リムリック大学病院のカルバン・コフィー(J. Calvin Coffey)教授(リムリック大学HPのスクリーンショット)

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  アイルランドにあるリムリック大学病院(University Hospial Limerick)の研究チームは2016年末、消化器系に新しい臓器があると発表した。

 発見されたのは、これまであまり重要とされていなかった腸間膜(mesentery)という部分。小腸などの臓器を腹腔内の背中側の壁につなぎとめている膜のことで、二重層になっている。医学誌『ザ・ランセット』(The Lancet Gastroenterology & Hepatology)に掲載された論文によると、腸間膜は独立した単なる器官ではなく、他の臓器と連続した構造を持つ「一つの臓器である」という。

 研究チームは2012年、腸間膜が連続構造を持っていることに気づき、4年の歳月を費やして、腸間膜が別個の臓器である証拠を集めた。チームを率いるカルバン・コフィー(J. Calvin Coffey)教授は、「100年以上にわたって信じられてきた解剖学の記述は、誤りでした。この臓器は断片化されたものでも、複雑でもない、一つの連続的な構造になっています」と話す。

 世界的に権威ある医学書『グレイの解剖学』(Gray’s Anatomy)も、同発見をもとに改訂された。また、同校の医学生は昨年から、腸間膜が独立した臓器であると教えられている。

 腸間膜を最初に解剖図に描いたのはレオナルド・ダ・ヴィンチ。彼は腸間膜が連続した臓器であると認識していたようだが、数世紀が過ぎて、腸間膜は分割された、重要性のない「付属品」であると考えられるようになっていた。

 コフィー教授は、腸間膜の機能はまだよく分かっていないが、研究が進めば、腹部や消化器系の病気治療に役立つ可能性があると話している。また、侵襲性の低い手術、合併症の軽減、患者の回復促進、全体的なコストダウンに繋がると指摘している。

(翻訳編集・豊山)