「iPodの父」と呼ばれるトニー・ファデル氏が、英BBCのインタビューに答え、iPhone誕生の裏話を語っていますので、その一部をご紹介します。

iPodをより洗練されたデバイスへ

ファデル氏は2010年にAppleを退社。スマートサーモスタットで有名になったNestを立ち上げましたが、その後同社がGoogleに買収されたために、Google傘下でNestのCEOを務めつつ、Google Glassの開発にも携わっていました。2016年にGoogleを退社しています。
 
ファデル氏は、競合するMicrosoftなどが当時PCを電話サイズに縮小することを考えていたのに対し、AppleはiPodをより洗練されたデバイスに成長させようとしていた、と語っています。
 
すぐに破棄されたものの、初期のアイディアとして、iPodのクリックホイールデザインをiPhoneに取り入れるというものもあったそうです。

タッチスクリーン式Macプロジェクトから得たアイディア

またファデル氏らがiPhoneの開発に取り組む一方、Apple社内ではタッチスクリーン方式のMacを開発するプロジェクトも立ち上がっていました。しかしフィリップ・シラー氏ら役員が、「Macはタッチスクリーンにしないと決めた」と別のインタビューで語っていますので、その後このプロジェクトは中止されたものと思われます。
 
ともあれ、Macのタッチスクリーン・プロジェクトは極秘で進められており、当初は卓球台のほどの大きさだったそうです。内密でスティーブ・ジョブズにその「卓球台サイズのMac」を見せられたファデル氏は、「これをiPodに使いたい」と申し出ました。
 
そこからiPhone開発という挑戦が始まります。

開発アイディアが入った荷物が盗まれる

当時Apple社内には電話や通信に詳しい人材がいなかったため、ファデル氏は世界中を飛び回り、通信の専門家の話を聴くということからスタートしました。
 
スウェーデンのとあるメーカーを訪れた時など、開発のアイディアなどが記されていたメモや模型を含む、すべての荷物がレストランで食事中に車から盗まれるという犯罪にあったこともあるそうです。ファデル氏はこれはアイディアを狙った、会社ぐるみの犯罪ではないかと考えています。

ジョブズ氏、タッチスクリーン採用案を断行

その後もiPhoneのデザインを巡っては、キーボードを装備すべきかどうかで、約4ヵ月間も論争が続いたそうです。最初からタッチスクリーン採用を決めていたジョブズ氏は、それに合意しない人々に業を煮やし、強行突破しました。「賛成するまでこの部屋に戻ってこなくていい」と、キーボード派に向かって言い切ったそうです。
 
またジョブズ氏はスタイラスペンは不要という考えでしたが、ファデル氏ら開発チームはジョブズ氏に内緒で、スタイラスペンでも使えるようにしていました。「ジョブズ氏が知ったら、私のクビは飛んでいただろう」と振り返ります。

プロトタイプ紛失騒動

そしてファデル氏が「冷や汗でびっしょりだった」と回顧するのが、初代iPhoneのプロトタイプの紛失騒動です。
 
飛行機を降りてポケットを探ったら…入れていたはずのiPhoneがありません。
 
それから2時間。探しているものが何かもわかっていない人々の協力を得て(なにしろ極秘だったので)探し回った結果、見つかったそうです。
 
「ポケットから落ちて、シートの間にはさまっていたんだよ」
 
初代iPhoneを発表したときの裏話はこちらで紹介していますので、合わせて読んでみて下さい。
 
 
Source:BBC
(lunatic)