悪役に挑んだ福士蒼汰&戸田恵梨香 (C)沙村広明/講談社
(C)2017映画「無限の住人」製作委員会

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 木村拓哉が主演し、沙村広明氏のアクション漫画を実写映画化した「無限の住人」の撮影現場が、2016年1月に京都・太秦の東映京都撮影所で報道陣に公開された。今作で悪役に挑んだ福士蒼汰と戸田恵梨香が、演じるうえで最も神経を注いだ点を語った。

 見開きを大胆に使用した殺陣描写などにより、国内外で人気を博した同名漫画を、三池崇史監督のメガホンで実写化。不死身の肉体を持つ剣士・万次(木村)が、復しゅうに燃える少女・凜(杉咲花)とともに、剣客集団「逸刀流」を追う姿を描いた。そのなかで福士は、勝つことのみを追求する逸刀流の2代目統主・天津影久を演じ、悪役に初挑戦。一方の戸田は、天津に思いを寄せる逸刀流最強の女剣士・乙橘槇絵に扮し、アクション映画に初めて出演した。

 撮影中、三池監督から「暴力性と美しさを両立して」と指示が飛んでおり、福士はその通りに妖艶な存在感を放ち続けた。美しさより暴力性を強調していたといい、「撮影中に意識しなくても自然と美しくいられるように、クランクインする前から所作の指導を受けていました。その中で先生から及第点をいただくことができたので、現場では暴力的な部分の天津を大きく出そうと思いながら演じていました。斧の頭椎で敵を叩き切ったり、砕いたりするときには一層暴力的という言葉を強く意識していました」と説明した。

 アクロバティックな身のこなしを度々披露した戸田は、「原作で描かれる舞を大切にしていました」と振り返る。天津に比肩する実力を持つキャラだが、「その腕前自体が、同時に彼女の悲しみ、苦しみでもあります。誰よりも弱い彼女の“儚さ”を体現できればと思っていました」と思いを込めた。

 天津と槇絵は、思いを寄せ合うが勝利のために一線を引くという、一筋縄ではいかない恋模様を見せる役。福士と戸田は、互いにどんな印象を抱いたのだろうか。「槇絵の衣装を着て立っている姿は、より素敵だと思いました。その中身もかっこいいし、飾りをつけていないんですけど、すごく輝いている。飾りではない一本の柱だけで輝いていられるような方で、槇絵にぴったりです」(福士)、「すごく澄んだなかに、ふつふつと静かに湧くものがある。前しか見ていない、まっすぐな人だということが、今回良くわかりました」(戸田)。

 また今作では、“木村拓哉との対決”は避けては通れない。数々の作品で名優たちと肩を並べてきた福士といえども、「(共演は)最初からすごく緊張しました。空気感や現場にいる姿を見て、身が引き締まりました」と話す。それでも、「役者としても男としても、学ぶことがすごくたくさんありました」と充実感も垣間見させた。ドラマ「エンジン」以来、約10年ぶりの共演となった戸田は、「アクションに無知な私に木村さんがコツを教えてくださり、助けてもらいながら、ここまでやってこられました」と最敬礼で、木村の存在を「恥ずかしさもありながら、安心感をくれる存在です」と語った。

 そんな2人が話すそばで、三池監督はジッと耳を傾けていた。「ただ素敵なだけ、ただきれいなだけでは、役者として生きていけない」とゆっくりと口を開き、「そういう意味では、2人とも動物的な人」と評する。「セットより極寒のロケのほうが、やたらドキッとする表情をしてくれるんです。台本にはなかったんですが、無理やり日本海に行って撮ったシーンがあります。風は冷たく、薄着なのに、2人ともむちゃくちゃきれいなんですよ。生き物としての強さが、僕らにとって非常に助けられる。本能的に役を解釈してくれるし、語り合わないでも共有できるものがありました。そういう関係ができると、本当に映画が楽しいんです」と大きな信頼を寄せた。

 そして不意に、「神さまの言うとおり」でもタッグを組んだ福士に目を向ける。「福士くんは、自分がどうやってもきれいに映ると思っているのが、よくわかりました(笑)」。福士が否定せずに笑う様子から、三池監督の言う「生き物としての強さ」を感じた。「無限の住人」は、2017年4月29日から全国で公開。