韓国LGスマホ生産の現場 「女性主導」で中国メーカーに対抗

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寒さ厳しい12月のある日、ソウル南方の平沢市(ピョンテク)で筆者が見たのは、何百というLGのスマホが”拷問”を受ける様子だった。

スマホたちは金属製の入れ物の中で洗濯物のように回され、様々な高さからコンクリート上に落とされ、灼熱の環境や極寒の環境に置かれ耐久テストを受けていた。

LGのスマホの品質管理ラボでは、毎日最大8,000台のスマホがテストされている。工場の玄関には創業者の具仁會(ク・インフェ)の銅像があり、その台座には次のような言葉が刻まれている。

「100ユニットのうち1ユニットに欠陥が見つかれば、残りの99ユニットも欠陥品だとみなされる。すべての商品が最高の品質でなければならない」

クが従業員に対してこの言葉を語ったのは1948年、LGが化学系企業として創業してから1年後だった。それから68年、”Lucky Goldstar”の頭文字をとったLGは韓国4位の財閥に成長。洗濯機やテレビ、スマホから自動車のパーツまで手掛ける総合エレクトロニクスメーカーとなった。

LGのスマホ組み立て工場が他のメーカーと一線を画すのは、働く従業員の90%が女性だということだ。工場のアシスタント・マネージャーを務めるTokyo Lee(東京で生まれたらしい)は、女性を採用する理由を、手の小さな女性のほうが細かなパーツの組み立てに適しているからだと説明した。

ディスプレイをマザーボードとつなぐ作業やセンサーのテスト、スマホを至近距離から見るキズの確認など、細かな作業を徹底して行なう。Leeは2人の女性を”スマホ・マスター”と呼んでいる。2人のマスターが合格と認めた製品はベルトコンベアに乗せられ、箱に入れられた後にロボットが運んでいく。

宿敵のサムスンがNote 7のバッテリー発火問題でブランドイメージを失墜させたが、LGはそれを受けて対策は講じているのだろか。

「特に何もしていません」とLGのモバイル製品担当主任のIan Hwangは言う。「LGは常に他社よりも高い基準を設けてきました。そのためNote 7で起きたようなことはLGでは起きないと確信しています」と語る。

中国メーカーの追い上げに苦戦

2016年に2つのフラッグシップモデルを発表したLGは、高性能なカメラ機能で知られる「V20 」や、モジュールで機能拡張ができる「G5」といった端末を発表。ニュースサイトのAndroid Centralは同社を「メディアのレーダーにはかかりにくいが、本当に良いスマートフォンを作るメーカー」と評価した。

Hwangのチームには20人のメンバーがおり、マーケットのトレンドを分析して次期モデルのコンセプトを立案する。LGのGシリーズは彼によると「メインストリーム向けのスマホ」でVシリーズは「スナップチャットやインスタグラムなどをよく使うミレニアル世代のコンテンツ・クリエーターに向けた製品」だという。

筆者はLGスマホの大ファンだ。しかし、Vシリーズの評価は高いものの、Gシリーズは2機種連続で売上が振るっていないのも事実だ。LGも懸念していないわけではない。2016年10月に行われた取材でLG副社長は「様々な意味でプレッシャーを感じています」と語っている。

しかし、彼らは数年間築き上げてきた路線を変更しようとは思っていないようだ。Hwangが今のポジションについて以来、LGは様々なチャレンジを続けてきた。2013年のモデルでは全てのボタンをスマホの背面に配置した。クアッドHDディスプレイを最初に取り入れたのもLGだった。

「LGのスマホを買った人が、購入理由のトップに挙げるのが他のデバイスに無い機能を持つ点です。また、高品質なサウンドを楽しみたい人もLG端末を買っています」とHwangは語る。

LGのグローバル・コミュニケーション部のKen Hongは、2016年は多くの中国系企業が高機能のスマホを低価格で販売し、LGも苦戦したと認める。「LGは高スペックで優れた機能を搭載したスマホを発表しました。しかし、発表から数か月で中国の企業が同レベルのスマホをわずか400ドルで売り出すのです。厳しい時代です」とHongは語る。

「だからこそ私たちは中国企業が提供できないような、充実したカスタマーサポートや品質管理に力を入れているのです。LGはスマホを進化させるだけでなく、サポートも進化させなくてはなりません。スマホのコモディティ化は進んでおり、単に価格だけで選ばれるものになってはいけません」とHongは述べた。