伝統的価値観に立ち返り、道徳と良心を守ることこそが、この大変革の中にある希望へと導く一筋の光となる(Neil Piddock/flickr)

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 激動と混乱の2016年、世界情勢にあっては、トランプ氏の米大統領選当選、中国の習近平国家主席の核心地位の獲得、国民投票による英国のEU離脱決定は、世界の耳目を大いに集めた。米国、中国そして欧州情勢の変化から、世界全体の未来の方向性がいかに読み取れるだろうか。

 2017年の世界情勢は、引き続き混乱を極め、より一層の大変革が起きると予想される。いっぽうで、米国、中国、欧州で起きた変化は、伝統文化の復興を掲げる「神韻芸術団」が世界各国の舞台で繰り広げた奇跡のように、世界が「伝統回帰」へ向おうとしていることを示している。これこそが、2017年に予想される世界の大変革における、一筋の希望の光だといえる。

 

伝統文化の復興を掲げる神韻芸術団は日本をふくめ世界中の舞台で成功を収める(Shenyun Performing Arts)

伝統文化を重んじる習近平国家主席

 中国の伝統文化で重んじられている「儒・佛・道」(三教)の信仰は、天と神を敬い、命を尊び、徳を積み善を行うといった精神的な内面の修養が含まれている。こうした文化の奥深さと精神の強さがまさに、中国に真の意味での強大さを授け、五千年の長きにわたって中華民族の血脈を連綿と伝え続けてきた。中国はその歴史において、幾度となく異民族の襲来を受けたが、中華民族も中国も滅亡することなく、むしろ入ってきた異民族の方が中国文化に同化され、いわゆる「漢化」が繰り返されてきた。

 しかし、中国が共産党政権に統治されるようになってからは、マルクス・レーニン主義を崇拝されるようになった。そして文化大革命の時代に行われた、すさまじいまでの「脱中国化」運動によって、歴史的文化財から古跡、古文書や典籍に至るまで、あらゆる有形無形の伝統文化が歴史上類を見ないほどに破壊しつくされた。

 

習近平・中国国家主席(Getty Images)

 習近平国家主席は最高指導者の地位についてから、「中華民族の優れた伝統文化を決して捨て去ってはならない」と再三表明している。昨年、習主席が核心指導者の地位に着いたことで、伝統文化が2017年の習主席の政治運営にさらに重みが増えるのではないかと考えられる。

 ただし、中国共産党政権とその無神論的な意識形態は、中国伝統文化とは「火」と「水」のように相いれない性質のものであるため、中国が共産党政権に支配されている間は真の伝統文化への回帰など望めないことを、ここではっきりと指摘する。共産党政権と伝統文化との間で生じる矛盾に、習政権はこの一年で直面することになるだろう。

トランプ次期大統領の意図する伝統回帰

11月、大統領選で演説中のドナルド・トランプ氏と家族たち(MANDEL NGAN/Getty Images)
 

 「政治の素人」であるトランプ氏が米国の次期大統領に選出されたことは正に奇跡だったが、より重要なことは、トランプ次期大統領が実施しようとする新たな政治形態は、米国全体を伝統回帰させるものであるという点だ。

 トランプ次期大統領は、就任後に1954年から実施されてきた「ジョンソン修正」を廃止すると確約した。ジョンソン修正とは、宗教組織が政治候補者たちの支持又は反対を表明した場合、その税免除資格を剥奪するというもの。今回の措置で、キリスト教が米政界に与える影響を根本的に開放するものとなる。このことは、米国が公式な国家のモットー、「In God We Trust(我々は神を信じる)」の建国原則に真に立ち返ることへの助けとなるだろう。

 またトランプ次期大統領は、オバマ大統領が署名した数々の大統領令を破棄するとも見られている。その最たるものが昨年5月にオバマ大統領が下した大統領令、「トイレ令」だ。これは戸籍上の性別にかかわらず、自分がそうだと認識している性別に従って男女どちらのトイレを使ってもよいというもので、米国全土で賛否両論の嵐が巻き起こっている。また、国会で「オバマケア」の廃止の決議が可決され、競争原理による医療保険費用の削減を図ろうとしている。

反グローバル化の加速 欧州に台頭する伝統的価値観

 昨年の英国国民投票でEU離脱が決定したことに端を発し、欧州では保守派の台頭が始まった。17年に実施される欧州諸国の選挙に伴い、欧州の保守派が政治の舞台の主役に躍り出て、欧州で反グローバル化が加速することが予想される。

 欧州における保守派の台頭によって、全体的かつ長期的に欧州の難民問題と経済危機が緩和されるとともに、百年余り続いてきた共産主義の意識形態と経済モデルが欧州で正式に終結することをも暗示させられる。今年、我々は欧州が伝統回帰への道へと歩み出すのを目の当たりにするだろう。

(つづく)

(翻訳編集・島津彰浩)