着物やアンティークファッション好きならば知っている『KIMONO姫』(祥伝社)。2002年に誕生し、それまでの着物業界に革命を起こしたムックです。

『KIMONO姫』編集長・田辺真由美(たなべ・まゆみ)さんに、着物の魅力を聞いた第1回。続いては、着物を今風に着こなすためのアドバイスをいただきました。

着物にNGはない 帽子やハイヒールだってハマる

ーー着物の世界ってどことなく閉鎖的というか、初心者には入りにくい印象があります。

田辺真由美さん(以下、田辺):全然! 新しく興味を持った人は大歓迎なんです。着物にハマっている人たちって、(いい意味で)宗教というか“着物教信者”だから布教したくてたまらない(笑)。身近に着物好きがいなくても、催事などに行ってみて出店してる方、遊びに来てる方などに安心して何でも聞いてみてください。今はインスタなどのSNSから好みが合いそうな仲間を見つける人も多いですよ。

ーー似合う着物を見つけるにはどうしたらいいですか?

田辺:洋服だとなんとなく流行があって、なんとなく流行のものを着ていればおしゃれっぽく見えるもの。でも着物の場合は、似合うものはとても似合うんだけど、似合わないものは本当に似合わないとハッキリわかります。だからこそ、自分に似合う着物が見つかった時の気持ちよさは、クセになります。

着物は誰でも似合う柄や色が絶対あるので、気になったものはとりあえず羽織ってみることが大事。これだ!って膝を打ちたくなるような、パッとハマるものが必ずあります。反対に羽織ってみると違った……ということもありますし、洋服なら絶対着ないような色でもピッタリとハマることもある。それが着物の面白さでもありますね。

ーー注意する点はどこでしょうか。

田辺:髪型などの顔まわりには気をつけてください。着物は布の面積が多いので顔まわりにボリュームがないと貧相に見えるんです。だから、髪型はロングならタイトにまとめるよりも下ろしたりお団子にしたりするとイマドキっぽくて可愛い。ボブなら毛先を巻いてみたりもおすすめです。

うまくきまらなければ帽子をかぶるのもオススメ。意外かもしれませんが、着物は洋服よりも帽子が似合うんです。カジュアルな着物だったらニット帽でも大丈夫です。

メイクも同様で、薄いベージュのリップよりも濃い赤。全体的に濃いめのメイクの方が着物に着られず存在感を主張できます。ピアスなどのアクセサリーも大振りのものをチョイスしてみてください。

――NGな着こなしはありますか?

田辺:そもそも衣服の一つなので、清潔感があってその人なりの個性が出せればいいと思います。着方にNGはないですが、個性的な装いは冠婚葬祭には避けた方がいいですね。普段のファッションは「自分のため」でいいですが、冠婚葬祭は「誰かのため」に衣服をまとっているから。

それ以外ならばファッションとして楽しんでいいと思います。個人的には個性的な着こなしをすればするほど、着付け自体は美しく決めたい派です。

ーー自由度が高くてわくわくします。着物にハイヒールを合わせてもいいんですね!

田辺:カジュアルなアンティーク着物は、マキシ丈のワンピース感覚でコーディネイトすれば簡単です。ぺたんこの靴よりはヒールがあるほうがすっきり見えますし、ブーツを合わせてもおしゃれに仕上がります。

田辺:インナーにカットソーを合わせればカジュアルになるし、色っぽく着たいなら衿を抜くと効果的。インナーも色を黒に変えれば印象がシックに変わる……と着こなしは無限に広がります。

素材に注目するのも一つの手。今日の私の着物は、ポリエステル製で雨の日でも気にせず着れちゃう。デザインもジャージみたいだから、『KIMONO姫』Vol.14の紙面ではポンプフューリーやルーズソックスを合わせてまさに女子高生の放課後ジャージスタイルイメージで着こなしてもらいました。

ーー田辺さんが今オススメしたいものは?

田辺:袴(はかま)をもっと浸透させたいですね。もともと袴は、古代日本にあったものが近代になって裾さばきを気にしないで動きたい女子学生やキャリアウーマンたちに受け入れられて復活したものなんです。だから、もっとラクに着てもいいんじゃないかな、と。

着物がマキシ丈ワンピなら、袴はプリーツスカート。着物の柄が上半身しか出ないため思いっきり派手なものとも相性がいいんです。『KIMONO姫』Vol.14では袴にドクターマーチンやタッセルシューズを合わせた着こなしを提案しています。

今後は「袴」オシという「KIMONO姫」、これからも着物ブームを牽引していきそうです。第3回では着物の扱い方についてアドバイスをいただきます。

『KIMONO姫』(祥伝社)
最新号「メイドインジャパン」特集は10月31日より発売中。
協力:松庵文庫

(有馬美穂)