ローマ市長 ヴィルジニア・ラッジ(AFLO=写真)

2016年6月、ローマ史上初の女性市長が誕生した。女優張りの美貌を持つ1児の母で、名門ローマ第3大学卒の元弁護士。ローマ市議時代は舌鋒鋭い論客ぶりを見せ、「天は二物、三物を与える」とイタリア中の耳目を集めていた。ラッジ氏の所属政党は、人気コメディアンのペッペ・グリッロ氏が2009年に立ち上げた新興政党「五つ星運動」(M5S)。M5Sはインターネットを通じた政治運動を展開。景気低迷が長引き、高い失業率に苦しむイタリア労働者階級の若者の不満を吸い上げ、反移民や反ユーロ、反汚職などの主張で支持率を伸ばしてきた。

ローマ市民は、前市長の公費流用疑惑による辞任や市政とマフィアの癒着といった問題で既存の政党政治に失望しており、ラッジ氏は市民の不満を吸い上げて67%の得票率で圧勝。この余勢を駆ってM5Sの支持率も伸びている。イタリアでは憲法改正の是非を問う国民投票が12月に予定されており、改正が否決されれば、マッテオ・レンツィ首相は辞職に追い込まれ、憲法改正反対派のM5Sが次の総選挙で第一党になる可能性もある。

ただ、ラッジ市政は現在、起用したローマ市幹部の不正問題が発覚するなどで混乱し、運営能力に疑問符が付いている。また、ラッジ市長は2024年五輪開催地の立候補取り下げを表明したが、「経済立て直しのチャンスを自ら逸した」という批判もある。彼女が逆風を乗り越えられるかどうかは、ローマ市のみならず、イタリア全土にも影響を与える。

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ローマ市長 ヴィルジニア・ラッジ(Virginia Elena Raggi)
1978年、イタリア・ローマ生まれ。ローマ第3大学卒業後、弁護士になる。2013年、ローマ市議当選。16年6月、ローマ市長当選。

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(三河五朗=文 AFLO=写真)