BMW、未来の自動運転車の車内を示す「i インサイド・フューチャー・スカルプチャー」コンセプトを発表

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【ギャラリー】BMW i Inside Future Sculpture (9枚)


完全自動運転車の登場がいよいよ現実的になってきた現在、自動車メーカーはクルマの在り方について再考の必要に迫られている。道路に注意を払わなくて済むようになった時、人々は車内で一体何をすればいいのか? BMWは、少々突飛な形ではあるが、その答えになりそうなものを提示してみせた。
この「i インサイド・フューチャー・スカルプチャー」は、"スカルプチャー"、つまり立体造形と名が付いているように、コンセプトカーの形はしていない。確かに、タイヤすら付いていないのだから"カー"とは呼べない。搭載されている技術をデモンストレーションするためというよりも、デザインを披露することが主な目的のコンセプトに思える。とはいえ、これがアートギャラリーに並んでいる様は想像し難いし、後部座席に敷かれたブロッコリー畑のようなカーペットのチョイスも微妙だ。BMWの電動モビリティを担うサブブランド名である『i』という文字が冠されている点にも疑問が湧く。

だが、名称に関する疑問はひとまず置いておくことにしよう。実際、このスカルプチャーには興味深いテクノロジーが搭載されており、完全自動運転車の将来的な使われ方を提案するものとなっている。ハイテク、ローテクにかかわらず、明らかに重要視されているのは車内のエンタテインメントだ。すべての座席のヘッドレストからは、個人で楽しめる「サウンド・カーテン」が放出される。ヘッドフォンを着けなくても、同乗者の邪魔をすることなく自分の好きな音楽を聞くことができるというわけだ。後部座席には大きなワイドスクリーンのディスプレイが備わり、ビデオを流したり間接照明代わりに使ったりできる。もちろん、携帯電話やタブレットなど、各人が所有するデバイスを接続することも可能だ。つまり、映画を観るにせよ、ゲームで遊ぶにせよ、乗員すべてに完璧な環境が用意されているのだ。座席の右側には本も収納されているので、読書を楽しんだっていい。

しかし、この動かないクルマで最も注目すべき技術は、前部座席にある。インストゥルメント・パネルにはBMWの新たな技術、ホログラム式インターフェイス「HoloActive Touch」が搭載されており、ドライバーは空中に投影されるコントロール・パネルにアクセスし、手を振るだけで様々な機能を選んで実行することができるのだ。カメラで指の動きを捉え、機能を選ぶ動作に合わせ超音波を放射することで、あたかも実際にパネルに触れたかのような感触をもたらし、その機能が選択されたことを伝えるという仕組みだ。これは、かなりワイルドで未来的な技術だ。さぞかしクールで不思議な使い心地だろう。我々はCES(国際家電ショー)開催中に、このスカルプチャーが持つ他の技術についても探り出すつもりなので、ぜひご期待いただきたい。

By Joel Stocksdale
翻訳:日本映像翻訳アカデミー