トランプ勝利を受けてドル/メキシコペソは18ドル台半ばから21ドルまで急騰。ドル使い氏は19ドルでペソ売りを仕込んでいたが、19.5にリミットを設定していたために500pipsしか取れなかったとか

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◆「マイナー通貨」にはFXで勝つ必勝法があった!

 11月の米大統領選で、米ドル並にマーケットの注目を集めた通貨をご存じだろうか? トランプ次期大統領が叩きまくったメキシコの「ペソ」だ。

 トランプ氏は「メキシコは我々の友人ではない。国境でアリメカ人を殺し、仕事を奪っている」などと暴言を吐いたうえで、「国境に壁を建設する」と表明。それも、「アメリカからメキシコへの送金を没収して、“メキシコのお金”で壁をつくる」と主張してきたのだ。それだけに、ヒラリー優勢が報じられている間はよかったものの、トランプ巻き返しが報じられるとメキシコペソは大暴落することに……。10年以上前から同通貨をトレードしているシンガポール在住のトレーダー・ドル使い氏が振り返る。

「Brexit(イギリスのEU離脱)もありましたし、私は以前からトランプが大統領になる可能性のほうが高いと踏んでいました。実際、マーケットもヒラリー重病説などもあって9月はトランプ大統領の可能性を織り込みながら、ドル/ペソが上昇していきました。ただ、さすがに10月後半になると、『ヒラリーで決まり』という報道がほとんどになったので、ドル/ペソは下落。11月8日の投開票当日にかけて、さらに急落していただけに、トランプ逆転勝利のインパクトは予想以上に大きかった。私は安値でペソ売りポジションを仕込んでいたのですが、あまりにも一瞬でドル/ペソが暴騰したので、すぐに利確の指値が刺さってしまい、500pipsほどしか取れませんでした(笑)」

 トランプ勝利確定後、ドル/メキシコペソは1日で18ドル台から21ドルまで約15%も急騰。その上昇率は、101円台から3週間弱で114円まで12%上昇したドル/円を上回る。背景にあるのは、アメリカに依存するメキシコの経済構造だ。

「アメリカが風邪をひくと、メキシコもひく。アメリカが最大の輸出相手国で、全体の80%近くを占めているのだから当然です。輸入相手国もほぼ半分をアメリカが占めている。単に国境を接しているだけでなく、経済的な繋がりが深すぎるので、“壁”をつくるというトランプのインパクトは大きかった」(ドル使い氏)

◆トランプリスクが過剰に織り込まれた「ペソ」

 実は、このメキシコペソをはじめとした“マイナー通貨”に注目するトレーダーが増えている。外為どっとコム総合研究所の川畑琢也・シニアナリストも「外為どっとコムでは、メキシコペソの取引量はカナダドルよりも少ないが、スイスフランよりは多い」と話す。その魅力は、高いボラティリティと金利。メキシコの政策金利は11月に引き上げられて現在5.25%。表のとおり、トルコ8%、南アフリカ7%で、ブラジルレアルに至っては桁違いの14%にも達している。

⇒【資料】はコチラ https://hbol.jp/?attachment_id=124748

 片や日本の長期金利は日銀のマイナス金利政策もあって直近ではマイナス0.06〜0.03%という低さ……。そのため、スワップ狙いでマイナーな高金利通貨をトレードする人がじわじわと増えているのだ。加えて、マイナー通貨の中には先高観が見えてきているものも少くないという。

「直近では、トランプ政権下での超大型財政出動(1兆ドルを予定)により米国債が乱発されるという見立てから、米国債が売られ、アメリカの長期金利が急騰しています。その影響で“ドル一強”となっており、新興市場では資金流出が加速。マイナー通貨はいずれも過去最低の安値圏にあります。もう一段下げる可能性も十分にあるのですが、南アランドは対円で抵抗線を上抜いてきており、チャート的には先高観が出てきています。インフレ率は6%を上限とし、それを超えてくるようならば利上げを実施するので、もう一段の利上げ余地はありそう。一方、ブラジルはインフレ率が落ち着いてきたので、利下げの方向。これはレアルの売り材料となりますが、経済的には安定する方向なので、上値余地はあると見ています。同じく、メキシコは来年度に財政黒字に転換する予定なので、ファンダメンタルは良好。OPECが減産を決定したことも買い材料です」(川畑氏)