今年のライフハッカー[日本版]の新年特集は「HOW I WORK」特別編です。2017年の活躍が楽しみなクリエイターやビジネスパーソンの方々に、独自の仕事術やお気に入りのビジネスツール、今年の活動テーマ等をお聞きしました。この記事で紹介するのは、世界最大の語学学習プラットフォームであるDuolingoでソフトウェアエンジニア兼リサーチサイエンティストとして働く萩原正人さんです。


萩原正人(はぎわら・まさと)
2009年名古屋大学大学院情報科学研究科博士課程修了。博士(情報科学)。Google、Microsoft Research、バイドゥ、楽天技術研究所(ニューヨーク)にて、検索エンジンおよび自然言語処理の研究に携わった後、2015年2月より Duolingo にてソフトウェアエンジニアとして自然言語処理技術を活かしたバックエンドの開発に従事。統計的自然言語処理、特に、形態素解析、翻字、外国語学習、大規模コーパスからの語彙知識獲得などに関心がある。著書に翔泳社「自然言語処理の基本と技術」(2016)。訳書に、オライリー『入門 自然言語処理』(2010)、『入門 機械学習』(2012)がある。


居住地:米国ペンシルバニア州ピッツバーグ
現在の職業:ソフトウェアエンジニア兼リサーチサイエンティスト@Duolingo
仕事の仕方を一言で言うと:エンジニアや研究者よりも「アーティスト」に近い(役に立つかどうかより面白いかどうかが行動基準になっている)。
現在の携帯端末:Samsung Galaxy S6
現在のPC:Macbook Pro 15インチ (2014年モデル)


1. 「これがないと生きられない」アプリ/ソフト/道具は何ですか?


ターミナルとエディタ、あとは Python と Git だけあれば基本的に生きていけると思います。最近は Atom をメインエディタとして使っています。拡張やカスタマイズが JavaScript や CSS ベースで出来るので良いですね。

あとは、仕事でデータ解析や機械学習のプロトタイピングをするので、The Jupyter Notebook をよく使っています。


2. 仕事場はどのような環境ですか?


典型的なアメリカのスタートアップといった感じです。採用ページを見ると雰囲気が分かると思うのですが、きれいなオープンオフィスに、広いスタンディングデスクとディスプレイ、無料のスナック・ランチ、フーズボール・卓球台などがあり、仕事の環境としては最高です。

あと、仕事柄、語学が好きで色々な言語が話せる同僚が多いので、「◯◯語をしゃべる食事会」(◯◯はスペイン語だったり、中国語だったり、日本語だったり)がよく開催されていて、語学好きにはぴったりの環境だと思います。


3. お気に入りの時間節約術は何ですか?


どうやって仕事をするか、より、何に取り組むか、の方がはるかに大切だと思っているので、あまり時間の節約そのものは意識していません。


4. 愛用している、仕事をうまく進行させるためのツール(ToDoリスト、アプリ、道具など)はありますか?


ToDoリストの管理は色々なアプリを試しましたが、現在は Trello に落ち着いています。カンバン方式で、ToDo リストや、読んだ・読む予定の書籍や論文などの管理をしています。

あと、集中してメリハリをつけるために仕事中はタイマーを使っています。もともとはポモドーロ・テクニックを使って25分集中+5分休憩のペースで仕事をしていたのですが、ソフトウェアエンジニアや研究者にとって25分は短すぎて逆効果だったので、今ではタイマーで単純に集中した時間を測るようにしています。

最後に、語学が好きなのでやはり YouTube でしょうか。色々な言語の高いクオリティの教材が無料で見られるので良い時代になりました。TED など日本でもポピュラーなものをはじめ、英語では Y Combinator のチャネル、中国語では「快乐汉语」というドラマが気に入ってます。


5. 携帯電話とPC以外で「これは必須」のガジェットはありますか?


「ガジェット」と呼べるかどうか分かりませんが、アメリカの中規模都市に住んでいるので自動車は必須ですね(笑)。電車などと違って通勤中に大きな声で外国語の練習(シャドーイング)などができるという意味でも重宝しています。


6. 仕事中、どんな音楽を聞いていますか?


