【映画化決定】サブカル30代の胸に突き刺さる!! 漫画『奥田民生になりたいボーイ 出会う男すべて狂わせるガール』に見る自己プロデュースという病

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年が明け仕事が始まったものの、まだまだお正月気分が抜けないという皆さんも多いのではないでしょうか? そんなときは、だらっとした自分にあえて喝を入れるかのような本を読んでみるのもひとつの手です。

今回おすすめするのは漫画『奥田民生になりたいボーイ 出会う男すべて狂わせるガール』。漫画家・渋谷直角さんによる作品で、2017年に妻夫木聡さん主演、『モテキ』の大根仁さん監督で映画公開も予定されています。

これがもう、30代半ばの人たちにとっては読むと身をえぐられるかのような「アイタタタ……」な内容でして。奥田民生のように「力まないカッコいい大人」に憧れつつも、30代という青春の最後の最後で、仕事に恋にもがきあがいている男女の心にグサグサと突き刺さること間違いナシなのです。

【どんな話なのか】

あらすじを簡単に説明するとこんな感じ。

奥田民生に憧れるライフスタイル雑誌『マレ』の編集者・コーロキ(35歳)。彼は仕事で出会ったファッションブランド「ゴフィン&キング」のプレスとして働く美女・天海あかりにひとめぼれ。ふたりは付き合うことになりますが、それはコーロキにとって地獄の始まりとなることに。なぜなら、あかりは出会う男すべてを狂わせてしまう魔性の女だったのです。

こうして、編集者として、またあかりの恋人として、コーロキがもがき苦しみ、ヒリヒリする日々を送る姿が作品中で描かれていきます。

【ディテールがリアル】

渋谷直角さんの漫画は前作の『カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生』もそうなのですが、とにかくディテールがリアル。

たとえば、冒頭に出てくる『マレ』編集部の面々によるオシャレ意識高い系な会話や、「焦らずに大きな答えを出そうよ!」という非常にふわっとしたセリフを得意とする編集長。マジキチ級に話が通じないめんどうなライター。そのライターにツイッターで非難されネットで炎上していく様子。

フィクションではありますが、こういう「こういう人たちいそう!」な設定や会話、空気感などが渋谷直角さんの漫画の魅力。ツイッターやラインの文章まで書きこんであり、ホントにディテールがリアルなのです。渋谷さん自身がもともと、『relax』などでライターをやっていたからなのでしょうか。

【自己プロデュースという病】

異動当初から『マレ』編集部のオシャレさにカルチャーショックを受け、「奥田民生が好き」というのがダサくて恥ずかしい気持ちにすらなるコーロキ。この漫画は「民生のような編集者」を目指すコーロキの自己プロデュースの物語でもあります。

奥田民生のように肩の力が抜けた、それでいて決めるところはバッチリ決める男がコーロキの理想像。けれど実際は仕事に恋に空回りの連続で、とてもじゃないけどそんな余裕のある人間に自分を見せられない。

芸能人でなくても自己プロデュースがどーたらこーたら言われる時代だけに、コーロキが理想と現実の間で葛藤する姿には身がつまされる人も多いのではないでしょうか。これが20代の前途に夢あふれる年代ならまだしも、35歳という年齢がこれまたリアルさに拍車をかけていて読んでてつらくなります。

【35オーバー男女へのエール兼ブーメラン】

私(筆者)はいま38歳なのですが、昔は40近くにもなればあまり動じることなく理性的に物事を処理できる大人になっているものだと思い込んでいました。

が、実際はどうでしょう。正直、月日だけ驚くほど速く過ぎ去っていき、中身は20代のころとほとんど変わっていないまま。あいかわらず無鉄砲で向こう見ずな性格で、突発的なことに対処できずあわあわすることも日常茶飯事です。

……35過ぎて40近くなってもこんなものなんかーーーー!?

自分に自分がいちばん驚いているほどですが、同じように思っている皆さんはきっと多いハズ。だからこそ、『奥田民生になりたいボーイ 出会う男すべて狂わせるガール』を読んで自分で自分を笑ってほしいし、35オーバーでももがいているのは「自分だけじゃないんだ!」と安心してほしい。

この漫画は35オーバーの私たちへのエールであり、鋭利なブーメランでもあるのです。

【結末まで見逃せない!】

さて、気になるのは漫画の結末。奥田民生を崇拝し「民生のような編集者になる」と意気込んでいたコーロキはそのようになれたのか。出会う男すべて狂わせるガール・あかりとの恋の結末は……? 最初のほうとは打って変わり、途中からはかなりスリリングな展開に。それだけに最後の1ページ、いや、「THE END」の次の1ページまで見逃せません。

2017年、まだまだ仕事に恋にもがいて苦しんで生きてってやるぞって皆さんは、景気づけに『奥田民生になりたいボーイ 出会う男すべて狂わせるガール』を読んでみては。映画は9月公開予定とのことです。

参照元:amazon、東宝
執筆=鷺ノ宮やよい (c)Pouch

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