14番ではチップインイーグルを奪うなど見せ場を作ったが…松山は2位に(撮影:岩本芳弘)

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米ツアーのトーナメント・オブ・チャンピオンズはジャスティン・トーマスの勝利で幕を閉じた。松山英樹は残念ながら絶好のチャンスを活かしきれず、3打差2位に甘んじた。
チャンスを決めきれず…苦笑する松山
前半はイーブンパーとスコアを伸ばせなかった松山は「ショットの感触は悪くなっている」と語った3日目の言葉を最終日も反芻しながらプレーしているかのようだった。首位を独走していたトーマスとの差は開いていったが、14番のチップイン・イーグルで5打差を3打差へ縮め、15番はトーマスのダブルボギーで1打差へ。この2ホールで幸運の女神は松山に微笑みかけていた。
だが、その15番と続く16番でバーディーパットを沈め切れなかったあのとき、幸運の女神も勝利の女神も、この日の松山に微笑むことをやめてしまったかのようだった。
なかなかエンジンがかからなかった松山がトーマスとの差を5打、3打、そして1打へと縮めていったのは、あっという間の出来事だったが、せっかく作ったチャンス、もらったチャンスをモノにできなかった松山とすぐさま反撃に出たトーマスとの差が再び3打へ開いたのも、あっという間の出来事だった。
ゴルフは4日間、72ホールの長い長い戦いであり、その長丁場に耐えうるだけの心技体すべての強さが求められる。だが、持久戦でありながら、勝負の流れが変わる潮目は一瞬であることがきわめて多く、チャンスとなる一瞬を鋭く捉えたり、ピンチとなった一瞬をすぐさま方向転換していく瞬発力も求められる。その両方の力において、今週はトーマスが松山を上回っていた。それがトーマス優勝、松山惜敗という結果につながったのだと私は思う。
トーマスは15番の第2打をブッシュ状のハザードに入れ、ダブルボギー。松山との差はわずか1打になったが、「今日のミスヒットはあのセカンドショットだけ。それ以外はグッドショットばかりだったから、たった1度のミスを気にする必要はないと思った」と、きっぱり。松山との差を広げたときも、縮められたときも「このままのゴルフで大丈夫」と信じて戦い続けた精神力と持久力。1打のミスで2打を失った一瞬のピンチを「それでも僕は大丈夫」と信じ、上がり2ホールの連続バーディーへ転換した瞬発力。この日のトーマスの戦いぶりは、見事だった。
5戦4勝の強さで今大会を迎えた松山は、これで6戦4勝となったが、勝てずとも2位が2回とその圧倒性は変わらず、フェデックスカップランキングは1位を維持した。
だが、10月のCIMBクラシックで優勝し、今大会を制して早くも今季2勝目を挙げたトーマスは、これで3戦2勝と勢いづいた。その2勝のいずれも松山を2位に抑え込んで勝利したことは、現状では松山よりランク下で米ツアー歴も短いトーマスにとって、大きな自信になったはずだ。
背中痛で昨季のプレーオフ2戦を棄権して終わったジェイソン・デイはようやく戦線復帰。新契約先のナイキのスウッシュマークを付け、装い新たに登場した。
3か月超のオフの間「必死に強化に努めた」という肉体は見るからに強く太く変化している。「世界ナンバー1の僕としては12位は満足ではないが、心身がヘルシーな状態で戦えたことはとてもうれしい」と爽やかな笑顔。
ジョーダン・スピースは最終日に8つスコアを伸ばす猛追で3位に食い込み、「最後の2日間に調子が上がったこと、最終日に追い上げたことは、とてもいいサイン」と、こちらも納得の笑顔を見せた。
松山の5戦4勝の快進撃に世界が唸ったその瞬間から、他の選手たちも自身の快進撃を実現すべく必死の努力、決死の覚悟。そして松山も「ショットは良くなってきている」と気持ちも調子も上げていく。
米ゴルフ界、世界のゴルフ界は常在戦場。厳しい戦いは、だからこそエキサイティングで面白い。
文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)
<ゴルフ情報ALBA.Net>

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