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オンライン掲示板では非常に有益な情報が出されることがある一方で、見るに堪えない罵り合いで議論が紛糾することも多いものです。そんな時に必要とされるのが掲示板やスレッドの管理人による適切な差配ですが、人力ではおのずと限界があります。オンライン掲示板での議論を建設的で有益なものにするために、一体どのような仕組みを取り入れるのが有効なのかが考察されています。

Crowdsourcing moderation without sacrificing quality - The sideways view

https://sideways-view.com/2016/12/02/crowdsourcing-moderation-without-sacrificing-quality/

カリフォルニア大学バークレー校でコンピューター理論を研究するポスドクのポール・クリスティアーノさんは、オンライン掲示板で交わされる白熱した議論は、議論を活発化させる最高の舞台でありチャンスだと考えていますが、同時にほとんどの議論が暴言など見るに堪えない書き込みがあふれるカオスな状況に陥ってしまうことを残念に思っているとのこと。そこで、どのようにすれば議論が建設的で質の高い状態を維持できるかを考えました。

まず大前提として、クリスティアーノさんは議論をうまくリードするスレッドの「管理人」の必要性を指摘しています。管理人が議論の流れをうまく導くことで、「船頭多くして船山に上る」状態を脱することができ、議論に参加する人にも意見を傍観する人にとっても有益な議論が実現すると考えています。



もちろん時間が無限にあるならば、管理人はすべての投稿に目を通したうえで、「どの意見を目立たせるべきか?」「どの投稿を見える状態にして、どの投稿をクリックしなければ見えない状態にするべきか?」を判断するべきですが、これは不可能です。そこで、クリスティアーノさんは、代替案として以下のシステムを提案しています。

1:管理人用に「コメントを隠せるツール」もしくは「コメントを目立たせたり目立たなくしたりできるツール」の提供

2:管理人以外のユーザーが「コメントについて評価を付けられるツール」もしくはコメントに対しておもしろい、正しい、有益、害悪などの評価を付けられるツールの導入

3:「一連の投稿をどうすれば良いと思いますか?隠す、上に上げる、下に下げる、放置するなどから選んでください」というような、管理人がユーザーから意見を得られるようにする

4:「質問に対して管理人であればどう反応するか?」を予測する機械学習ツールの導入

5:実際に管理人の行動に頼るのではなく「管理人ならばどういう行動を起こすか?」を予測するモデルの利用

以上の5つのシステムがあれば、管理人は空き時間が増えるとクリスティアーノさんは指摘しています。そして、時間に余裕ができた管理人は、以下のことをすることで、議論の質を維持することが可能だと考えています。

1:管理人は「アグレッシブ」と「パッシブ」2つのポリシーを導入して議論を管理し、掲示板を見るユーザーにどちらのモードで見るのかを選択可能にする

2:管理人により広い分野まで管理させる

3:同じ議論を複数の管理人によって管理させ、閲覧者に管理人を選択可能にする

4:例えば科学技術論文の査読のように、コメントの真実性や信憑性などを管理人にじっくりと検証してもらう