爆買い減少で、外国人旅行者の消費金額は減少傾向にある。しかし、人数の増加が寄与し、国内のインバウンド市場規模は拡大傾向にあるようだ。

 日本政府観光局(JNTO)が発表した「訪日外客数2016年11月推計値」によると、11月に日本を訪れた外国人旅行者の数は前年同月比13.8%増の187万5,400人で、11月として過去最高を記録した。東アジアにおける航空路線の新規就航や増便、クルーズ船の寄港の増加が寄与したほか、継続的な訪日旅行プロモーションが奏功した。

 また、1月から11月までの累計は前年同期比22.4%増の2,198万8,400人に達し、昨年の年間実績の1,973万7,409人をすでに上回っている。政府は外国人旅行者を2020年には4,000万人まで増やす目標を掲げ、さまざまなプロモーション活動を繰り広げている。日本を訪れる外国人旅行者の数は、今後も増加していきそうだ。

 そんな中、矢野経済研究所は百貨店やブランド企業などを対象に、国内のインバウンド市場の調査を実施し、その結果を12月16日に発表した。調査時期は1月から9月にかけて。調査におけるインバウンド市場とは、日本を訪れた外国人旅行者が日本国内で購入した物品などの規模を指す。

 宿泊費や交通費を除いた2015年の国内インバウンド市場規模は、円安でまとめ買いをする外国人が増えたことや、2014年10月の免税対象商品枠の拡大が影響して、前年比83.9%増の1兆4,849億円に拡大した。2016年の同市場は、消費金額が高かった中国人旅行者が、関税の取り締まり強化で1人あたりの購入単価が減少し、いったん縮小すると予想されている。

 2017年以降の外国人旅行者1人あたりの購入単価は、2016年と同程度で推移するとみられている。しかし、外国人旅行者の増加で市場規模は再び拡大し、2020年には2015年の約1.3倍の1兆8,764億円に達すると同社は予想している。

 日本を訪れる外国人旅行者によるインバウンド消費は、中国人による爆買いの減少でかつてのような熱狂が感じられなくなっている。しかし、外国人旅行者の数は安定的に増加を続けており、国内のインバウンド市場拡大への期待は今後も高まりそうだ。

サイトウ イサム[著]、加藤 秀行[著]