外国人の疑問「日本人はどうして本にカバーをつけるの?」

訪日外国人は年間約2000万人。仕事やプライベートを通じて外国人と食事をしたり、日本の観光地を案内したりする機会も増えるはず。日本について質問を受けたら、どう答えればよいだろう?

▼答えてくれる人

●デイビッド・セイン
エートゥーゼット英語学校校長。アメリカ出身。これまで累計350万部の英語本の著作を刊行。日本で約30年の豊富な英語教授経験を持ち、数万人を教えてきた。

 

●シーラ・クリフ
十文字学園女子大学教授。ロンドン大学卒業。埼玉大学、立教大学非常勤講師を経て現職。英語や着物の着付けなどを教えながら、着物の歴史、変化、模様を研究中。

 

●江口裕之
通訳案内士。1989年から通訳案内士の育成に携わ。2001年CEL英語ソリューションズ設立、現在、最高教育責任者。NHKEテレ「トラッドジャパン」講師(2009〜13年)。

 

■彼らが理解できる文脈に沿って話す

日本のことを外国人に聞かれ、とっさに答えられる人は多くないだろう。だが、難しく考える必要はない。英語では複雑なことは言えないと割り切り、次の3つのポイントを押さえよう。

1つ目に、ごく短い切り返しで瞬時に納得してもらう。次の質問が出ないぐらい、明確に答えてしまうと後がラクだ。多少のユーモアを交えれば、短い返事でもぶっきらぼうにならない。

2つ目は、外国人に理解できる文脈に沿って話すこと。常に「結論+理由」のロジックを意識すると伝わりやすい。シーラ・クリフ氏いわく、「何事も自己主張する欧米人には論理的な話し方が好まれる」。

3つ目は、できるだけ平易な単語や表現を使うこと。近ごろの訪日外国人は、アジアの非英語圏の人が圧倒的に増えている。英語が外国語なのはお互いさま。江口裕之氏は「アジアの隣国にも日本びいきの観光客を育てよう」と民間外交に期待する。

「Q&A」の事例を参考に、ロジカルな簡単英語で、日本を世界にアピールしよう。

■外国人の疑問<日本人の暮らし編>

Q. Japanese don’t praise members of their own family in public. Why?
日本人は人前で家族のことを褒めないですね。どうして?

A. When other people are around, it’s bad manners to praise your own family. Family members are an extension of yourself, so, if you praise your own family members, it’s seen as pride.
人前で身内を褒めるのは、マナーが悪いとされています。家族とは、いわば自分自身の一部。だから、家族を褒めると、自慢しているように取られてしまいます。(クリフさん)

●言葉:praise「褒める」、pride「自慢」
●表現:in public「人前で」、be an extension of〜「〜の延長線上にある」

Q. Why don't Japanese use the word “no”?
日本人はなぜ、はっきり「ノー」を言わないの?

A. Because if they say “no” they fear that the conversation (discussion) would end. They want to continue the communication.
「ノー」を言ったら、会話が終わってしまう気がするからです。コミュニケーションを続けたいと思ってるんです。(クリフさん)

●言葉:fear「恐れる」、conversation「会話」
●表現:want to〜「〜したい」

Q. Why do the Japanese eat buckwheat noodles on New Year's Eve?
大みそかに、おそばを食べるのはどうして?

A. The custom of eating long noodles on New Year’s Eve is a symbolic gesture to wish for a long and fortunate life.
大みそかに長い麺を食べる習慣には、長寿や多幸を願う意味が込められています(江口さん)

●言葉:buckwheat noodle「そば」、New Year’s Eve「大みそか」
●表現:the custom of〜「〜する習慣」、symbolic gesture to〜「〜を象徴する行為」

Q. Why do many Japanese use a cover for the book they’re reading?
どうして本にカバーを付けて読んでる人が多いの?

A. The careful wrapping of purchased items is an important service at Japanese stores. At bookstores, this service includes placing a paper cover on purchased books. The custom started in the early 20th century, and is now expected by many customers.
日本の店では購入した品を丁寧に包装するのが重要なサービスです。その一環として書店では、本にカバーを付けるサービスがあります。大正時代に始まった習慣で、今では多くの客が望むサービスになっています。(江口さん)

●言葉:custom「習慣」、paper cover「(書店で付ける)カバー」、customer「顧客」

Q. Why do we need to take off our shoes?
どうして靴を脱がなくちゃいけないの?

A. When we take off our shoes, we feel like we can relax. You don’t have to worry about your shoes. No one will steal them. If you have holes in your socks, people might laugh, but it’s okay.
靴を脱ぐとリラックスした気分になります。誰も靴を盗んだりしないので心配ありません。靴下に穴が開いていると笑われるかもしれませんが気にしなくて大丈夫です。(セインさん)

●言葉:relax「くつろぐ」、steal「盗む」、hole「破れ穴」
●表現:take off「(衣類・靴などを)脱ぐ」、you don’t have to〜「〜する必要はない」

■日本人らしさをポジティブに説明

暮らしに関する質問は、日本人の行動様式とコミュニケーションに関することに大別できる。

行動様式に関する質問は、比較的簡単だ。日ごろ無意識に行っている行動にも必ず理由や背景がある。そこを探っておくクセをつけておけば、ふと聞かれたときにも困らない。

たとえば、書店で付けてくれるブックカバー。世界的に見れば非常に珍しい商習慣だから「なぜわざわざ本にカバーを付けるの?」という疑問がわく。その疑問をフックに背景を考えてみると、世界に類を見ない「包装文化」があることが見えてくる。このように、ちょっとした行動様式の裏に隠れた「文化」を説明するのがポイントだ。

コミュニケーションについては、ややもするとネガティブに受け取られかねない「日本人らしさ」をポジティブに説明するのがコツ。その典型は、「日本人はイエス・ノーがあいまいだ」という指摘。「ノーを言わないのはコミュニケーションを続けたい気持ちの表れだ」と伝えれば、好印象に転換できるのだ。

(小島和子=文 大沢尚芳、大泉 裕、柳井一隆=撮影 答えてくれる人:デイビッド・セイン、シーラ・クリフ、江口裕之)