『コンサルタントになれる人、なれない人』(高橋信也著・プレジデント社刊)

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■成果を出すために時間を犠牲にしていないか

日本人は、働きすぎだと言われます。毎日の残業は当たり前で、たとえ自分の仕事が終わっても、「周りの人が働いているのに、定時で帰るとは何事だ」と非難するような雰囲気も根強く残っています。最近は、「○時以降は会社に残ってはいけない」など、残業を制限、もしくは禁止する企業が出てきており、なかには一定の成果を上げているところもあるようです。

ただ、その多くは残業が早朝出勤や帰宅後の自宅作業という形にすり替わっただけで、実質的な労働時間は、以前とあまり変わっていないケースが多いのではないでしょうか。結局のところ、一定の成果を得るために時間を犠牲にする慣習は、あまり変わっていないように思います。

しかし、このままでいいとは思えません。これから労働人口は急激に減少していき、今後はますます生産性の向上や時間当たりの価値を強く求められる時代になります。時間をかければ「なんとかなる」というやり方では限界がくるのは目に見えているのです。

一定の成果を上げるために、どれだけ時間を割いたのかは評価の対象ではなくなり、あくまでも“成果”で勝負しなければならなくなります。

そこで生き残っていくには、顧客や会社のニーズに長時間労働で応えるといった意識や働き方そのものを変え、自分の実力で勝負できるようにならなければなりません。

では、実力を磨き、成長するためには何が必要でしょうか? 高い成長欲求でしょうか、優秀な指導者でしょうか。両方とも不正解ではありませんが、それだけで十分とはいえません。重要なのは、「自分は、こうありたい」「自分は、こうなりたい」という目標やビジョンです。

3年後、5年後、10年後、さらには30年後、こうなっていたい“自分像”があるから、そこへ向かって成長したいという気持ちを持ち続けられるのです。目標やビジョンがあるから、そこから逆算して今の自分に何が必要なのかを考えることができ、着実に一歩ずつ前へ進んでいけるのです。

■自分を“主語”にしたキャリア形成

このように自身のありたい姿を考えることは、本来、キャリア形成の第一歩なのですが、日本企業では、特に大企業では社員が自身のキャリア観について深く考えないように教育します。キャリアアップとは、企業のなかで立場を高めていくことだと刷り込むのです。

なぜなら、キャリアについて考えを深めていった結果、「転職したほうが、メリットが大きい」と気付いてしまうと、多額の投資をして採用し育成してきた優秀な人材が会社を去ってしまう可能性があるからです。

しかし、それであなたは幸せになれますか? 自分がどうなりたいのか考えを深め、それを実現するために努力を重ねるほうが充実した人生を送れるとは思いませんか? 会社に残る道を選ぶにしても、キャリアについて徹底的に考えた結果、その会社でこそ自分は幸せになれると思えたほうが、納得できるのではないでしょうか。このように“自分”を主語にしたキャリア観を持ち、それを具現化するため、自身のスキルや技量によって主体的にキャリアを選択することを「自律的キャリア形成」といいます。

そして、この自律的キャリア形成を実現しやすい仕事の一つがコンサルタントなのです。

今、コンサルタント業界は、変革のまっただ中にあります。専門知識を武器に企業経営に対してアドバイスするだけで終わりではなく、成果にコミットするところまでを強く求められるようになってきたからです。以前のように、先行している欧米の知識を日本へ持ち込み、それを切り売りしながらレポートや提言としてまとめるだけで高額の報酬を得られた時代は終わろうとしています。

しかし、それは裏を返せば、自身のスキルや技量次第でいくらでも可能性が広がる時代に入ったともいえます。ここに自律的キャリア形成を実現しやすい土壌があるのです。

それに、コンサルタントは魅力的な仕事です。企業の経営幹部に助言する責任は、しびれるほどの「やりがい」を得られます。責任が高い分、報酬水準が高く、1000万円プレーヤーなど、ゴロゴロいますし、実力次第で年収数千万円稼ぐこともできます。また、さまざまな業界・業種にわたり企業経営のノウハウを身につけられるため、他業界へ転職する際も有利になりますし、事業会社で事業を動かす側の経験を積み、再びコンサルタントへ返り咲くといったキャリアパスも可能です。

このあたりのことについての考えをまとめたのが、このほど上梓した『コンサルタントになれる人、なれない人』です。この本では、自律的キャリア形成に欠かせないキャリアに対する考え方や自分なりのキャリア観を見出すノウハウについてもまとめていますので、コンサルタントという仕事に興味がある人だけでなく、自身のキャリア形成に不安や不満を感じている人にも一読いただければと願っています。

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高橋信也
マネジメントソリューションズ代表取締役
上智大学経済学部卒。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)入社。2001年よりキャップジェミニのマネージャーとして経営管理・業績管理のコンサルティングプロジェクトに携わる。その後、SONY Global Solutionsにてグローバルシステム開発プロジェクトのPMOリーダーとして活躍。05年、マネジメントソリューションズを設立。

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(マネジメントソリューションズ 代表取締役社長 高橋信也)