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 29日、ブラジルで大きな話題を呼ぶ事件が起こりました。

 ギリシャのキリアコス・アミリディス駐ブラジル大使の焼死体が発見され、その翌日、大使の妻、大使の妻の愛人及びそのいとこへの詳しい事情徴収が行われ、妻の愛人が大使殺害を認めました。

 事件の経緯は以下のとおりです。

28日(水):妻が警察に通報により、26日(月)よりアミリディス大使が行方不明と判明する
29日(木):大使の焼死体発見
30日(金):大使の妻、大使の妻の愛人とそのいとこが事情徴収を受け、大使の愛人が殺害を供述

 今回の事件を時系列でみていくと、非常に興味深いことに気づきます。

◆大使が殺害されたノヴァ・イグアスには多くのギャングがおり、犯罪率も高い

 今回の事件は二つの段階に分けて考えるべきかと思います。

 まず第一段階が、29日(木)に、アミリディス大使と思われる焼死体がリオデジャネイロ郊外のノヴァ・イグアスで発見されたという点。第二段階が、大使の妻とその愛人が関わっていたとする段階です。

 まず、29日の大使の焼死体が発見された時点で、まさか妻が関与しているとは考られておらず、注目点は一点でした。それは、大使が殺害された場所である、ノヴァ・イグアス。この都市はリオ郊外の、危険な場所としても知られています。

 筆者は以前、リオ五輪を見に行く計画を立てていましたが、リオのホテルは高くなりそうなのでリオ郊外への滞在を検討していました。

 ノヴァ・イグアスも郊外にありましたので、この都市はどうだろうかとブラジル人の知人に尋ねたところ、そもそもノヴァ・イグアスはリオ郊外であって、リオに行くまでに時間が多少かかる点と、また、ノヴァ・イグアスを夜に移動するのは非常に危険だと指摘を受けました。

 ノヴァ・イグアスには貧困で苦しんでいる人が多く、またギャングもいるから、そんなに気軽に行くようなところではないよとアドバイスを受けたのをよく覚えています。

 同地域では2016年4月、ブラジルの議員であるアウレオ・リベリト氏が誘拐され、後に解放されたと報道もしています。(FOX NEWS)

 なお、前出のアミリディス大使はこのノヴァ・イグアスに別宅をもっており、そこで休暇を過ごしていました。ノヴァ・イグアスでの焼死体発見であったことから、アミリディス大使は何らかの犯罪事件に巻き込まれた可能性が高いと考えられていました。

◆大使の妻はブラジル人。愛人はブラジルの警察官

 それが一転。30日には、この事件が身内の犯行であると分かりました。大使の妻が犯行にどの程度関わっていたのかは、現在調査中となります。

 大使の妻はブラジル人で、二人の出会いは約15年前。

 アミリディス大使は2001年から2004年までブラジルのリオの総領事でした。 報道では、アミリディス大使とその妻であるフランコイセ・アミリディス容疑者は、ブラジル人で、大使の総領事時代に出会ったと言われています(The Telegraph)。二人はかれこれ約15年近くの付き合いがあることになります。また、両者の間には10歳の娘がいます。

 妻の愛人の目的は何だったのか。

 さらに今回興味深いのは、アミリディス大使の妻の愛人が警察官である点。警察官というと、高潔なイメージを持たれる方も多くいるかもしれませんが、ブラジルでは少し事情が異なる面があります。

 リオ五輪前に、リオの空港で、「地獄へようこそ」という横断幕とともに、警察官らが給与未払いに抗議をしたことからも露呈したように、現地警察官は、高い犯罪率への対応を必死でしているのに給与が十分に支払われず、不満を持った警察官が多くいるのも事実です。かつては、警察の汚職の問題も多く取り上げられていました。

 今回の事件の真の目的が金だったのか、愛だったのか、それとも別の事情があったのか。このあたりの動機は今後はっきりすると思いますが、年末に愛の恐ろしさを改めて考えさせられた結果となりました。

<文・岡本泰輔>

【岡本泰輔】
マルチリンガル国際評論家、Lingo Style S.R.L.代表取締役、個人投資家。米国南カリフォルニア大学(USC)経済/数学学部卒業。ドイツ語を短期間で習得後、ドイツ大手ソフトウェア会社であるDATEVに入社。副CEOのアシスタント業務などを通じ、毎日、トップ営業としての努力など、経営者としての働き方を学ぶ。その後、アーンスト&ヤングにてファイナンシャルデューデリジェンス、M&A、企業価値評価等の業務に従事。日系企業のドイツ企業買収に主に関わる。短期間でルーマニア語を習得し、独立。語学コーチング、ルーマニアビジネスコンサルティング、海外向けブランディング、財務、デジタルマーケティング、ITアドバイスなど多方面で活動中。