インタビューに応じた押井守監督

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 京橋のフィルムセンター恒例の上映企画「自選シリーズ 現代日本の映画監督」第5弾として、1月10日から押井守監督の特集上映を行うことが決定。1983年に「うる星やつら オンリー・ユー」で劇場映画監督デビューを果たして以来、30年以上にわたり、アニメ、実写を合わせて30本近い作品を手がけてきたそのキャリアを、自身が振り返った。

 「今回は回顧上映みたいな形だけど、僕はまだ生きているし、まだまだ監督を辞める気はないんだけどね」と笑った押井監督は、「よくこれだけの映画を作ってこれたなと思いますよ。振り返ってみると、よくこれを作ることを許してくれたな。普通だったら無理だったろうなという思いはありますよね。無理やり、意見を押し通して作った作品もあったし。それを30本近くも積み重ねることができたというのは、自分としてもラッキーだったと思う。まわりに面白がってくれる人がいたからここまでやってこれたんだと思う。あらためてそれを思いましたね」としみじみ。「でもあらためて作品を振り返ってみると、SFやファンタジー、ポリティカルフィクションといった、非現実や非日常的な物語ばかりやっているなと思った。意識してそうなったわけではないけど、結局、自分が作りたい映画ってのはそういうものなのかもしれない」と付け加えた。

 今回の上映作品を選考するのは「けっこうしんどかったですね」という押井監督。「俗に言う代表作と呼ばれるものよりも、このまま放っておいたら、なかったことにされかねない作品を優先的に選びました。だから世間の評判とは一致しないかもしれない。ただし素材を探すのは相当苦労したみたいで。その点は申し訳なかったなと思うんですが、映画監督の思いとしてはそういうものなんですよ」という通り、期間中は「ケータイ捜査官7/ 圏外の女」や「Twilight Q/迷宮物件 FILE 538」といった珍しい作品も上映されることになる。一方で「機動警察パトレイバー2 the Movie」といった代表作もしっかりと上映される。その理由として「同じ『パトレイバー』でも、『パトレイバー2』の方が思い入れがありますからね。あれはかなり苦労して作った作品だし、あれから監督として何かが見えたという。自分の中では大事な作品ですよね」と明かした。

 2008年のアニメ作品「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」を終えた後は、監督としての心境の変化があったという。「自分の企画にこだわる必要はないことに気付いた。自分でなんでもやりたがるヤツもいるけど、僕はそうは思わない。むしろ人の企画の方が監督としてやりやすいことに気付いたんです。だからとにかく、やれと言われれば何でもやりますよ」。

 「とにかくいろんなジャンルの作品をやりたい」という押井監督は、「文芸映画もやるし、時代劇もやってみたい。それからマージャンのVシネが大好きで、物語の展開を研究したことがあったんで、そういうものもやってみたい。まあ話は来ないけどね。でも昔、ピンク映画をやらないかという話もあったんですよ。(ピンク映画を製作していた)プロデューサーにバッタリ会って。『あんた撮らないか』と言われたんですけど、その時は若かったんで、濡れ場を撮る自信がなくて断っちゃった。でも今ならやれると思うんだよね」と創作意欲旺盛なところを見せた。

 そんな押井の新作は、アメリカのアニメ専門チャンネル「カートゥーンネットワーク」で予定されているミニシリーズだという。新作でどのような映像を見せてくれるのか、期待が高まる。