最近はジャズをよく聞いています。ただ、どうしても音楽の方に気を取られてしまうので、本当に集中したい時は無音でノイズキャンセリングイヤフォン(Audio-Technica ATH-ANC23)だけを付けています。

7. 仕事において役に立った本、効果的だった本は何ですか?


Peter Thiel の 『Zero to One(邦題:ゼロ・トゥ・ワン)』とPaul Graham の 『Hackers and Painters(邦題:ハッカーと画家)』の2冊でしょうか。仕事に直接的に役に立っているかどうか分かりませんが、自分の生き方にかなり影響を与えたと思います。自分がスタートアップで働いているのもこれらの本の影響なのかもしれません。

また、外国語学習という分野で働いている仕事柄、人間が効率的に学習するにはどうしたら良いかというテーマに興味があるのですが、Barbara Oakley 『A Mind for Numbers(邦題:直感力を高める 数学脳のつくりかた)』、Peter C. Brownらの『make it stick(邦題:使える脳の鍛え方)』の2冊は、自分が学習する際にも役に立つ知見が満載で、もっと早く、学生のときにこのような本に出会えたら良かったと思うほどです。

8. 現在、どんな本を読んでいますか?


最近読んだ本の中では Laszlo Bockの『Work Rules!(邦題:ワーク・ルールズ!)』、Edmond Lau の 『The Effective Engineer』 が、皆が幸せに働ける環境をどのように作るか、エンジニアとしていかに成果を出すか、というテーマについて述べてあり、スタートアップで働いている身として共感できる部分が多かったです。

あとは、Antonio Garcia Martinez の『Chaos Monkeys』。Facebook で広告事業に関わった経験からのシリコンバレー暴露話が満載な自伝なのですが、スタートアップやオンライン広告などに興味のある方なら面白く読めると思います。

一般的に、海外にはまだ日本語に翻訳されていない良い本がたくさんあるので、スタートアップやテック業界で働いている・興味がある、というのであれば、英語の勉強も兼ねて、英語の本を直接買って読むことをオススメします。


9. 睡眠習慣はどのようなものですか?


小さい子どもたちがいるので、子供たちとほぼ同じタイミングで夜寝て朝起きるような生活です。もともと朝方なので割と性に合っているようです。


10. 仕事をよりよく進めるために「習慣」にしていることはありますか?


個人的に「月次レビュー」をかれこれ7年以上続けています。ここでは、家庭の財産状況のチェックや、目標や習慣の設定、見逃した論文のチェックなど、毎月末にカフェなど静かなところでまとまった時間をとって見直すというものです。仕事が忙しく毎日はできないけど、定期的に見直したい長期的な目標などがあれば、チェックリストにして管理しておくのが個人的なオススメです。


11. いまお答えいただいている質問を、あなたがしてみたい相手はいますか?(なぜ、その人ですか?)


首都大学東京准教授の小町守さんと、PFI/PFNの岡野原大輔さんですね。お二人とも、同じ自然言語処理・機械学習の業界のほぼ同期なのですが、 業界でずば抜けて活躍されていて、尊敬しています。あとは Duolingo の同僚の嶋英樹さん。海外で長く活躍されている方にぜひ外国語の学習法や仕事の秘訣を聞いてみたいです。


12. これまでにもらったアドバイスの中でベストなものを教えてください。


自分が直接もらったというわけではないのですが、経営コンサルタントの渡辺千賀さんの言葉に、「迷ったら、人と違う方を選ぶ」というものがあって、これまでの人生で指針にしています。これからの時代、なおいっそう「人と同じであること」に価値が無くなると信じています。他には、「迷ったら、楽しそうな方を選ぶ」「迷ったら、難しそうな方を選ぶ」というのも、色々な本などからつまみ食いした言葉なのですが、人生で選択に迷った時の指針にしています。


13. 2017年の抱負や力を入れて取り組んでいきたいことについて教えてください。


新しい技術や新しい言語(プログラミング言語も、外国語も)をさらに学んでいける年にしたいですね。


14. 最近購入したものの中から、特に気に入っているものがあれば教えてください。


モノというかサービスなのですが、2016年から行きつけのジムでパーソナルトレーナーを雇って指導してもらうようにしたことでしょうか。体力が付いて風邪などもひきにくくなり、仕事にも良い影響が出て良いことずくめでした。