっても胃腸の動きが回復せず、胃液が減って胃酸が増加したという事例も報告されています。つまり、騒音による身体への悪影響は、聞いている時だけではなく、その後の体調にも影響するということです。

また騒音の場合、一度気になると神経が研ぎ澄まされ、ますますその音が気になってしまうこともあります。そうすると、イライラはさらに募り、ストレスを悪化させてしまうことになります。

ストレスは身体への影響だけではなく、作業能率にも影響を与え、注意力が散漫になって事故も起こしやすくなります。

騒音が直接的に生命の安全性に結び付くわけではないにしても、生理的・心理的に蓄積されていくことで、寿命にも影響してくると考えられます。

騒音に対する対策とは?

騒音規制法では、環境基準を設けていて、工場や建築現場、道路、航空機、新幹線などには遮音施設や騒音発生源への対策が求められています。

騒音の中で仕事をしなくてはいけないような職種には、健康障害を防ぐために、健診や遮音の工夫・対策が求められています。生活をしていれば、騒音の被害に遭うこともありますが、知らずしらずのうちに自分が騒音の原因になってしまうこともあります。

さまざまな音があるこの世の中で、不要な音は制限できるように注意し、空間的・時間的にメリハリをつけた環境をつくるように心がけることが大切ですね。

<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン


<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供