専門誌では読めない雑学コラム  
■木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第86回

「さあ、いよいよ明日はコンペ!」というとき、みなさんはどのようなテンションでゴルフに臨むのでしょうか。「優勝は無理でも、ドラコンはほしいぃ〜」とか言って、前日練習場でドライバーをばかすか打ちますか?

 まあ、前日はハイテンションでもいいですよ。問題は、プレー当日です。

 運動選手が試合に臨む前、よくヘッドフォンで音楽を聞いていますよね。水泳選手などは、あれでテンションMAXまで持っていき、限界を超えた動きを目指すそうです。

 ボクサーは、絶対に「ロッキーのテーマ」を聞いている気がします。公園の高台の上では、シャドーボクシングのあとに生卵を一気飲みしているイメージがあります......って、まんま映画やないですか。

 アントニオ猪木選手は現役時代、モハメド・アリから譲り受けたテーマソングを聞いて戦闘モードに突入していました。このように、格闘系はテンションアゲアゲで申し分ないと思います。

 でも、球技であるゴルフは、ちょっとノリが違うような気がします。参考までに、テニスプレーヤーの錦織圭選手はどんな曲を試合前に聞いているのか、調べてみました。某インタビュー記事によると「ゆっくりした曲が好きだから」と、大橋トリオの『はじまりの唄』などを聞いて、気持ちをリラックスさせているそうです。その歌のことはよく知りませんが、タイトルからして和みそうですね。

 というわけで、わりとテニクカル&メンタルなスポーツのゴルフも、テンションを無理に上げる必要はないのではないでしょうか。むしろ逆で、いかに平常心を保つかが大事だと思います。

 ですから、ゴルフ場へ向かう途中、車内はいつもどおりのBGMでいいんです。誰か同乗者がいたら、その連中と恋バナで盛り上がってもいいし、夜の武勇伝などを語り合うのもいいでしょう。そうやって、気分をリラックスさせることが重要なのかな、と。

 間違っても、「今日のゴルフ場は、ロバート・トレント・ジョーンズJr設計。全長7000ヤード超えで、池が多い戦略的なコースだぞ〜。さあ、どうやって攻めるか!」とか、意気込んで話し合うようなことはしないほうがいいです。ただでさえ叩くのですから、ますますプレッシャーがかかって、プレーに影響しますから。

 そうそう、ゴルフは気持ちをリラックスさせたら、次に大事なのは情報をあまり入れないことだと思います。

「えぇ!? コースのレイアウトとか、風向きなども調べなくていいの?」

 そう疑問に思う方もいるでしょうが、そういうのはホント、ほどほどで結構です。実は、スコア100前後のアマチュアゴルファーは、情報の詰めすぎにより、ものすごいプレッシャーを受け、自滅してしまうことが多いのです。

 もし、ゴルフを代打ちするロボットがいたら(現実的にはティーショットだけですけど)、それは、どんなプロよりも上手いでしょう。だって、池越えとか、バンカーに気をつけてとか、そんなの関係ないですから。余計な情報は一切無視して、淡々と指令をこなすだけです。

 動きを忠実に再現するロボットには、プレッシャーという概念がないのです。ただひたすら、「150ヤードを8番アイアンで真っ直ぐ」と伝えれば、その球筋を正確に打つだけですから。向かうところ敵なし、です。

 そう考えると、アマチュアがコースで気をつけると言っても、「右側は注意ね!」くらいでいいでしょう。そもそも狙った方向にボールが打てないのですから。情報を得ても仕方がありません。

 いっそのこと、コースの状況を何も知らないほうがいいかもしれません。そうやって打ったときのほうが、好結果をもたらすことがありますから。

 例えば、コンペでドラコンやニアピンがありますよね。あれって、「このホール、ドラコンだから」と聞くと、すごく力が入って、マン振りしてチョロだったりします。反対に、何も知らずに気持ちよく打って、「あれ、ここドラコンだったの?」と、あとで気づくときのほうが、ナイスショットということが多々あります。

 アマチュアゴルファーは、あまり情報過多に陥らないほうが無難です。ついでに、"体験"という情報もインプットしないほうがいいです。すなわちそれは、朝の練習を指します。

 プレー当日、アマチュアゴルファーの一番の難所は、練習場です。ここで淡々とアプローチ多め、ドライバー少々といった感じで、綺麗なショットが打てていればいいのですが、アドレナリン出まくりの、ドライバー打ちまくりだと、ちょっと問題です。もはや、そこで息切れしてしまうかも......。

 さらに、一番まずいのは、ボールがまったく当たらないことです。緊張してなのか、変なボールしか出ないときがあります。こうなったら、もう焦って、普段以上に力んでしまって、プレーどころじゃありません。

 この期に及んで、何を今さらですけど、アマチュアにとって、朝の練習場は"諸刃の剣"となります。つまり、どっちに転ぶかわからないのです。

 ですから、いっそ練習場のないゴルフ場のほうが、諦めがつくのでなんぼ精神的に楽なことか。

 ゴルフは、プレー直前にじたばたしないのが肝要かと。練習するなら体をほぐす程度にして、パットを試したら、トイレに2回ぐらい行っておいて、それからスタート小屋で缶コーヒーを飲んで待つ、くらいの余裕で臨みましょう。

 どうせ、コンペは新ペリアかなんかでしょう。それなら、100ぐらいでも十分に入賞の可能性はありますよ。

■木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa