<今、世界が注目する男、ドナルド・トランプ。とりわけ、そのツイッターでの発言には、世界の政治家、ビジネスマン、メディアが翻弄されている。ついに韓国では外交部が、トランプのツイッター発言を監視する「ツイッター・オフィサー」を配属した>

 韓国外交部(日本の外務省に相当)は、幹部職員のひとりをトランプのツイッター発言を専門にチェックする役職「ツイッターオフィサー」に任命した。ユン・ビョンセ外交部長官は、トランプのツイート内容、とりわけ韓国及び極東地域に関するツイートに関心をもっているという。新政権スタッフとのコネクションがいまだできていない韓国政府としては、トランプのツイッターが、その考えを知るうえでもっとも有効な手段だと判断したためだ。このため、トランプのツイッター監視を命じられた幹部職員は、トランプの外交方針に関するツイートを注視することになった。

 その成果は早くも発揮された。1月2日、トランプは北朝鮮の核問題に関する考えをツイッターで明らかにした。前日、北朝鮮の金正恩が新年挨拶で「米国を射程距離としたICBM(大陸間弾道ミサイル)の開発が最終段階に入った」との発言を受けたものだ。

(参考記事:北朝鮮、米国に届くICBM開発はできない=トランプ氏

  "it won't happen!"(そんなことはあり得ん!)というトランプのツイートは、各国のメディアに取り上げられ、26,000回リツイートされ、91,000人がいいねした。

トランプが北朝鮮の核問題に触れたツイート

 トランプがこのツイートを発信したのは韓国時間で3日午前5時5分。韓国外交部も、これを受けて公式見解を準備し始めた。韓国政府内では、北朝鮮の核問題についてトランプ新政権が優先度を下げるのではないかという懸念が高まっており、トランプがこの問題に関して、ツイッターで発言するのを待っていたところだった。トランプ自身がツイートしたことで、ワシントンの韓国大使館の分析を待たずに、外交部の担当者は情勢分析を始め、午後2時には外交部報道官が記者会見で公式見解を発表した。

「トランプ次期大統領のツイッター発言は、大統領選当選後、北朝鮮の核問題に関連してトランプ氏が明示的に初めて言及したものとして意味をもつ。特に、金正恩が新年挨拶で、ICBMなどによる挑発の可能性を示唆したことに対する明白な警告と解釈することができると考えている」

ニューズウィーク日本版ウェブ編集部