明るい獄中記?

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獄中記といえば、自分がなぜ犯罪を犯し、獄中にあるのかを淡々とふりかえったものと相場が決まっています。あるいは佐藤優「国家の罠:外務省のラスプーチンと呼ばれて」(新潮文庫)のように、事件に至る経緯を冷静な筆致で記すような大著もあるでしょう。ですが、中には妙に明るい獄中記もあります。それが高野政所「前科おじさん」(スモール出版)です。

なぜ捕まったのか?

高野政所は、レオパルドン名義で、ナードコアテクノという音楽を作り上げました。アニメの音声をサンプリングするネタ重視の音楽です。さらに近年ではインドネシアのアンダーグラウンドなダンスミュージックであるファンコットの紹介者として知られています。ミュージシャン、ラジオDJとして活躍する傍ら、自らアシッドパンダカフェをひらく実業家でもありました。そんな彼が、大麻所持の現行犯で逮捕されます。

獄中メモ

もちろん逮捕ははじめてのことであり、右も左もわからない状態に置かれます。それでも獄中出会った面白い人々や、まずいメシ、1日の生活などが、ユーモラスな筆致で細かく描写されています。警察署の留置所内ではインストのBGMが流れているのですが、その内容が「暴れん坊将軍」だったこともあるようです。釈放後の社会復帰や自分の収入についても正直に記されており好感が持てます。「捕まっていなければ今の自分はない」という言葉も、深みを感じさせます。