Doctors Me(ドクターズミー)- 粉製品に潜むダニでアレルギー!? パンケーキ・シンドロームと呼ばれた症状とは

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卵、牛乳、蕎麦など世の中には様々な食物アレルギーが存在します。

ときに生命に関わる危険性もあるアレルギーですが、実は小麦粉などの粉製品に潜むダニによっても引き起こされることをご存知でしょうか。

今回は粉製品に潜むダニのアレルギーについて、ダニが繁殖しやすい環境、アレルギー症状、繁殖を防ぐ粉製品の保存方法を医師の吉田先生に解説していただきました。

粉製品に繁殖するダニ


生命をも脅かす重いアレルギー症状の原因は、私たちの身近に潜んでいます。

その一つに、1993年以降、世界中で「パンケーキ・シンドローム」の原因として報告されるようになった、料理用粉製品中のダニがあります。

粉製品に潜むダニの種類



粉製品の中で繁殖しやすいダニは、コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ、ケナガコナダニです。

大きい個体でも体長は0.4mmですので、クリップや輪ゴムでとじられていても、わずかな隙間があれば袋に入ることが可能です。

粉製品のダニが繁殖しやすい環境


ダニが繁殖しやすいのは、気温20〜30℃、高湿度の環境下です。

開封した粉製品をこの環境下で保管した場合、容器の種類を問わず6週後にダニは著しく増えますが、4℃の冷蔵庫内で保管した場合は、容器の種類を問わず20週後もダニは増殖しませんでした[1]。

粉製品に繁殖するダニのアレルギー症状


病院受診


粉製品摂取から数分〜数時間後に、以下の症状が出たらすぐに病院を受診してください。

・蕁麻疹
・全身の発赤
・かゆみ
・唇やまぶた、手足の腫れ等

救急要請


摂取から数十分以内に、以下の症状が出たら短時間で全身に症状が出るアレルギーのタイプ「アナフィラキシー」かもしれません。

・息苦しさや呼吸音の異常(ぜーぜー、ひゅーひゅー)
・血圧低下を示唆する症状(気が遠くなる感覚、めまい)
・嘔吐
・下痢

アナフィラキシーの場合は命の危険がありますので、ただちに救急要請をしてください。

病院での粉製品のダニのアレルギー治療



医療機関では、アナフィラキシーの改善のためにアドレナリンという薬を用います。

また、皮膚症状を抑えるために抗ヒスタミン剤を使用したり、 症状のぶり返しを防ぐためにステロイド剤を使用したりします。

実際にあった粉製品でダニのアレルギー症状

お好み焼き、パンケーキなどを食べて60分以内に発症



日本ではお好み焼き・たこ焼き、海外ではパンケーキ・揚げ菓子・ピザ生地による事例が多く報告されていますが、ほとんどが、摂取後10〜60分間に発症しています[2][3][4]。

一昨年、母親(60歳)と息子(32歳)の発症が報告されました[3]。

二人は開封後3年以上経過したお好み焼き粉を同時に摂取しており、 母親は摂取直後、くしゃみ、嘔吐に続く呼吸困難と意識消失により救急搬送され、 母親の搬送先で、同伴した息子にも皮膚の赤みや呼吸困難が生じたということです。

ダニアレルギーの認識がない人も注意



発症した人はいずれも、ダニアレルギーを持っていたことが示されており、気管支喘息やアレルギー性鼻炎を持つ人は発症しやすいですが、ダニアレルギーを持っていながらこれを認識していない人もいますので、油断は禁物です。

ダニを繁殖させない予防対策


開封後はどのような容器でも結構ですので、冷蔵保存してください。

ベーキングパウダーや添加アミノ酸はダニの増殖を促します。これらが含まれることの多い天ぷら粉、お好み焼き粉、ホットケーキミックスには特に注意が必要です。

最後に吉田先生から一言


ダニのタンパク質が持つ「アレルギーを引き起こす力」は、加熱しても十分強く残ります。

冷蔵保存というわずかな心がけで重大な症状を防ぐことができますので、 粉製品を開封した際は、このことを思い出してください。

(監修:医師 吉田菜穂子)

参考文献
[1] Suesirisawad S et al. Asian Pacific journal of allergy and immunology 2015.33(2):123-128.
[2] Sánchez-Borges M et al. World Allergy Organization Journal2009.2:91-96.
[3] Machida et al. Tokushima Red Hospital Medical Journal 2015.20:74-77.
[4] Takahashi K et al. Allergology International 2014.63:51-56.