韓国・現代自動車の自動運転プロジェクト 米ネバダ州で進行中

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自動車メーカーやテクノロジー企業が自動運転技術の開発にしのぎを削る中、韓国の現代自動車は他社とは少し異なるアプローチで競争に挑んでいる。同社が最も重視するのは開発スピードではなく、以下の3つのポイントだ。

・マスマーケットに普及させるためにテクノロジーのコストを最小限に抑えること
・運転支援システムの性能に懐疑的なドライバーでも安心できる完全自動運転車を開発すること
・自動運転車に関わる規制やセキュリティの問題に適切に対処すること

韓国最大手の自動車メーカーである現代自動車は、ハイテクな機能を競合他社よりも早く、そして安く提供することで米国市場でも人気を博し、この10年間でシェアを大きく拡大させることに成功した。同社は最近、自動運転車の開発体制が整ったとして、韓国とネバダ州でテスト走行を開始した。

「自動運転車の開発を手掛ける企業の一部は、注目を集める目的で非常にアグレッシブな開発スケジュールを掲げているが、我々は他社に先駆けてテクノロジーを市場に投入することにはこだわっていない」と現代の米国法人で経営企画部門のディレクターを務めるMark Dipkoは話す。

現代は、新型「アイオニック(IONIQ)」をベースにしたプロトタイプを用いてテストを行っている。新型アイオニックについては、ハイブリッド車、EV(電気自動車)、プラグインハイブリッド車の3バージョンが発売される予定だ。Dipkoによると、米国でのテストは数か月前にネバダ州で開始し、今後はカリフォルニア州でも行うという。

外観は「普通の車」に見えるテスト車両

競合のウーバーは、米国で公道テストを実施中だが規制当局と激しい論争を繰り広げている。同社のテスト車両は、LiDARセンサーやカメラ用のリグを屋根に搭載して物々しい外観をしているが、「現代の車両は実験を行なっているとは見えないようにデザインした」とDipkoが話す通り、一般車両とほとんど見分けがつかない。しかし、車体をよく見ると、フロントとリアにLiDARセンサーが搭載されているほか、複数のカメラやレーダーセンサーが埋め込まれて他の車両や歩行者、信号などをモニタリングしている。また、現代の多くの車両に標準装備されている自動ブレーキや車線維持支援、ブラインドスポットモニター、アダプティブ・クルーズ・コントロールなどの機能も実装している。

「我々はマスマーケットをターゲットにしているため、自動運転に必要な機能を搭載しながらデザインはなるべくシンプルにすることを心掛けている」とDipkoは言う。

現代のテスト車両に実装されている視認システムの中で最も高価なのは、LiDARセンサーだ。LiDARセンサーは周囲の状況を3Dマッピングして高精度な地図データと対比させることができるが、1台当たり数千ドルもするために大幅なコストダウンが課題となっていた。しかし、LiDARの大手メーカーであるVelodyneとQuanergyが開発中の新製品は、従来よりも格段に安くなる予定だ。

2020年の完成が目標

筆者は、ラスベガスで4キロほどの公道テストに同乗したが、道を曲がったり、歩行者が近くにいる場面では非常に慎重になった以外は、とても滑らかな乗り心地だった。操作は、他の自動運転車に引けをとらず正確だったが、一般的な人間のドライバーよりは遅い印象を受けた。運転席に座っていた現代の担当者がハンドルを握る機会はなかったが、今回走行したルートは難易度が低かったため、想定外の事態が生じたときにシステムが正しく作動するかは判断できなかった。

現代の自動運転車開発プロジェクトをリードするのは、同社のR&D部門の責任者の一人であるTae-Won Lim上級副社長だ。現代は車両の制御アルゴリズムを自社開発し、自動運転システムの複雑性や電力消費、コストなどを最小限に抑える努力をしている。競合ではテスラが完全自動運転技術を2年以内に実現させるとしているが、現代を含む多くの企業は2020年の完成を目指している。

「我々の開発は順調に進んでおり、目標時期までに完成させる自信がある」とLimはインタビューで語っている。