「夫(妻)が自分に隠れて借金をしている」。一度はそんな疑念を抱いたことがある人も少なくないはずです。しかし、夫婦の間で隠し事はタブー。今回は相手が隠している借金を見抜くウラ技のご紹介です。

 ファイナンシャルプランナー(FP)という仕事をしていると、将来のための資産形成や運用などのポジティブな話だけでなく、「借金」というネガティブな話に直面することも少なくありません。

 ファイナンシャルプランニングでは、まず「収入」と「支出」を分析します。何にいくら使っているかを明らかにするのですが、項目ごとに金額を精査していくと「お恥ずかしい話ですが借金の返済が毎月〇万円あります」と言われることがあります。

 家のローンや奨学金などではなく、若い頃のキャッシングや消費者金融などの借入金が残っていて、その返済が続いているのです。

消費者金融などの金利は高水準

 キャッシングや消費者金融の金利は現在12〜15%程度で、ひと昔前よりは随分と下がりましたが、それでもかなりの高水準です。たとえば、200万円の借入金がある場合、金利だけで年間24万円(12%)〜30万円(15%)、月にならすと毎月2万〜2万5000円程度が、「金利分だけで消えている」ことになります。

 毎月5万円弱を返済しても、半分が金利なので元本はなかなか減りません。話を聞くと「もう何年も返済しているのにまだ3年もかかる」といったこともあり、若い頃のツケが長期間にわたって家計に暗い影を落としているのです。

 このように、借金が夫婦共通の問題として認識されていれば「まだマシ」なのですが、深刻なのは「隠している」場合です。

 携帯電話が普及する以前は、自宅に催促の電話が来たり、いかにもそれとわかる督促状が届いたりするため、家族に隠し通すことは難しかったものです。しかし最近では、そうした連絡も携帯で行われ、カード会社や消費者金融から届く書類も通常と区別できません。そのため「わかりにくくなっている」のです。

しかし毎月数万円の支払いになると…

 しかし、借金がある程度まとまった金額になっていると、実際のところは金利の支払いだけで大変です。それを家族にバレないようにやり繰りするため、FPがヒアリングするとどうしても不自然な部分が出てきます。

 返済の支払いは、夫の場合は「お小遣い」、家計を預かる奥さんの場合は「生活費」や「お小遣い」に紛れ込ませないといけません。そのため、夫が借金を隠している場合は、「給料から家に入れるお金が少なすぎる」、もしくは「お小遣いが多すぎる」、逆に妻が借金を隠している場合は「収入に対して生活費が多すぎる」などの特徴があります。

 いずれにせよ、金利を含めて毎月数万円の支払いを「隠れて」行うことは至難の業で、何かしらの歪みが生じます。また、このようなケースでは、筆者のような外部の人間から指摘されるまでもなく、家庭内で一方が他方を疑っていることも多いのです。

 この辺りでは、やはり女性の方が勘は鋭く、「旦那に借金があるのでは」と内々で相談されることもあります。そのような場合に筆者は、日本信用情報機構(JICC)を利用することを薦めています。

日本信用情報機構はどのような組織か

 JICCは個人の信用情報を扱う企業で、クレジットカードや消費者金融の借入金の情報が集まっています。意外と知られていませんが、本人や委任状を持つ第三者が照会すれば、信用情報を閲覧できるのです。東京や大阪であれば、窓口に行って免許証などの本人確認書類と手数料500円を出せばオーケー。全国から郵送でも利用できます。

 ほかにもクレジットカード情報を中心とするCICや、銀行系の情報を取り扱う全国銀行個人信用情報センターなどもありますが、JICCが一番広い範囲の情報を持っているとされます。こうした信用情報を取るための口実はなかなか難しいですが、「住宅ローンを組むため」「カードが作れなかったので家族の信用情報を把握したい」など、何らかの理由を考えて「信用情報を照会するので委任状にサインしてほしい」と伝えましょう。

 家族にうそをつくのは心が痛みますが、借金の疑いがあるのならば、テストのつもりで話題にするのもいいかもしれません。既に少額のキャッシングが露見している場合などは、ストレートに「ほかに借金がないか調べる」でよいのです。

その先に待つのは美談か、悲劇か

 夫に借金があれば、照会されることは絶対に避けたいはず。委任状へのサインに対して過剰な拒否反応を示したり、怒ったりした場合は、かなり怪しいと言わざるを得ません。実際にこの方法で借金が発覚することもあります。

 借金は、家族にとっては知りたくない事実ですが、いつまでも隠し通せるものではありません。また事実がわかってこそ対策の取りようもあります。「夫婦で力を合わせて借金返済」という美談になるか、もしくは「離婚」という悲劇になるか――。

 いずれにせよ、うそを土台にした“見せかけだけの幸せ”よりはマシなのかもしれません。

(株式会社あおばコンサルティング代表取締役 加藤圭祐)