2013年、ヨルダン王アブドゥッラー2世を北京に迎えた中国習近平国家主席(Feng Li - Pool/Getty Images)

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 習近平氏は、旧ソ連から受け継いだ中国共産党のシステムを変えようとしている。労働教養制度の廃止、憲法宣誓制度の設立、軍隊の改革、そして設立された国の監査システムなど。これにより、習近平氏は、西洋の民主主義のシステムのみならず、アメリカの大統領制や中国の伝統文化の知恵を参考にし、独自の政治改革を推し進めている。

第四の権力・監査委員会の設置

 習近平政権は国家の監査システム「監査委員会」を12月26日から、北京市、山西省および浙江省の3つの地域で実施している。王岐山氏(中国共産党中央規律検査委員会書記)はこの3地域を実地調査し、運行状況を視察した。

 王氏は、監査委員会(監査委)は実際的に汚職撲滅機構であり、監査や法律を執行する機構として中国共産党規律検査委員会(中規委)と協力し、政府の職に就く全員を監査することをあらためて強調している。

 この新たな機構は2016年10月末の6中全会全体会議会報中の内容と呼応する。会報には「各階級の共産党委員会は、同階級の人民代表大会、行政府、監査機関、司法機関等が法令に依り国家機関やその職員の監督を行うことを支持し保証するべき」ことが述べられている。

 日本の統治機構と違いがあり、混乱しやすいが、ここで初めて監査機関が人民代表大会、政府、司法機関と並置されたことは特筆に値する。最初の三機関をそれぞれ立法、行政、司法ととらえれば、監察機関は第四の力となり、三権分立ならぬ四権が併存する構図となる。

 この監査機関は西洋の政治システムにはないもので、中国古代から伝わる「御史台」のような存在だろう。

 新たな監査委員会は同じ階級の人民代表大会から生まれ、同じ階級の共産党規律検査委員会や政府の行政監査機関は監査委員会に合併される。こうして王岐山氏は中規委書記という共産党「党内」の役職に甘んじることなく、一国家機関の長として、堂々と官僚や公務員を監査することができるのだ。

習近平氏の軍隊改革

2014年11月、訪中した米バラク・オバマ大統領を迎えた中国習近平国家主席(Feng Li/Getty Images)
 

 習近平氏が就任後行ってきた抜本的な軍事改革により、中国軍の編成は旧ソ連式からアメリカ式に転換した。その結果、軍の指揮権が国家主席に集中し、習近平氏の軍隊の中での地位が大幅に向上した。

 改革前の中国共産党軍は、旧ソ連軍をモデルとし、個々の戦区が各自の陣地を防御するという陸軍重視のものだった。中央軍事委員会や総参謀部が実質上陸軍の主導のもとに置かれ、7つの軍区の総司令官が全て陸軍出身だったことも、この実態を反映する。

 空軍は各戦区に配属されるが、軍区の司令官には空軍に対する指揮権がない。さらに、軍の行政管理機能と作戦指揮機能とが未分離で、軍内部で汚職が蔓延しやすく、戦闘力の低下につながるとの指摘もある。

 対するアメリカ軍の最高司令官は大統領であり、国防長官が統括する国防総省の管轄下に陸海空と海兵隊が置かれる。軍は平時には各自の組織と訓練を担当し、有事には混合司令部を構成する。これは現在、中国が行っている軍事改革の目標と見ることができる。

 中国の軍隊改革後には陸海空軍が戦区から独立し、戦時にだけ戦区に編入され、戦区司令部の指揮を受ける。総参謀部は陸海空と武装警察司令官で構成され、軍事委員会主席(現在は習近平氏)の主導のもとに共同で意思決定を行う。従来の各軍区の「縦割り編成」を打破し、陸海空軍の連携を強化して現代の戦争に適応するのが狙いだ。

 習近平氏は軍事委員会(参謀本部に相当)を頂点に置き、自ら軍事委員会の委員長に就くことで軍の実権を握る。アメリカでは大統領が軍の最高司令官と位置付けられているのと同様に、習近平氏も中国軍の実質上の最高司令官となる。

 さらに従来の七つの軍区を五つの戦区に再編することにより、旧来の陸軍重視型の軍を現代的な国防軍へと転換させた。防衛体制を一新した習近平氏は指導力・影響力を大幅に向上させ、汚職に関わった江沢民派の将軍の責任を追及し、排除することが容易になる。

習政権、陸軍5つの集団を廃止 専門人材雇用を拡大へ

 (つづく)

(翻訳・揚思/編集・文亮)